筆者の周りにも、まだ「ガラケー」ユーザーがいる。本人はスマホに乗り換えるのを躊躇している様子だ。「料金が高い」「電池がもたない」というのがその主な理由。一方、スマホユーザーの筆者としては、彼女がガラケーでネット検索している姿を見ていると、おせっかいにも「スマホの方が便利なのに」などと思ってしまう。

そんな折、KDDI、沖縄セルラー電話からAndroid搭載の折りたたみ式auケータイ「AQUOS K」(シャープ製)が発売された。日本市場で生まれ育まれた機能性はそのままに、スマートフォンの良いところを盛り込んだ端末に仕上がっているという。早速、本稿でレビューをお伝えしていこう。

OSにAndroid 4.4を採用している、折りたたみ式auケータイ「AQUOS K」。発売日は2月20日で、端末一括価格は税込み49,680円となっている

ちなみに「草食男子」という流行語をつくった深澤真紀さんが本機を「日フォン」(にふぉん)と呼んでいるそうだ。日本独自のニーズから生まれた外観と機能性を備えるAQUOS K。その誕生の背景を考えると、日本のPHONE、略して日フォンという呼び方も理解できる。

ブラウジングは快適、LINEだって使える!

スマートフォン全盛の今日。「折りたたみ式の携帯電話なんて、もう何年も触っていない」という人も多いことだろう。筆者もその一人。久しぶりの操作感に、初めは戸惑った。例えば「決定」を押したいときに、思わず画面をタッチしたくなる。しかしタッチパネルには対応していないのだ。

サイズは約51(W)×113(H)×16.9(D)mm、重さは約128g。カラーバリエーションはレッド、ホワイト、ブラックの3色で展開する。写真はレッドモデル

画面は3.4インチのTFTディスプレイ(960×540ピクセル)を搭載している。思わず画面をタッチしたくなるが、タッチパネルには対応していない

しかし戸惑いも初めのうちだけ。触っていくうちに、徐々に勘が戻った。そこでまず試してみたのはWebブラウジング。本機は4G LTEの高速データ通信に対応しているため、快適に通信できるという。その実力を試したくなったのだ。10キーの右上に配置されている「ブラウザ」ボタンを押すと、初期状態でホームページに設定されているauのサイトが表示された。ここから、Google検索で「マイナビニュース」と文字を打ち込む。物理ボタンならではのしっかりした感触で文字入力できた。

ケータイの物理ボタンは文字が打ちやすい。それを今回、あらためて再確認した

すると、すぐにマイナビニュースのサイトが上位にヒット。なるほどストレスなくWeb検索が可能だ。

写真が多く掲載されているマイナビニュースのサイトも素早く表示できた。フルブラウザのサイトも即座に表示できるのでストレスを感じない

また「タッチクルーザーEX」という機能により、ブラウジングがしやすくなっている点も本機の大きな特長。例えばブラウザの利用中に10キーを軽く指でなでると、画面にマウスカーソルが表示される。さらに10キーを軽くタップすると「決定」される仕様だ。このほか10キーの上に軽く指を置いておくとページスクロールモードになり、10キー上でピンチイン・ピンチアウトすると表示中の画面を拡大・縮小できる。同機能により、10キー全体をPCのタッチパッドのようにしてブラウジングできる。このあたり、使い勝手がよく考えられていると感じた。

10キーを軽く指でなでると、画面にマウスカーソルが表示される。タッチクルーザーEXにより、自由にブラウジングできる

ガラケーとスマホの違いが顕著にあらわれるのが、LINEの使い勝手だ。AQUOS Kは「LINEが使える」ことも謳った機種。果たして、どの程度の操作なのだろうか。そこで実際に使ってみることにした。LINEアプリはアイコンからダウンロードできる。このため、初期設定するだけですぐに利用を開始できた。UIの見た目はスマホ版とまったく同じだ。「友だち追加」に、招待・QRコード・ふるふる・ID検索が利用できる点もスマホ版と遜色ない。

LINEアプリはアイコンからダウンロードできる(写真左)。UIはスマホ版と同じ。友だち追加も招待・QRコード・ふるふる・ID検索が利用できる

ふるふるで、友だち追加も簡単に完了。このあとLINEの無料通話、トークのスタンプなどひと通り試してみたが、スマホ版と同じ要領で利用できた。

LINE無料通話、トークのスタンプなど、スマホ版と同じ使い勝手で利用できた

テザリング対応で、もはやルータいらず!?

AQUOS Kはテザリングにも対応しており、最大同時接続台数は10台となっている。そこで、テザリングも試してみた。同機能を効果的に使うために、まずは下準備。手持ちのスマートフォンに「PASSNOW」アプリをインストールした。PASSNOWはシャープが提供しているアプリで、Google Playストアから無料でダウンロードできる。

AQUOS Kと、スマートフォン/ タブレットを連携できるシャープ純正アプリPASSNOW(写真左)。AQUOS Kで撮った写真なども簡単に転送できる(写真右)

実はこのPASSNOWを使うことにより、スマートフォン/ タブレット側から、AQUOS KのWi-Fiテザリング機能のON/ OFFを自由に切り替えられるのだ。例えば、AQUOS KとWi-Fiタブレットを持って外に出たとしよう。街角で迷い、タブレットで地図を確認したくなる。こんなときも、バックの中にあるAQUOS Kを取り出す必要は一切ない。Wi-Fiタブレットに入れたPASSNOWから、AQUOS KのテザリングをONにすれば、すぐにタブレットでインターネットが利用できるようになるのだ。これは非常に便利である。電池のもちに関してはもともと定評のある「ガラケー」だが、AQUOS Kでは1,410mAhのバッテリーを搭載。一般的なガラケーのバッテリーが1,000mAh前後であることを考えると、その1.4倍の大容量となっている。これにより、テザリングも長時間利用できるのだ。

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本稿の冒頭で触れた、ガラケー特有の「ネット検索しにくい」「LINEが使えない」といった不満点を解消していたAQUOS K。電池のもちに関しても、連続通話時間が約620分、LTE接続時の最大連続待受時間が約470時間と進化している。一方で「スマホは料金が高い」というレッテルに対しても、KDDI(au)側で回答を用意していた。それがAQUOS Kの専用プラン「AQUOS K スタート割」だ。同プランではAQUOS Kを購入したユーザーに対し、最大4年間、毎月の利用料金から1,000円(税別)を割り引くという。

ガラケー時代から定評のあった、シャープのカメラ。AQUOS Kでは、背面に1,310万画素のカメラを内蔵している。端末の仕様はマイナビニュース別稿を参照のこと

シャープの発表によれば、ケータイの契約数6,176万件のうち、約20%が次回スマホにしようか迷っているという。実際、筆者の周りにもガラケーからスマホに乗り換えようか迷っている人がいる。AQUOS Kは、そんな取り残されたガラケーユーザーを救う選択肢になっていた。日本のPHONE、日フォンは果たして市場に根付くだろうか。今後の反響に注目したいところだ。

(執筆:大石はるか)