【インタビュー】

『キル・ビル』コンビ再び! - 『ヘイトフル・エイト』美術の舞台裏を種田陽平が語る

1 「業界の慣習」を超えた再タッグ

 
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映画を作っているのは誰だろうか。役者を除けば真っ先に思い浮かぶのは監督だが、監督だけで映画が作れるわけではない。プロデューサー、脚本家、音楽家、照明に録音、編集と、多くのスタッフが関わって一本の作品を作り上げている。

中でも美術監督は映画の舞台となる空間を作り上げる責任者であり、監督の思い描く世界を再現する重要なポジション。監督にとって自分の作品の美術監督を誰に依頼するのかは、映画の成否に関わる一大事なのだ。

種田陽平氏による『ヘイトフル・エイト』デザイン画(左)と、実際に建てられたロッジ(右) (C) MMXV Visiona Romantica, Inc. All rights reserved.

そんな美術監督として、ハリウッドを代表する監督であるクエンティン・タランティーノ氏の最新作『ヘイトフル・エイト』(2月27日公開)に参加するのが種田陽平氏だ。過去には『キル・ビル Vol.1』の美術監督も担当しており、コンビを組むのは今作が二度目となる。

『ヘイトフル・エイト』はタランティーノ監督初となる密室ミステリー。舞台は吹雪のロッジ、登場人物は足止めを食らったワケありの8人の男女。そこで起きる殺人事件から、物語は思いもよらぬ方向に展開していく。ストーリーは閉ざされたロッジのみで展開されるため、狭いワンルームが本作の世界のすべてといっても過言ではない。

タランティーノ監督最新作『ヘイトフル・エイト』で美術監督をつとめた種田陽平氏。近作では『思い出のマーニー』(2014年)などスタジオジブリのアニメーション映画、『清須会議』(2012年)ほか三谷幸喜監督作品も手がける

同作の世界そのものともいえるロッジを作り上げたのが種田氏である。『キル・ビル』以来となるタランティーノ×種田コンビはいかにして実現したのか。そして種田氏は『ヘイトフル・エイト』の世界をどのように構築していったのか。種田氏に制作の舞台裏を聞いた。

――タランティーノ監督とお仕事をされるのは『キル・ビル』以来ですよね。今回、どのような形で依頼がきたのですか?

種田:話がきたのは2014年の8月だったかな。『ヘイトフル・エイト』のプロデューサーから電話があったんです。クエンティンが今作の美術監督を僕に頼みたいと言っていると。普通はメールで話がくるんですが、電話でしたね。スケジュールを確認して、OKしました。

ちょうど『思い出のマーニー』が終わったところだったのでいいタイミングだったんです。ただ、クエンティンが僕に頼みたいと希望しても、そう簡単にはいかなくて。というのも、ハリウッドは基本的にコンペ方式で美術監督を決めるからなんですよ。

種田陽平氏による『ヘイトフル・エイト』デザイン画 (C) MMXV Visiona Romantica, Inc. All rights reserved.

――えっ、監督本人が指名しているのに、それでもコンペをするんですか?

種田:そうなんです。特に僕のような海外の人間が美術監督――プロダクトデザイナーとして入ることはさまざまな制限があるんです。ハリウッドメジャーには業界団体であるユニオンがあって、基本的によそ者が入り込んで美術監督をすることはできないんですよ。

――『キル・ビル』のときは?

種田:あれはノンユニオンの映画でしたから。それに撮影場所が中国や日本だったから大丈夫だったみたいです。アメリカだとダメだったでしょうね。ただ、それでもクレジットにユニオン以外の人間の名前が入ると、プロデューサーがユニオンに呼び出されて事情を説明しないといけないみたいですよ。

――そんな裏話があったとは……。

種田:だから、監督が「この人とやりたい」と言っても、ユニオンだとコンペ方式になるので、プロデューサーが何人か用意するんですね。

ところがタランティーノ監督の場合はちょっと違って、ぜんぶ彼が決めるんです。プロデューサーの権限はなくて、ぜんぶタランティーノ監督が決める(笑)。

――タランティーノ監督のイメージ通りです(笑)。

種田:だから僕に声をかけてもらったときも、一応面接はするから、台本を読んでイメージ画を描いて持ってきてほしいと言われました。その台本がまた難しかった。

というのは今回、セリフも多いし、登場人物の位置関係が難しいんですね。しかも、タランティーノ監督は台本にものすごく書き込むんですよ。たとえばオープニングで雪の中に立っているキリスト像がありましたが、あれも「いわゆるヒッピー的なキリストの顔立ちではなく、エイデンシュタインの『イワン雷帝』のような出で立ちをした、北欧彫刻のような、この場にふさわしくない像」とか書いているんです。

――こ、細かいですね。もう監督の頭の中に出来上がっているんですね。

種田:そう。それで面接に備えて、いくつかイメージ画を描いて持っていったんですが、監督はほとんど見ず、「おまえと一緒にやりたかったんだよ!」みたいな話に終始しました(笑)。

――(笑)。コンペ方式にしたけど、監督の中では決まっていたんでしょうね。

種田:僕に決まったと連絡が来たのは9月に入ってからだった。そして、ロケ地は標高3000mくらいの場所で、12月から撮影を開始したいと監督は希望していた。11月にはもう雪が降りだすだろうし、撮影前に高地にロッジが建ってないといけないでしょう。これはやばいとなって、決まったと同時にロケハンに行ったんです。

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インデックス

目次
(1) 「業界の慣習」を超えた再タッグ
(2) タランティーノ監督の"規格外"な画づくりの仕掛け

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