今年も残すところあとわずか。本チャンネルで取り上げたニュースのうち、特にクリエイターからの注目度が高かったものをピックアップし、あらためて2014年を振り返る。

2014年1月~6月までのトピックはクリエイティブ業界トピック年鑑(上半期編)を参照してほしい。

7月

●バスキュールとPARTYの学校「BAPA」の卒業制作展が開催

バスキュールとPARTYが、共同で運営するスクール「Both Art and Programming Academy」(略称「BAPA」)の第1期生による卒業制作展を渋谷ヒカリエで開催。同スクールは、「デザイン」と「プログラミングスキル」を併せもった次世代クリエイターの育成を目的とし、理論と実践を組み合わせた多彩なカリキュラムを実施するもの。第1期では、朴正義(Bascule)、伊藤直樹(PARTY)をはじめ、クリエイティブな現場の最前線で実績をあげている17名が講師を務めた。

東京都・渋谷ヒカリエで次世代クリエイター養成学校「BAPA」の卒展を開催中

●建築家・ガウディと漫画家・井上雄彦が出会う展覧会が開催

「特別展 建築家ガウディ×漫画家 井上雄彦 -シンクロする想像の源泉」が東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催。カタルーニャ工科大学監修のもとアントニ・ガウディの自筆スケッチや図面、大型の建築模型などの資料や作品約100点に加え、井上雄彦氏がガウディの人生や人物像を元に制作した約40点の書き下ろし作品が展示された。

「東京都・六本木で建築家・ガウディと漫画家・井上雄彦が出会う展覧会を開催

8月

●LINEスタンプクリエイターの約半数がデザイン経験なし

LINEが、ユーザーが制作したスタンプを販売できるプラットフォーム「LINE Creators Market」において、実際にスタンプを販売している日本国内のクリエイター893名を対象として、プロフィールや制作・販売状況などに関するアンケートを実施。「クリエイターとしての業務経験の有無」ついて、現在クリエイティブ・アート系の仕事に就いているという人が39.9%、過去に経験がある人は13.8%である一方、そうした仕事の経験がない人が46.4%にのぼることがわかった。

LINEスタンプクリエイターの実態調査を発表 - 約半数がデザイン経験なし

●福岡市のクリエイター移住プロジェクトがキックオフ

福岡市では、東京在住のデジタルクリエイター・エンジニアを対象とした、"福岡に住む・働く"を実行に移すプロジェクト「ぼくらの福岡クリエイティブキャンプ」が行われているが、本プロジェクトのキックオフイベントが、東京・代官山のDAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERYにて開催された。IT・クリエイティブ分野において一定レベルのスキルを持つ人材に向け、市内への移住に関する総合的な情報提供および、最大2カ月間の就業体験機会を提供し、IT・クリエイティブ分野におけるよりよいワークスタイル、ワークライフバランスを提供していこうという狙いだ。

2カ月の移住体験を提供! 福岡市の新たなプロジェクトのキックオフイベント

9月

●デザインオフィスnendoらが手がける"男性向け"ハローキティ

サンリオは、人気キャラクター"ハローキティ"が40周年を迎えた節目として、新たなプロジェクト「HELLO KITTY MEN」を開始。同プロジェクトは、これまで女性を中心に愛されてきたハローキティを男性向けに展開していくというユニークなもの。手掛けたのは、プロダクトから空間まで幅広い活動で知られるデザインオフィスnendo、広告や書籍、雑誌で活躍するグラフィックデザイナーの田部井美奈氏、展覧会のアートディレクションやグラフィックデザインなどで知られる石黒篤史氏の3組。

ハローキティ×デザインオフィスnendo! 男性向け“ハローキティメン”始動

●セガがプロジェクションマッピングと砂場が融合した遊具を発表

セガが、プロジェクションマッピングを取り入れた室内用キッズ向け遊具機器「え~でる すなば」を稼働すると発表。室内用の砂とプロジェクションマッピングによる映像技術の応用により、砂の造形に応じて投影される映像がインタラクティブに変化する子供向けの遊具機器。砂の高低差を感知して映像を投影することで、砂を掘ると川や海になり、積み上げると山になるなど、カラフルな映像がリアルタイムに変化するアクションを楽しむことができる。

プロジェクションマッピングと砂場が融合した遊具「え~でる すなば」登場

10月

●外国人から見た、「新国立競技場」のデザイン

2013年9月に東京に招致が決定した2020年開催のオリンピック。その競技場の建設案に関しては、都内の環境や整備とも関わるため、今年もさまざまな議論が起こった。クリエイティブチャンネルでは、外国人のみなさんがそのデザインについて抱いているイメージに関するアンケートを実施した。

「新国立競技場」のデザイン、どう思う? - 日本在住の外国人に聞いてみた!

●アドビ初のデジタルガジェット「Adobe Ink & Slide」が国内発売

アドビ システムズが、Adobe Creative Cloudと連携するデジタルペンと定規「Adobe Ink & Slide」を日本でも販売開始。デジタルペン「Adobe Ink」は軽量で、快適な握りやすさを考慮した形状を、液圧成型による三面構造で実現。iPad向けデジタル定規「Adobe Slide」はInkのコンパニオン製品。直線を引いたり、正円を描いたりと、アナログ環境で定規を用いて行うような描画体験を実現する。

アドビ初のハードウェア「Adobe Ink & Slide」日本国内での発売が決定

11月

●文化庁メディア芸術祭の大賞作品発表

文化庁メディア芸術祭実行委員会が、平成26年度[第18回]メディア芸術祭の受賞作品・受賞者を発表。本年度は「アート部門」の大賞が「該当なし」となった。アート部門以外の大賞について、エンターテインメント部門は、スマートフォンのGPS機能を使った仮想世界の陣取りゲーム『Ingress』(グーグルズ ナイアンティック ラボズ = 米国)。アニメーション部門では、心の傷に苦しむ少女と、彼女が空想の中に棲息する毛むくじゃらの生き物が繰り広げる、悪夢のようでありながらも美しい友情を描いた9分21秒の短編アニメーション『The Wound』(アンナ・ブダノヴァ氏 = ロシア)が受賞した。

文化庁メディア芸術祭の大賞作品発表 -「Ingress」や「五色の舟」など

●佐藤可士和氏が語る、ヤンマーのブランドイメージ統一プロジェクト

ヤンマーが、ブランドイメージ統一プロジェクト「YANMAR PREMIUM BRAND PROJECT」を今年も継続して行った。クリエイティブチャンネルでは、それを総合プロデューサーとしてとりまとめているクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏に、同プロジェクトの今後の方針や"デザイン"に関する考え方について話を聞いた。

佐藤可士和「デザインとは"人の思い"を形にして伝えていくこと」 - ヤンマーを"変えた"ブランド戦略とは

12月

●ソフトバンクがiPadとBluetooth接続で演奏可能なキーボードを発売

ソフトバンク コマース&サービスが、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で注目を集めるMiselu製のワイヤレス音楽キーボード「C.24」を500個の数量限定にて発売。2015年1月末に予定する世界発売に先駆け、同社のオンラインショップで独占先行販売を実施した。

ソフトバンク、iPadとBluetooth接続で演奏可能なキーボード「C.24」発売

●チームラボが松竹映画のオープニングロゴと創業120周年記念ロゴを制作

チームラボが、松竹の映画本編前に流れるオープニングロゴとブルーライン用オープニングロゴ、および同社の創業120周年記念ロゴを制作した。同社が制作を手がけたのは、松竹の映画作品の冒頭などで使われる「映画本編用オープニングロゴ」と、新たなクリエイターの発掘や若手監督・プロデューサー等の育成を目的した企画作品レーベルの「ブルーライン用オープニングロゴ」(2015年度よりレーベル名が「ブルーライン」となる)、そして2015年に松竹が創業120周年を迎えることを記念した「松竹創業120周年のロゴ」の3つの映像作品だ。

チームラボ、松竹映画のオープニングロゴと創業120周年記念ロゴを制作

2014年もさまざまな事柄があったが、「LINE Creators Market」や3Dプリンタ関連のサービスなど、クリエイターのデジタル作品が販売可能となるプラットフォームの登場が目立った1年だった。2015年はどのようなトピックがクリエイティブチャンネルを賑わしてくれるのだろうか。次の1年にも期待したい。