ハイテク企業ひしめくシリコンバレーは、人材の取り合いでも有名だ。少し前にAppleやGoogleらが同地でお互いの従業員を引き抜かないと協定を結んでいたことが違法となったのも記憶に新しい。それほどにスキルある優秀な人材に有利な"売り手市場"が、シリコンバレーにできていることを意味しているともいえる。
若干30歳で優秀なブレインに恵まれた、ネット企業大手FacebookのMark Zuckerberg氏によると、人材起用のポイントは1つだという。The Telegraphが「Mark Zuckerberg氏が明かすFacebookの起用ルール(原題:Mark Zuckerberg reveals his one rule for hiring at Facebook)」としてレポートしている。
大所帯の組織は重要ではない?
このレポートは、2月末に開かれた「Mobile World Congress 2015」に出席したZuckerberg氏が会期中に開催したQ&Aセッションをまとめたもの。
会場から出された質問の1つが、Facebookの人材雇用について。「どのような人を雇うのか」「何か判断基準はあるのか」――これに対するZuckerberg氏の答えは、「自分の下で直接働く人を雇用するとき、自分がその人の下で働きたいと思う人だけを雇うようにしている」だ。
その例の1つが、同社COOのSheryl Sandberg氏。Zuckerberg氏が直接起用したSandberg氏は、大学生の集まりに過ぎなかったFacebookを、「"健全な組織"にするのに大きな助けとなった」とのこと。2007年末、二人はあるクリスマスパーティに出席したことで知り合った。当時Zuckerberg氏はCOO職を特に意識して探してなかったというが、Sandberg氏を「適任だ」と思ったのだそうだ。
自分がこの人のために働きたいと思う人を雇う、つまり価値観が共有できる人が重要。この自身のポリシーについてZuckerberg氏は、「いいテストだよ。このルールがあることでかなり救われたと思う」と述べている。このようなことから、Facebookはだれにでも適している企業ではないという意味合いもありそうだ。
Facebookの社員数は2014年末時点で9199人。年間124億ドルを売り上げる企業にしてみれば決して多い人数ではなく、Googleを例に取れば、約5万5000人も働く大所帯となっている。
Zuckerberg氏はこれについて、自社の成功に重要なことだと述べたという。
「最も重要なことは、チームをできるだけ小さくすること。世界で10億人以上が利用しているが、われわれのチームは1万人もいない」
少ない人数で大きな収益を得ることは「最新の技術を取り入れることで可能となる。企業が大きくなると膨張してしまう」と語っており、選び抜かれた少数精鋭のチームで機敏に動くことを重視しているようだ。
最後に自身の成功について。19歳で起業してここまで会社が大きくなった現代のサクセスストーリーをもつZuckerber氏のアドバイスは、「自分を信頼すること」だったという。