――では、少々話題を変えて、EV/HVに行きます。カルフォルニアは例外的に排ガス規制が厳しい土地柄なので議論を別にするとして、アメリカ全体でのEV/HVの需要はどのようなものでしょう?

Amrit:非常にゆっくりだ。いくつか理由がある。まず、ガソリンの値段がまた下がった。バッテリーのコストが高い。そして最新のテクノロジーの採用により(ガソリン車の)燃費も改善している。最近のSUVは45mile/Galで走るし、Sporting SUVはTeslaより安い。ただ基本的に商品構成として、相変わらず大型車が好まれている。アメリカ人はでかい車が好きだからね(笑)。

――経済危機の後、多くのアメリカ人が大きな車を手放して小さなエコノミーカーに乗り換えていた記憶がありますが(笑)

Amrit:それはほんの僅かな間だ。もう今はまた皆、大きな車に乗っている。確かにハイブリッド車を買うユーザーは居るが、全体としての割合が増えているとはいえない。

――つまり、ルネサスのEV/HVソリューションの需要は今のところ米国では高く無い

Amrit:今のところは、だ。今後どうなるかはガソリンの値段や、あるいは例えばシリコンバレーの会社がみんなEVを使うようになるとか、有名人がEVに乗るとか、そういうことがあれば変わるかもしれないが、予測は難しい。昔からEV/HVは伸びる伸びるといわれ続けてきたが、いまのところは単調増加に留まっている。どこかで急激に伸びる時がくるかもしれないが、今のところはその様子はない。旧来のテクノロジーの方が安いからね。EVが普及するかどうかの鍵はバッテリーだと思っている。

――最後に、日本の読者にメッセージをお願いします

Amrit:我々は3つの事に責任を持つ。まずはシリコン(半導体チップ)を開発し、供給する事だ。我々は優れた組み込みフラッシュやアクセラレータ、それらを組み合わせる技術などを有しており、これを利用して付加価値を高められる半導体製品を提供する。2つ目は、プラットフォームを提供する。我々はさまざまなプラットフォームをTier 1に提供することで価値を提供する。なので、このプラットフォームの上でさまざまなものを構築して欲しい。そのためのグローバルなサポートも提供する。これが3つ目だが、この3つの事について、我々は責任を持って、今後も進めていく。だからこそ、大いに我々を活用してもらえれば、と思っている。