簡素化の"コア"となるのが、同日発表された「VMware EVO SDDC」である。これは、昨年発表された「VMware EVO Rack」を刷新したもので、ユニファイド・システムSDDCを実現させる完全自動化のソフトウェアスイートである。SDDCの複製やライフサイクル管理、さらに仮想/ロジカルなリソースだけでなく、物理リソースも同時に管理できるのが特徴だ。搭載されている「Hardware Management Services」により、異なる種類のスイッチサーバ、配電ユニット(PDU)などの各ハードウェアを抽象化し、管理できる。
「EVO SDDC Manager」とほかのSDDC Managerを組み合わせることで、1つのEVO SDDCとして、素早くスケールアウトすることが可能だという。当初、VMware EVO SDDCは、パートナーであるデル、QCT(Quanta Cloud Technology)、VCEからOEMの統合システム製品として提供される。
もう1つ拡張で注目すべきが「Cross-Cloud vMotion」である。これは、オンプレミス環境と、vCloud Air(パブリッククラウド)間でライブワークロードマイグレーションをシームレスに実現するものだ。基調講演では、サンタクララ(カリフォルニア州)のオンプレミス環境で稼働しているLDAPサーバを、バージニア州にあるvCloud Airのデータセンターへ移行するデモンストレーションが行われた。なお、Cross-Cloud vMotionは「Project Skyscraper」の1機能という位置づけで、現在は技術プレビューとなっている。
コンテナと仮想マシンを1対1で対応する「vSphere Integrated Containers」
また、VMwareはクラウド・ネイティブ・アプリケーションの素早い導入を支援する「VMware vSphere Integrated Containers」と「VMware Photon Platform」のプレビュー版も公開した。
VMware vSphere Integrated Containersは、本番環境向けのコンテナベースのインフラを開発者に提供するもの。米VMwareの最高技術責任者(CTO)兼最高開発責任者(CDO)のRay O'Farrell(レイ・オファラレル)氏は、「過去、クラウド・ネイティブ・アプリは、インハウスで作られており、スピードやアジリティが必要だった。VMware vSphere Integrated Containersを利用すれば、ユーザー企業は既存のVMware vSphere環境上で展開しているツールを活用しながら、コンテナ化されたアプリを活用できる」と語る。
以前は、仮想マシンでコンテナを扱うと、管理ツールから見ることができず、セキュリティが担保されないという課題があった。しかし、VMware vSphere Integrated Containersでは、コンテナと仮想マシンが1対1でマッピングされる。そのため、仮想マシンに紐づけた形でセキュリティを確保できるという。
なお、VMware vSphere Integrated Containersは、CoreOS Tectonic、Docker、Kubernetes、MesosphereのData Center Operating System、Cloud Foundryなどから提供されるソリューションと統合することが可能だ。
一方、VMware Photon Platformは、クラウド・ネイティブ・アプリの開発基盤であり、「VMware Photon Controller」と「VMware Photon Machine」で構成される。
VMware Photon Controller は、大規模/変動の大きいワークロード、高可用性などの環境に最適化されたマルチテナントかつAPI ベースのコントロールプレーンである。VMware Photon Machineには、VMware ESXiをベースとした新しいESXマイクロバイザと、コンテナ化されたアプリケーションやVMware 環境に最適化された軽量Linux OS(Project Photon OS)が包含されている。なお、将来的にはVMware NSX、VMware Virtual SAN、VMware vRealize Suite との統合も予定しているという。