ニトリホールディングスはこのほど、子会社で輸配送、保管、荷役、梱包などを手がけるホームロジスティクスの通販発送センター(川崎市川崎区)でロボット倉庫を報道陣に公開した。同社では同センターの出荷効率を3.75倍に向上させたほか、在庫面積を40%削減したといい、同社が取り組む物流改革の模様をお届けする。

今回、導入したロボット倉庫はノルウェーのJakob Hatteland Computer製の「AutoStore」だ。ニトリでは導入前の問題点として、終日歩き回りながらのピッキング業務や出荷量の変動は人員の増減でコントロールしていたほか、在庫品目数の増加に伴い通路を縮小することで作業性が低下していたという。そのような状況を打開するためヨーロッパ5カ国の物流拠点を訪問し、ノルウェーのオスロでAutoStoreを視察した。

「AutoStore」のイメージ

AutoStoreはビン(専用コンテナ)を高密度に収納し、ロボットがコンテナの出し入れを行う自動倉庫型ピッキングシステム。格子状に組まれたグリッド(支柱・梁)、ビン(専用コンテナ)、ロボット(電動台車)、ポート(ピッキングステーション)の各モジュールで構成されている。

同数のコンテナを保管する場合、AutoStoreはスタッカークレーン式自動倉庫の2分の1、平置き棚の3分の1のスペースで対応できるほか、グリッドはレイアウトの自由度が高く、さまざまな設置環境に対応し、スペースの有効活用が可能だという。

ロボット

AutoStore上部を縦・横方向に自在に動き回り、ビンの入出庫を行う

また、定点作業により省力化を実現しており、入庫作業はポートから商品をビンに投入し、ロボットがビンを引き上げ、搬送したうえで格納。一方、出庫作業は上にある便を周囲のマス(セル)に一時的に移動、ロボットがビンを引き上げ、搬送し、吊り下げ、ポートから商品をピッキングする。

1台のサーバで60台のロボットを制御

60カ所に設置した充電ステーションはロボットの電池残量が少なくなると自動で充電

通販発送センターでは顧客が通販サイトで購入した小物などの発送業務を担っており、延床面積は6300坪、年間出荷件数は100万件、取扱品目数は1万3700SKU(Stock Keeping Unit:在庫管理を行う場合の単位)。うち、全体の約60%にあたる8100SKUをAutoStoreに保管している。

入出庫作業場

持ち場を離れることなく、定点作業

ニトリがAutoStoreの導入を決定した理由として在庫効率の向上が図れ、レイアウトの自由度が高く、腰を屈まず定点作業で省力化を可能とし、物量の増大に伴いロボットやビンを増やせば設備能力を増強することができる点などを挙げた。現在、ロボットは60台、ビンの数は約3万個、作業場所となるポートが15カ所配置されている。稼動から1カ月程度経過しており、出荷効率は従来と比較して3.75倍に向上したほか、在庫面積を40%削減することが可能になったという。