――そんな『人生のパイセンTV』での「演出」の業務範囲はどのようなものになるんですか?

業務範囲というと、基本的に全ての作業をやっています。ロケも行って、打ち合わせもやりますし、編集もディレクターからVTRをもらって全部自分でやり直したり、ナレーションも全部考えて、テロップも一個一個全部発注して直しもしますし…だから全てですね(笑)。

――えーーっ!? それは大変ですね! さらにフロアディレクターもやってらっしゃる。

はい、欲張りなんでしょうね。やたらテレビに映りたがりますし(笑)

――単発番組でやっていたペースを、そのままレギュラーでもやっている訳ですね。

最初は周りにも「無理だろう」と言われたんですけど、無理だと言われると燃えるたちなので、じゃあやってやろうじゃねぇかと思うんですよね。でも、もうペースはつかみ始めていて、ネタが余るくらいの撮れ高があります。今は10人くらいのパイセンに密着していて、誰が誰だか分かんなくなってきてます(笑)

――番組の尺は30分だから、収まりきらないですよね。でも先日の放送では、若林さんとベッキーさんのオープニングトークに、かなり時間を割いていましたが(笑)

そうそうそう! あの2人が面白くて! あの2人があんなにのびのびとやっている番組ってなかなかないので、うれしいんですよ!

――若林さんがあんなにしゃべっている番組はないかもしれません。

僕も一緒にスタジオのフロアにいて、お2人としゃべっていると、一緒に飲んでるような気持ちになっちゃうんですよ(笑)。スタジオがなんか一体感のある空気になるんですよね。VTRはエグいんですけど、それと反比例して、あの2人はゆったりとした空気を作り出してくれるんです。それがなんかすごくうれしくて、お客さんも入ってきてくれますし、そういったアットホームな空気感が流れ始めるので、それがすごくありがたいなと思っています。

――ベッキーさんは、この前の放送で"1人ミュージカル"(※1)を披露していましたよね。あんなベッキーさんも見たことないです。

あれは最高でしたよね! 本当に腹抱えて笑っちゃいました。ベッキーさんは、最近進行役が中心で、当たり障りのない役になっちゃうことが多いですから、うれしいですね。

(※1)"1人ミュージカル"
ベッキーが親友に街中で急にやりはじめた。ご飯を食べた後に「ねぇ! 今日のお寿司…おいしかったね。♪イクラ~ホタテ~あま~エビ~ 全部わたしのおなかの中~!」と、2015年11月15日の放送で披露。

――「テレビじゃ絶対やらないと思ってたのに!」と言いながらやっていましたもんね。そういう空気があるんでしょうか。

そうですね。出ちゃうんだと思うんです。若林さんもプライベートな話をバンバンしてくれます。

――演出面についてもお伺いしたいのですが、やはり特徴的なテロップや、激しいナレーションが印象的です。どのような意図があるのでしょうか?

最近は、どの番組を見ていてもテロップの入り方が一緒ですし、ナレーションも同じなので、そういうのを覆せないかなと思っていたんです。新しいバラエティを作れないかなとずっと思っていて、ここでやっと自分にチャンスがきたので、思い切り振り切ってみました。

――テロップを入れるのも、時間がかかりますよね。

普通の番組の倍くらいかかっています。直しの量ももちろん倍になるので、毎回収録開始の10分前までVTRを作っています(笑)

――台本も紙1枚だそうですね。

台本なんて作らなくても、VTRを見てもらえれば大丈夫だろうと、ある意味そこに賭けています。だから、打ち合わせも「今日もお願いします」とあいさつだけする感じです。最初はMCの2人も相当不安がってましたけどね。「えっ?えっ? 終わり? 終わり?」って言われても、「大丈夫です大丈夫です! 感想言ってくれれば大丈夫です!」って返していました(笑)

――ベッキーさんの楽屋で打ち合わせかと思いきや、ずっと笑い声が聞こえていたと若林さんが言っていました。

その日ちょうどベッキーさんが出演するイベントがあったので、「行けなくてサーセン!」って謝ったら「呼んでないから!」って言われました(笑)

――出演者とのコミュニケーションの時間なんですね。

そうですね。「いやぁ、ちょっとまた仕上げてきましたよ。日サロで!」って報告すると「VTR仕上げなさいよ。どうでもいいそういうの!」「そこは求めてないんだよ!」って、前室でも楽屋でも、こんな感じです(笑)