マイナビは8日・9日の2日間、今シーズン、東京で初開催となる大型合同会社説明会「マイナビ就職 MEGA EXPO」を開催した。東京ビッグサイト全館を貸し切って実施され、2日間の参画企業数は1,230社、来場者数は約6万3,000人と、過去最大規模となった。
スケジュール後ろ倒しで学生からは「不安」の声も
日本経済団体連合会による「採用選考に関する指針」(2013年9月)を受け、3月1日に広報活動が開始された2016年卒の就職活動。インターンに参加した、あるいは外資系企業の選考を既に受けている、という声などもあるが、本格的なスタートダッシュを切ったばかりという学生も多い。
イベントに参加した男子学生は、「昨年とは違うスケジュールで戸惑いもあったが、(エキスポでは)興味がある業界の企業の説明を聞いて、理解を深めたい」と意気込みを語っていた。
活動の後ろ倒しについて、都内の大学に通う女子学生は「先輩の就職活動が参考にならないので不安。後ろ倒しになったということは、(就活)開始から卒業までの時間が短くなったということ。夏にしっかり内定を取れるように努力したい」とコメント。また、「公務員と併願を考えていたが、スケジュールの変更で一般企業の就活と両立ができるかが心配」と語る学生や、「後ろ倒しになった分、企業研究や自己分析に時間をかけることができている」という学生も。例年とは異なる就職活動に対する不安の声が上がる一方、就活準備をしっかり出来たという声も上がった。
選考期間短縮で企業も「採用が厳しくなる」と懸念
景気回復に伴い、15.5%の企業が「採用増を目指す」と回答している今年の採用活動。短期間で内定者数を確保しなくてはならず、9割以上の企業が「採用が厳しくなる」と予想している(「2015年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」)。
大手IT企業の人事担当者は、「3月に本格的なスタートを切ったばかりだが、既に多くの学生にエントリーを頂いている。ただし、外資系などは採用を始めているところもあり、8月選考活動開始の影響は大きく出る可能性がある」と語った。
各社は早期に母集団となる学生を確保するため、説明会で自社の魅力をアピール。社員を動員し、学生に積極的に声をかけたり、仕事についての質問を受け付けたりする姿が見られた。
また会場では、トヨタ自動車、電通、住友商事などによる企業講演があったほか、東急不動産、東京建物、野村不動産、三菱地所、森ビルの大手総合不動産ディベロッパー5社の採用担当が、街づくりの魅力や就職活動について、パネルディスカッション形式で学生の質問に回答するという合同説明会ならではのイベントも実施された。
ディスカッションで学生から「入社した決め手」について尋ねられた人事担当者は、「個性を大切にし、幅広い分野に対して自由に挑戦できる環境」「4~5年目で地図に残るような大きな仕事を主体的に任せられている点」「開発だけではなく、既存の物件にも働きかけをしている点」など、自社の魅力を語った。
就職活動が早期化・長期化していた傾向を受け、学生が学業に専念できるようにと導入された採用時期の後ろ倒し。これまでとは異なるスケジュールゆえ、前述のとおり、イベントに参加した学生や企業の担当者からは「内定が取れるのか」「必要人員が確保できるか」と不安の声が多く聞かれている状況だ。
本来の目的である「学業専念」が実現しうるのか、それとも後ろ倒しに伴い研究活動などが妨げられてしまうのか。選考開始まであと5カ月、日本の就職活動はどのように変わるのか、しっかりと見届ける必要がありそうだ。