2015年前半は「Windows 10」一色だったが、後半にはOffice 2016が控えている。9月4日からはWindows 10パッケージ版のリリースも始まり、最新動向や今後の展開が気になるところだろう。

日本マイクロソフトのプライベートイベント「FEST2015」にて、2日めの基調講演に登壇したMicrosoft Apps and Services Marketing担当CVPのJohn Case氏と、Microsoft Windows Brand & Product Marketing担当ジェネラルマネージャーのJeremy Korst氏にお話を伺うことができた。今後の動向や、次期Officeの情報を紹介しよう。

アプリ&サービス責任者が語る「時は既にOffice 365」

最初にCase氏が強調したのは、「ミレニアム世代の登場(*)」とワークスタイルの変革である。

Microsoft Apps and Services Marketing担当CVPのJohn Case氏

FEST2015初日の基調講演でも日本マイクロソフトのテレワーク週間を取り上げたが、Case氏は「2020年までに企業はミレニアム世代で構成される。彼らは我々と異なったツールやモバイルデバイスに慣れているため、これまでとは違うアプローチが必要だ」と語った。

日本の少子高齢化についても触れ、「日本の人口構造はユニークだ。労働人口の高齢化も相まってワークスタイルを変えなければならない」と強調する。

※ミレニアム世代 : 主に米国で1980-2000年初頭に生まれた若者。デジタルネイティブとも称される。

このような背景から、プロダクティビティの向上やモダンなワークスタイルが重要だというCase氏は、Office 365とOffice 2016についても次のように語った。「新しいコミュニケーションスタイルをOffice 365に提供する。(2015年7月に発表した)Skype for Businessを筆頭に、PSTN(公衆交換電話網)回線を用いた会議やクラウドPBX(構内交換機)など、次々と新機能を投入する予定」という。また、ミレニアム世代に対するアプローチとして、2012年にMicrosoftが買収したSNS「yammer」の活用を推奨した。

「ミレニアム世代が慣れ親しみやすいSNSとして、メールやSkypeよりもスムーズに話し合いが進む。私が好きな事例の1つが、英国のブリティッシュ航空だ」と説明し、「IT部門以外の社員が話し合いに参加し、コックピットの変化や自社サービスの提供方法を話題にしている」という。このコミュニケーションをフィードバックとして生かせば、活用や情報共有にも使えるはずだ。日本マイクロソフトの担当者によれば、国内でも伊藤忠商事がyammerを導入し、報告や情報のキャッチボールに活用しているという。

話の主軸はOffice 365であり、日本で根強い人気を持つパッケージ版のOffice 2016に関する話は多く出なかった。その理由としてCase氏は「Microsoftの開発モデルが変わった」ことを理由に挙げている。Office 365ユーザーならお気付きかもしれないが、新機能は最初にOffice 365へ投入し、将来的にユーザーから需要があればOffice 365の機能を「Office 20XX」としてリリースする可能性があると語った。

Officeチームが主眼に置くのは、Office 2016ではなくOffice 365なのである。パッケージに慣れてきた我々としては寂しい気持ちが残るものの、時代の趨勢としてはしかたないだろう。ただCase氏は「日本がOfficeにおけるユニークな市場であることは理解している。PIPC(プレインストール)版の人気が高いため、昨年展開したOffice PremiumおよびOffice 365 Soloは、PIPCを考慮したモデルとして用意した」と個人向けOffice 365の日本市場展開の仕組みを説明した。

ワールドワイドの業績結果を訪ねると、Case氏は「コンシューマー向けOffice 365は1,500万人、月あたりの増加数は100万人。ビジネスユーザー数は約5,000万人、過去1年間に対する成長率は75パーセント。このような結果から、コンシューマー向けOffice 365ユーザー数とパッケージ版の比率は、前者が50パーセント以上になることを目標に掲げている」という。