VMwareソリューションで構築した自社向けインフラをユーザーにも使ってほしい!

ニフティクラウドは2015年1月27日にサービス提供開始から5周年を迎え、3,500件を超えるユーザー企業の導入実績を誇るパブリッククラウドサービスである。間接的なユーザーを含めれば、ニフティクラウドにアクセスする利用者は1,000万人にも上るとされる。同サービスは、時間単位の従量課金や短期間の利用/停止が可能なオンデマンド性で人気が高い。

NIFTY Cloud概要図

3500件以上の案件で利用されている

そうした高品質なクラウドサービスを支えるのが、VMwareのテクノロジーである。クラウド事業部 クラウドインフラ部 課長 浜中慶氏によれば、ニフティクラウドの仮想化環境をVMware製品で構築することになった背景には、自社インフラでの導入実績があったためだと言う。

ニフティは、大きく分けてISP・Webサービス・クラウドという3つの事業を柱としている。このうち、ISPとWebサービスだけでも膨大なシステムが必要となる。これらをいかに効率よく運用し、コスト削減に取り組むかという課題を持っていた。

ニフティ株式会社 クラウド事業部 クラウドインフラ部 課長 浜中慶氏

「VMware製品を活用することで、品質を担保したまま仮想化技術のメリットを活用し、ビジネスを拡大できると考えたのです。その結果、非常によいインフラが構築できたため、これをユーザーに還元したい、使ってもらいたいという思いが生じ、サービスとして提供することを決めました」(浜中氏)

ニフティがVMware製品を導入し始めたのは古く、2006年ごろのことだ。以降とぎれることなく活用し続け、現在ではクラウドサービスの基幹技術として、VMware製品は重要な位置を占めるまでになった。ニフティクラウドの運営にあたっては、運用の自動化や迅速なオンデマンドサービスなどに関して、高度なサポートや技術協力を受けていることから、「ヴイエムウェアは、単なるモノの売り買いにとどまらない、非常に重要なビジネスパートナー」(浜中氏)であるという。

「クラウドサービスは、技術の革新がビジネスになる分野です。先端技術をそのままサービス化できるように、ヴイエムウェアとは互いに協力しあい、その成果を事業展開に活用してきました。」(浜中氏)

クラウドを知り尽くしたニフティが選ぶ基盤技術

ニフティクラウドが多くのユーザーに受け入れられているのは、「高性能」かつ「高信頼」であるところだ。クラウド事業部 クラウドマーケティング部の向平友治氏は、その特長を次のように説明する。

ニフティ株式会社 クラウド事業部 クラウドマーケティング部 向平友治氏

「先に述べたように、当社はISP事業やWebサービス事業も展開しており、それらのシステムをニフティクラウドで運用しています。非常にミッション・クリティカル性の高いISPサービスも、高い性能と迅速性を重要とするWebサービスも、安定的に運用できていることこそが、高性能と高信頼の証明と言えるでしょう。これらを支えるVMware製品は、私たちにとって非常に重要な技術です」(向平氏)

重要なポイントは、ニフティがVMware技術を使う側でもあり、提供する側でもあり、あらゆる面でVMware製品を知りつくしているという点にある。しかし、早くからVMware製品を活用してきた同社は、先進企業であるがゆえにさまざまな問題にも直面してきた。別の技術を使った方がよいという意見が出たことすらある。それでもVMware製品を選び、使い続けてきたのはなぜだろうか。

「実は、私たちは毎年、各社のサーバー仮想化製品の評価を行っています。いくつもの製品でサーバーのデプロイ時間やHAの速度などをチェックしますが、VMware製品はあらゆる面で抜群の性能を示します。そうした基本性能は、IaaSの品質や信頼性に直結するところです。ヴイエムウェアが仮想化業界をリードするベンダーであることを感じさせられます」(浜中氏)

こうした評価の中では各機能を表にまとめることが多いが、ニフティクラウドの要件に当てはめると、単なるYES/NOでは評価しきれない部分も少なくないという。そうした細かな評価の中でも、VMware製品は段違いの性能・機能を持つというのだ。

VMware NSXを活用してより価値の高いサービスを提供したい

近年のニフティクラウドでは、「ハイブリッドクラウド」をテーマに、さまざまな機能拡充を図っている。例えば2014年11月には、オンプレミスシステムとクラウド上のシステムをレイヤー2ネットワークで接続するサービスを開始した。2015年以降も、この流れは継続する意向だ。

そうした機能の一部を担うため、同社は「VMware NSX」を導入し、ネットワーク仮想化/SDNという技術革新をビジネスに転換すべく、“仮想ネットワーク技術者”の養成を含めた本格的な展開を図っているという。ニフティのISPとしての物理ネットワークの強みに、仮想ネットワークの革新性を加えることで、さらなる価値を生み出したいという。

例えば、オンプレミスシステムをクラウド上に移行すると、どうしてもクラウド側のネットワークに合わせて制限しなければならない部分が出てきてしまう。しかし、ネットワーク仮想化技術を用いれば、オンプレミスシステムで培ってきたネットワークのノウハウを、クラウド上でも再現できるようになる。つまり、アプリケーションなどに影響することなく、クラウドへの移行が可能になるということだ。ニフティは、VMware NSXをそうした価値を提供できる基盤になると考えている。

ニフティ株式会社 クラウド事業部 クラウドインフラ部 五月女雄一氏

クラウド事業部 クラウドインフラ部の五月女雄一氏によれば、「2012年にネットワークデザインパートナーとなり、“クラウドに必要なネットワークのあり方とは”などのテーマで、VMware本社のエンジニアと深い議論を交わしてしてきました。その中で登場した要望や課題は、さまざまな形でVMware NSXに反映されています」とのことで、両社のつながりの深さが伺える。

このようにニフティとヴイエムウェアは、古くから深い協業体制を敷いてきた。しかし、新しいパートナープログラムである「VMware vCloud Air Network」(vCAN)の登場によって、サービス面での連携など、さらなる協業が期待できるとする。

「私たちは、VMwareを使いこなしているだけに、一般のユーザーには開放されていない部分の情報や機能が必要になることも多々あります。vCANを通じて、技術面でもビジネス面でも、これまで以上に強固で密接な関係を築き、共にクラウドという市場を活性化していきたいと考えています」(向平氏)