身の周りの風景や毎日の食事、趣味のものなど、カメラロールに日々溜まっていく写真。App Storeの「BEST OF 2014 今年のベスト」の1つに選出された「Poin」は、そうした自分の興味関心を、同じものを好きな誰かと共有できるアプリです。ユーザーさんはどんな風に楽しんでいるのでしょうか。

今回はまずアプリの特徴や人気の理由について、Poinを開発・運営するM&Cの代表取締役CEO古原忠直さん、リードデザイナーの瀬戸口翔大さんに聞いてみました。

M&C 代表取締役CEO 古原忠直さん

M&C リードデザイナー 瀬戸口翔大さん

本棚を見るとその人が分かる

写真を共有する方法はいろいろとありますが、Poinは「自分の興味」を軸に写真を見たり投稿できるのが特徴。もともとは、古原さん自身が「こんなサービスが欲しい」と考えたのが出発点だったと言います。

みんなの興味関心が詰まった「Poin

古原さん 「私は日本酒が好きなのですが、例えばFacebookで毎日のようにお酒の話を書くと、リアルな友達もその話ばかりでは読みたくなくなるかもしれません。でも、居酒屋で偶然隣に座った人と好きな銘柄の話で盛り上がれることもあります。初対面でもカメラ好きやコーヒー好きなど、共通の話題があると話が弾むと思うんです。そういう興味関心でつながれる場を作りたい、というところか始まっているんです。」

テーマごとにブックを作り、本のページを足すように写真を追加していける

テーマごとにフォーラムのような形で交流の場を設けたコミュニティーサービスはパソコン通信の時代からありましたが、それは公共の集会所として運営される"場所"中心の仕組みであり、個人が自分を主体として発信するための場ではありませんでした。これに対してPoinは、自分の趣味・好きなものを自分の部屋の中で楽しめるようなイメージで作られています。

一言で趣味と言っても、多趣味な人もいれば一筋な人もいるし、新しい趣味を始めたり、飽きてしまったり、こだわり度合いも人によって様々。それを、どんな人もムリなく使えてストレートに伝えられるようにするためにはどうすればいいのか。Poinの開発チームが1年半以上も試行錯誤を重ねて生み出したのが、「ブック」という仕組みです。

古原さん 「Poinはブックを作って投稿することが特徴的ですが、基本的にはそこに自分の撮った写真をアップして一言添えられる、そのブックをフォローし合えるという非常にシンプルな機能で成り立っています。ブックはただ仕組みであるだけでなく、その人の興味関心のまとめのようなもの。ブックを作ること自体が、こういうものが好き・関心があるということの表れなんです。」

瀬戸口さん 「興味関心を突き詰めていくと、人は本棚のような感じ。一冊一冊に自分の興味を書き溜めていく中で、たくさん書かれているものもあれば、始めてみたけど続かないものもあります。パワーの行き先がだんだんブックのページ数に表れてくる様子が面白いですね。」

テーマごとにブックを作って投稿。ブックのページ数を示す数字が、その人の関心度の高さといえる

気になるブックやユーザーさんをフォローし

タイムラインにはフォローしたブックとユーザーの写真が時系列で表示

毎日の自分の「足跡」が見える

Poinのアプリアイコンは、小さな肉球が目印になっています。これには「写真を撮ること」を「足跡を残すこと」に例えたPoinのコンセプトが表現されています。

古原さん 「興味が無いもの、関心が無いものの写真は、普通は撮りません。写真を撮ることはそれ自体が自分の興味関心の表れなんです。それが溜まっていくことで、自分の毎日が見えてくる。僕等にとって写真はアートというより、一枚一枚がその人の足跡だと思っているんです。」

そのコンセプト通り、Poinでは非常に高い比率の人がブックの更新を続けています。2013年10月に一般向けにサービスが開始されて以来、「毎日、Poinを開いた人のうち3~4割がコンテンツを更新」(古原さん)する状況が続いています。一般的にインターネットでは1%の人がコンテンツを作り、99%は閲覧するだけ(=1%の法則)と言われます。CGM(利用者が投稿してコンテンツが作られるサービス)に限っても、投稿する人はおよそ5~20%。30%を超えるのは稀有な数字です。

古原さん 「Poinはユーザーさんのコンテンツがないと成り立たないので、いかに気持ち良くブックに写真を上げられるかというのがすごく重要です。我々としてはどんな指標よりもそこを大切に考えています。」

瀬戸口さん 「興味に特化している分、熱量がすごいんです。同じ興味を持つ人たちがブックを介して集まるので、それぞれのブックがコミュニティーのようにもなっています。」

みんなで一つのブックを作れる機能が追加され、コミュニティーのような場に

アナリティクスの分析によると、ユーザーの8割以上が女性。年齢構成は幅広く、14~26歳の層が最も多いものの、54歳以上も5%程度含まれているそうで、一般的にどちらかに偏る傾向があると言われるスマホアプリとしては少なくない割合です。自分の趣味や好みを語るのは、年齢性別関係なく楽しいもの。他の人の活動を見て楽しむことで、自分の活動にもより積極的になるという好循環が生まれているようです。

意外なところでも繋がりが生まれるかも

利用者が増え、投稿される写真も増えてきたPoin。昨年末のアップデートではブックを分類するカテゴリを大幅に増やし、同じ趣味のブックをより見つけやすくしました。古原さんは、これからはさらに"つながりやすい"仕組みを作っていくのが目標だと言います。

古原さん 「好みの合いそうなユーザーさんやブックを自動的にレコメンドするなど、まずは見つけやすくすることですね。もう一つは、例えばカメラ好きには手書きの手帳が好きな人が多いなど、違うようで意外な関連が見つかっているものがあり、そういう関連についてデータを集めていくと、今までと全く違う理屈でつながりやすくなる仕組みができるのではないかと思っています。」

ブックは投稿の内容から自動的にカテゴリ分けされる

カテゴリのボタンをタップすると、同じカテゴリのブックを一覧

同じ趣味・好みを共有するだけでなく、今まで知らなかった趣味や価値観に出会えるのもまたPoinの面白さ。逆に、特に趣味は持っていないと思う方も、始めてみれば自分の一面が見えてくるかもしれません。

瀬戸口さん 「Poinを開発中に、よく周囲の人にあなたの興味関心は何かと聞いたんですけど、案外答えられなかったんです。自分もそうでした。でも、明確な興味関心を持って活動している人を見ているうちに、そこから芽生えるものもあると思うんです。」

古原さん 「誰かに見せたり、つながりや発信ありきではなくても、自分で写真を整理する場としても使っていただけます。やっているうちに自分の関心が自然と見えてくるし、きれいに残すこともできます。そういう風に始めている人も多いんですよ。」

ブックは非公開・限定公開の設定も可能

日記が続かない人も、日々食べたものや、身の周りの風景、好きなものの写真ならカメラロールにたくさん入っているのでは。せっかくの記録を溜めっぱなしにせず、Poinで日々の足跡を振り返ってみてはいかがでしょう。次回はPoinのユーザーさんをピックアップしてご紹介します。