見たいタイトルにたどり着いたら、あとは視聴するだけだ。

リモコンによる再生/停止、早送り、巻き戻しなどのレスポンスは良好で、ストリーミングサービスとは思えないほど。また、早送り/巻き戻しボタンは、一回だけ押すと10秒早送り/巻き戻しになる機能を持っているのも、一瞬セリフを聞き逃した時や、途中から再開する際どこまで見たか確認する時など、非常に便利。おかげで映画&ドラマ天国すぎて、チェックと称した視聴行為に時間を費やしこの原稿を書くのが遅れまくる始末である。

特に再生機能では、ユーザーが選択する動画を予測し、映像の一部を事前にキャッシュしておくAmazonビデオ独自の機能「ASAP」によって、再生ボタンを押すのとほぼ同時に映像が開始されるのが快適だった。

さらに注目したいのは、Fire TV Stickで使える「アプリ」で、HuluやNetflix、ニコニコ動画、Gyao、U-NEXT、MLB.TV、YouTubeなど、他社動画配信サービスが充実していることだ。これらアプリをインストールすると、わざわざPCやタブレット、スマホなどに移動しなくても、Fire TV Stick一本で各社が配信している動画を楽しめるわけである。ただし、Amazonビデオ以外ではASAP機能は働かないので、回線速度によっては微妙な待ち時間が生じる。とはいえこれはFire TV Stick以外の再生環境においても同様なので、気にすることはないだろう。

「アプリ」項目では、「Hulu」や「Netflix」などの各社動画配信サービスや、ゲーム関連のアプリが並ぶ。これから増えることもあるのだろう

Fire TV StickならではのUIと操作感が◎

Amazonビデオを含む動画配信系サービスをテレビで楽しむには、ノートPCやデスクトップPCを接続するというのが、数年前までの一般的な方法であった。今ならIntelやドスパラ、マウスコンピューターなどによるスティック型PCがあるが、このFire TV Stickでは、PCでは味わえないリモコン操作と、シンプルな独自UIで、手軽に動画配信サービスをリビングの大画面で楽しむことができるようになる。特に音声検索の精度は非常に高い。通常版との価格差も1,500円程度なので、もし購入を検討している人には、音声認識リモコン版を強くおすすめしたい。

ちょっと惜しいなと思ったのは、Fire TV Stickの検索機能が、Amazonのコンテンツのみになってしまっていることだ。例えば、筆者が登録しているHulu、Netflix、ニコニコ動画のアプリをインストールしておけば、全サービスから検索結果を表示してくれると非常にうれしいのだが、さすがにシステムや権利などの問題があると思われ、難しいのだろう。とはいえ、いつか実現することを期待したい。

全体としては操作や検索方法も洗練されていて、接続さえ完了すれば誰でもすぐに使えるだろう、という印象だ。動画配信サービスに加入している、興味があるという人ならば、持っていて損はないアイテムではなかろうか。