日本ヒューレット・パッカードは4月16日、レーザープリンタ「HP LaserJet」シリーズの新製品を7モデル発表、同日より順次販売を開始した。今回の新モデルは、カラープリンタが3機種、モノクロプリンタが2機種、複合機が2機種。同社の新型レーザープリンタ発表は、2012年12月以来、実に2年4カ月ぶりのビックチェンジとなる。

今回の新モデルで目玉となるレーザープリンタ「HP LaserJet Enterprise Color M553dn」

モノクロ複合機「HP LaserJet Enterprise MFP M830z」

カラー複合機「HP LaserJet Enterprise Color MFP M775z」

合わせて、従来機のモノクロプリンタ(Enterprise M601dn/M602dn/M603dn)、およびカラープリンタ(Enterprise Color M551dn)が順次販売終了となる。HP LaserJetシリーズ全体では、従来の15モデルから18モデルへと、ラインナップ拡大された。日本におけるレーザープリンタ市場のシェアでは、日本HPは8位以下(出展:IDC Japan)に甘んじているが、世界シェアはNo.1であり、その製品力は侮れないところだ。

2015年春、HP LaserJetプリンタ/複合機発表会

16日にはプレス向けの新製品発表会も開催された。冒頭、日本HP パーソナルシステムズ事業統括 プリンティング事業統括本部 プリンティングビジネス本部 本部長 中原和洋氏が登壇。同社のプリンタについて歴史を振り返るとともに、発表の目玉となるトピックを紹介した。

日本HPの中原和洋氏

レーザープリンタの世界シェアは33%にのぼる(出展:IDC Worldwide Hardcopy Peripherals Tracker, 2014Q4)

HPのレーザープリンタ誕生は1984年までさかのぼる。当時としては、画期的な300dpiの印字を可能にした「LaserJet」が初登場。以来、30年余り世界市場をリードしてきた。現在、そのシェアは33%にまで達した(出展:IDC Worldwide Hardcopy Peripherals Tracker, 2014Q4)。また、インクジェット/大判プリンター/デジタル印刷機においても、世界シェアNo.1としている。

HP LaserJet シリーズ新製品リリースポイント

中原氏は、日本HPはチャレンジャーとしながら、日本市場で巻き返しを図るための足掛かりとなる新製品のポイントを、以下の3点に絞ってアピールした。

  • HP JETINTELLIGENCE(ジェットインテリジェンス)&新エンジン搭載プリンタ
  • HP LaserJetプリンタのベストセラー機「M600」シリーズ後継機
  • HP LaserJetシリーズに新しくA3プリンタと複合機を追加

この中でも特に、1番目の「JETINTELLIGENCE」(ジェットインテリジェンス、詳細は後述)が目玉だ。7モデルある新製品のうち、カラープリンタ「Enterprise Color M553dn/M552dn」の2機種だけに先行搭載される独自トナー技術、JETINTELLIGENCEに注力した。

また中原氏は、HP JETINTELLIGENCEを、1984年のHPレーザープリンタ販売開始以来の「技術革新」と定義。新設計ハードウェアとの相乗効果によって、具体的には「スリープからの1枚目出力を50%短縮」、「両面印刷速度を31%高速化」、「約51%の省電力化」、「印刷可能枚数が最大58%アップ」といったメリットを挙げた(いずれも従来機Color 500 M551dnとの比較。HP調べ)

独自トナー技術「JETINTELLIGENCE」と新設計エンジン・ハードウェアによる効果

新製品リリースのポイント

HP LaserJetプリンタ・複合機の新ラインアップ

HP LaserJet シリーズコアバリュー

まとめに中原氏は、「今後レーザープリンタのトータルポートフォリオを強化拡大、HPの存在価値を市場にアピールしたい。長期的には、HP JETINTELLIGENCEテクノロジーを全製品に展開していく」と意気込みを語り、バトンタッチ。

見えにくいコスト

日本HPの安尾浩誠氏

続いて登壇したのは、日本HPのプリンティングビジネス本部 レーザージェットプリンティング部 安尾浩誠氏。HP JETINTELLIGENCEテクノロジーの詳細を紹介するとともに、新モデルの製品説明を行った。

まずはプリンタの「見えるコストと見えにくいコスト」に言及。今回の新モデルが効くツボとして、消費電力、印刷出力・終了までの待ち時間、消耗品の交換作業、メンテナンス工数、ミスプリント、トナーの汚れ品質問題など、地味ながら見えにくいコスト(機会原価の損失を含む)があると、その改善の重要性を訴えた。

本日のアジェンダ

見えるコストと見えにくいコスト

HP独自の「JETINTELLIGENCE」

そして、M553dn/M552dnの2機種に搭載される、HP独自のJETINTELLIGENCEテクノロジーの詳細を説明。ポイントは以下の4つで、トナーの開発から運用管理までの一連の技術を指す。

  • 新開発「ColorSphere3トナー」(粒子レベルの開発)
  • 新設計のカートリッジを採用(ページ・マキシマイザーを実現)
  • 高精度な残量トナーゲージ
  • 非純正トナーの検知と制御(デフォルト設定はオフ)

HP LaserJet Enterprise Color M553dnの新型トナーカートリッジ

左奥が新型トナー、右が従来品のトナー。トナーの横幅がコンパクトになり、プリンタの小型化に貢献

M553dの残量トナーゲージ

さらに、「自動トナーシールの巻取り」までを含めて、ユーザーに「より速く、よりエコに」「より多く、手間無く」「より安心を」を提供するとした。

HPLaserJet Enterprise Color M552dn/M553dn A4カラーレーザープリンタの特徴

HP JETINTELLIGENCEテクノロジー概要

新トナーの開発

新開発「ColorSphere3トナー」

ページ・マキシマイザー

残量トナーゲージ

非純正トナーの検知と制御

自動トナーシールの巻取り

HPLaserJet Enterprise Color M552dn/M553dnの機能・特徴

M551dn vs M552dn/M553dn

HPLaserJetEnterpriseシリーズ史上 スリープ時ファーストヘージアウトの最速タイム

両面印刷もA5用紙印刷も高速化

優れた省電力化を支える先進の機能

HP LaserJetシリーズにA3機を拡充

HP JETINTELLIGENCEテクノロジーの今後の展開

また、定番のA4モノクロレーザープリンタ「HP LaserJet Enterprise M605dn/M606dn」も正常進化。印刷速度がM605dnでは約55枚/分、M606dnでは約62枚/分と、現行機のM602dn/M603dnから高速化を実現。ファーストプリントアウトの時間短縮や、トナー印刷可能枚数の増加、さらに省電力化も遂げた。

その他、A3対応と複合機のラインナップを拡充するために、カラーレーザープリンタの「Pro Color CP5225dn」とカラーレーザー複合機の「Enterprise Color MFP M775z」、モノクロレーザー複合機のハイエンドモデル「Enterprise MFP M830z」という計3モデルを、2015年5月14日に発売予定だ。最後に中原氏は「プリンタ事業を今後、戦略的に伸ばしていく」としたうえで、「直販や販売パートナーについても、営業体制を強化していく」とまとめた。