グーグルは2月25日、都内でモバイル開発者向けセッション「Google for モバイルアプリ~Googleと切り開くアプリビジネスの未来~」を開催した。
この記事では、セッションの1つ「ゴミアプリと言わせないために~Google Playで成功するための高品質Androidアプリ開発Tips」を紹介する。
Googleがゴミアプリを認定しているわけではありません
Googleがセッションタイトルで「ゴミアプリ」と言い切ってしまうほど、世間のゴミアプリに対する評価は厳しい。開発者自身は、作成したアプリが"ゴミ"と呼ばれる結末を想像することなく製作していることだろうが、そんな思いとは関係なしに、ユーザーは現実を叩きつけてくる。
「自分が満足していれば良い」と思うかもしれないが、Google Playストアの評価は収益性にも直結してくるとGoogle デベロッパー アドボケイトの松内 良介氏は説明する。
「評価が2~2.9の時と3~3.9の時では、9倍の収益性の差が生まれる。さらに、3~3.9と4~5では、4倍の収益性が生まれている。こうした差が見える中で、ユーザー評価が低くならないようにするためにはどうすればいいか、評価が低い実例を紹介します」(松内氏)
最初に断っておくが、個別のアプリについてGoogleがやり玉を挙げているわけではない。あくまで、Google Play上のコメント欄で低い評価をつけたり、ウィットに富んだコメントをつけているケースを挙げ、「それを糧に、より良いアプリを開発して欲しい」という思いから、GoogleがTipsとあわせてコメントしているセッションだ。
アプリである意味がない
最初に紹介されたゴミアプリは、やたらWebViewを利用したり、そもそもアプリの完成度が低い場合、Webサイトの方がよっぽど完成度が高いケースだ。
WebViewは、アプリ内でWebを見られるコンポーネントで、アプリ内ではサービスすべてに対応できなかった場合に利用するケースが多い。ただ、あまりにも利用頻度が高いと「ウザい」という感情がふつふつと湧いてくるようだ。中には、「アプリとして0点」という辛辣な意見も見られた。
松内氏のアドバイスとしては、Webとアプリの立ち位置をしっかりと見極め、オフラインでも使えるアプリのメリットを活かすように作りこむ点が重要だとした。
アプリが重い
言わずもがなといった感想だが、当然アプリケーションが重いと、ユーザーは離れていく。下手をすると、コメントしてくれているユーザーはまだマシな方で、何も言わないまま立ち去るユーザーよりも良心的といえるかもしれない。
だからといって、コメントが優しいものとは限らない。それなりに大きい企業のアプリコメント欄で「素人さん?」や「学生が個人で作ってるわけじゃないんだから」と言われた日には、たまったものではないだろう。
松内氏のアドバイスは、アプリの重さはもとより、ユーザー体験の充実も重要な要素として、GoogleがAndroidアプリを作成する際に公表している、デザインのガイドラインや標準のインタラクションを守る点を挙げる。もちろん、これはGoogleとしての主張であるため、ほかの対応策も開発者それぞれで持っていることであろうが、Android 5.0 Lolipopからスタートしたマテリアルデザインなどの新たな指針も登場しているため、一応目を通しておいて損はないだろう。
コメント欄のポリシー違反でアプリ削除も
ほかにも様々な問題点があるが、意外と見過ごされがちだというアプリレビューに対する開発者の対応だ。
例えば、ユーザーサポートの体験に対する不満は、開発者にとっては関係ないケースも多いものの、アプリをインストールするユーザーにとってはサービスに対する感想を書ける数少ない場所だ。不満に対してはこまめに返信機能を利用してケアをすることが、地道な改善に繋がっていく。
また、コメント欄のポリシー・規約違反も危険な要素の一つ。同社プロダクトクオリティーオペレーションズ シニア ストラテジストの服部 弘幸氏が説明したところでは、Add-meレビュースパム問題が存在するという。
これは、アプリに対する評価を求めるあまり、「ユーザーのコミュニケーションを活発化させるために、ユーザーIDを書き込ませる」「インセンティブを与えて評価を付けさせる」といった事例が見受けられるという。
これらの行為は、明確なポリシー・規約違反であり、最悪のケースではアプリの削除に繋がってしまうという。もちろん、最終的にプラットフォームから排除されてしまう事態は避けたいところだが、そこまで至らないとしても、「アプリのレビューを見る多くのユーザーにとって、何のためにもならないコメントは不快に感じてしまい、離脱する可能性がある」(服部氏)ようだ。
「評価が高い、星がたくさんもらえるアプリの中でも、規約違反コメントによって評価が削除され、全体の評価が下がるケースがある。コメント返信を活用してレビュー内容を変えてもらう努力が必要だ」(服部氏)