新年度を迎え、日本各地で新入社員の入社式が実施されている。東京・大井町の三菱鉛筆本社では、新入社員が鉛筆削りに挑戦する「鉛筆けずり入社式」が行われた。
「鉛筆けずり入社式」は、同社の鉛筆「uni(ユニ)」発売50周年に当たる2008年にスタート。当時の新入社員が、「節目の年に、三菱鉛筆だからこそできる入社式をやりたい」と直談判し実現したのだという。当初はその年限りの実施を想定していたのだが、毎年の恒例行事となり今年で8回目を迎える。
結構難しい鉛筆の手削り
まずは新入社員が自由に「uni鉛筆」を小刀で削る「新入社員の鉛筆けずりチャレンジ」から始まる。彼らが削る鉛筆には「2015.4.1. Welcome to Mitsubishi Pencil」の名入れがされている。「ただひとつの」を意味する「Unique」がネーミング由来の「uni鉛筆」を削ることで、発売当時(1958年)の先輩たちのチャレンジ精神を感じて欲しいという狙いもあるという。
新入社員20名のうち、小刀で鉛筆を削ったことがあるのは5名のみ。残る15名は初体験だ。「過去には信じられない削り方をする新入社員もいた」と同社人事が語るように、危なっかしい手つきの社員もちらほら見受けられた。初めて小刀で鉛筆を削った社員からは「鉛筆が思ったより硬い」「芯をまっすぐ削りだすのが難しい」「先端がとがりすぎて、書きづらそう」といった声が上がった。
次に商品開発デザイングループの先輩社員が、新入社員の前で鉛筆の削り方を披露。慣れた手つきであっという間に鉛筆を削りだす姿は、「さすが先輩」といったところだ。その後、先輩のアドバイスを参考に、再び鉛筆削りに挑戦する。新入社員らは、うまく削れた鉛筆の書き心地を試して満足げな様子であった。
美文字講座に書き初めも
続いて実施されたのは、ペン字講師 阿久津直記氏による「10分間で『美文字』になるための講習」。「正しい字」の定義に始まり、「1文字につき1箇所を長く書く」「横幅をそろえることを意識する」などのポイントが紹介された。
最後に新入社員が自分で削った鉛筆を使い、入社の抱負や目標の「書き初め」を行った。新入社員は、美文字講習をもとに「真っすぐな芯のある人間になる」「一筆入魂」などの抱負をきれいな字で書きつづった。
同社人事担当からは「削る前の鉛筆は、どんなに優れた品質であってもそのままで書くことはできません。今日みなさんが丁寧に手で削った鉛筆のように、絶えず自分自身を研ぎ続けて、皆さん自身の持ち味を発揮して活躍して欲しい」と激励のメッセージが送られ、今年の「鉛筆けずり入社式」は幕を閉じた。