Qualcommの次世代SoCである「Snapdragon 820」。中国・北京で同社が開催したお披露目イベントでは、新機能の紹介とともに、その新機能のデモが実際に行われた。それとともに、Snapdragon 820搭載のリファレンスモデルを使ったベンチマークセッションも設けられており、そのパフォーマンスも確認できた。

Snapdragon 820は、ワイヤレス充電として「WiPower」に対応している。WiPowerは、Qualcommらが推進するAlliance for Wireless Power(A4WP)が推進するワイヤレス充電規格。PC向けでもIntelらがRezenceを推進しているが、これとも互換性がある。A4WPは、同じワイヤレス充電規格のPower Matters Alliance(PMA)と一緒になり、AirFuel Allianceを設立しており、Intel、Qualcommが推進することで、今後製品の拡大が期待されている。

デモは比較的大型の充電台で、タブレットを充電。10cmまでの距離で充電できるため、充電台がテーブルの下にあっても問題なく充電できるという。デモではガラステーブルだったが、木製のテーブルでも充電でき、「メタル製のテーブルでも問題ないはず」(説明員)としている。

WiPowerの充電デモ。台に置くだけで充電できる

テーブルの下に充電台を置いても充電できる

特徴の1つが、デバイス側の素材がメタル系でも構わないという点。ワイヤレス充電を使うために素材の制限がないということから、デバイスの自由度が増す。スマートフォンのカバーを装着していても問題ない。

タブレットやスマートフォンはそれほどバッテリ容量も大きくないため、今回のデモでは最大15Wの電力供給が可能で、より大型のデバイスに対してはより高出力での供給も可能だという。

デモの充電台は、テーブル上に平らに置いた状態と、スタンドを立ててタブレットスタンドにもなるようなデザインで、実用性も高い。規格上は同時に複数のデバイスも充電でき、素材の自由度も高いため、テーブルに埋め込んだり、スマートフォンスタンドに埋め込んだりと、今後普及に伴って製品のバリエーションも増えそうだ。

充電機能としては「Quick Charge 3.0」もサポート。バッテリ残量ゼロ%から80%まで35分で充電でき、Quick Charge 2.0に比べて20%の改善となっているそうだ。従来のQuick Charge 1.0/2.0との互換性は確保しており、コネクタはUSB Type-A/C、マイクロUSBをいずれもサポートする。ケーブル自体は既存のもので問題ないそうだ。

Quick Charge 3.0では、接続した端末の充電能力を判別し、3.6Vから20Vまでを自動で制御する仕組みも備えている。Quick Charge 2.0では、5V、9V、12V、20Vの4段階しかなかったが、さらに細かな電圧で制御できるそうだ。

Quick Charge 3.0のデモ。こちらはリファレンス端末への充電能力をワットチェッカーで測定

こちらはモバイルバッテリーに対しての充電。スマートフォンに対してより出力が高くなっている