3月2日から4日まで、東京都千代田区の科学技術館にて情報処理学会(5つの研究会)が主催するシンポジウム「インタラクション2016」が開催された。展示はパネルではなく、デモを交えたインタラクティブな発表となっており、最終日の4日は一般の来館者も無料で展示を見ることができた。最終日の発表から、面白そうなものをピックアップしよう。

一般の人が(参加費を払って)学会に行くことは滅多にないと思うが、理屈はともかくデモを見ることができるのは面白い

影絵のようで影絵でない? プロジェクタを用いたインタラクティブシャドウ

理屈抜きで面白かったのが、愛知工業大学のインタラクティブシャドウ

愛知工業大学のグループは、実物影と仮想影を使ったデモ。手前にはMicrosoftの入力デバイス「Kinect」と仮想影を投影するプロジェクタ、そしてスクリーンの手前に仮想光を投影するプロジェクタがある。

人間が手前のプロジェクタとスクリーンの間に入って行動することで、スクリーンの影が変化するという仕組みだ。Kinectでオブジェクトの認識を行い、これに対するアクションでバーチャルの影が動く。

デモでは、じょうろ、植木鉢、カボチャ、鳥かごをオブジェクトとして用意。これらを動かしたり触ったりすることで、仮想影と仮想光が表示される。人間のボーンモデルを使えば「人が立っているのに奥の影はガイコツ」といったこともできるそうだ。

全体を照らさず、一部に偽の影を出すプロジェクタと、影のはずなのに光を出すプロジェクタで影絵を出す。加えて、物体や人間をKinectで判断して動かす。実態のない花の影とお化けカボチャの目鼻がポイント

デモをする人が隅に立っているのでちょっと破綻しているが、人の影に目鼻が付いており、物体のない蝶が飛んでいる。蝶は人の手に止まるようなプログラムが与えられている

じょうろをオブジェクトとして認識。植木鉢に水を注ぐと花があらわれる。水を植木鉢外にこぼすと画面下から水があふれて、足の動きで揺らぐ仕掛けも

フロントプロジェクタはこのようになっており、影の中に光を映し出す。ちなみに、カボチャに人が触れるとコウモリが飛び出す

タブレットやスマホを通じて手を伸ばす「Extended Hand」

大阪大学のグループは、スマホやタブレットを通じて遠隔に投影する身体拡張技術を披露した。過去にAndroid向けのアプリを作成したことがあるそうだが、今回はWindowsタブレット向けのアプリを開発。サイトからダウンロードして試すことも可能だ。ただしWindows 8.1用で、Windows 10では不具合が出るケースがあるという。

過去にはサーバー/クライアントタイプも開発していたようだが、今回はスタンドアローンの身体拡張インタフェース「Extended Hand」を展示。デモはスタンドアローンを拡張したプロジェクタ連動タイプで、タブレットの操作で手が伸び、オブジェクトをつかむ

指がもっと長ければ(多ければ)、ピアノをうまく弾けるに違いない

身体拡張を疑似体験するシステム「えくす手」を展示していたのは、東京大学のグループだ。画面が投影された装置に手を入れて「ピアノ」を弾くと、バーチャルなピアノ画像を表示するのだが、デモでは10本指という何とも微妙な物体がピアノを弾いていた。「身体拡張」といえばその通り。

身体拡張の疑似体験ということで、東京大学が展示していたのはバーチャルピアノ

手を下に入れて弾くと、内蔵カメラが手の動きをトラッキング。仮想ピアノの鍵盤上にAR表示するのだが………指が10本!

別バージョンの「指が長い版」。ほかにも、手の色が違ったり、左右反転したりするバージョンが用意されているようだ