モバイル機器の性能向上やコンテンツのリッチ化ともあいまって、データ通信環境へのユーザーの期待の高まりはとどまる気配を見せない。そういった期待を受け、業界は通信速度の高速化や料金体系の見直しを早いサイクルで進めるなど、激しい競争の真っ最中だ。一方で、変化も早いだけに「結局、どのサービスを選べばいいの?」という難しさも生まれはじめた。そこで今回、改めて主要キャリアのモバイルWi-Fiルーター/サービスを比較、最適解を探ってみたいと思う。

端末やサービス、カタログスペックは横並び?

それでは、まずは主要キャリアの代表的な端末のスペックと、サービスの概要を比べてみよう。「docomo Xi」「Softbank(SoftBank 4Gなど)」「WiMAX 2+」、「Y!モバイル(ワイモバイル LTEネットワークなど)」といった各社が提供するモバイルWi-Fiルーター4端末のスペック比較表がこちら。

Wi-Fi STATION HW-01F

Pocket Wi-Fi 303ZT

Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15

Pocket Wi-Fi 305ZT

端末比較表 ※拡大画像はこちら

端末の公開スペックを額面だけで比較すると、バッテリーあたりに僅かな差こそあれ、「ここが!」というような決め手となる差はあまり見られない印象だ。では、サービス面ではどうだろう。サービスのスペックを以下表にまとめてみた。

サービス比較表 ※拡大画像はこちら

サービスのスペック表でざっと比較してみても、理論値やら公称値やらは大きな差も無く、実用性などについてはやっぱり判断しにくい。ただ、料金面の細かいところからもう少し掘り下げて見てみると、具体的には通信容量超過時の速度制限に関する部分で違いを見つけることができる。

基本的な月額定額料金はほぼ4社横並びだ。速度制限の解除に、NTTドコモとソフトバンクモバイルでは1GBごと、ワイモバイルでは500MBごとに手続きが必要で、またその際にはそれぞれ追加料金が発生する(※ワイモバイルはキャンペーン中は追加料金無料)。一方、WiMAXはそもそも制限が無く、追加料金も手続きの手間も無い。

実測データの調査結果で特徴が見えてきた

容量制限に関する、ユーザーの利用スタイル次第でメリットなる部分は見えてきたが、それでも、「結局、一番使えるモバイルWi-Fiルーターはどれなんだよ!」と思っている読者も多いだろう。筆者もそう思った。そこで、12月4日にクロス・マーケティングが発表した調査結果が非常に役に立ちそうなので、紹介したい。

同調査は、先に紹介したモバイルWi-Fiルーター4機種を使って、全国の主要観光地、観光・レジャー・ショッピング施設、注目のイルミネーションスポットなど計22カ所にて、「全国の人気おでかけスポット、イルミネーションスポット22箇所でのモバイルWi-Fiルーターのデータ通信速度比較調査」を行ったものだ。

それによると、実測で最速のデータ通信を記録したスポットがもっとも多かったのは、WiMAXの「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」だった。下り速度(平均)では、USB接続時21カ所・Wi-Fi接続時21カ所で最速値をマーク。上り速度(平均)でも、USB接続時9カ所・Wi-Fi接続時11カ所で最速値をマークしている。スペックではWiMAX 2+は他サービスに劣るものの、実効速度ではWiMAX 2+が勝つという結果となっている。

下り速度(平均)実行速度比較結果、クロス・マーケティング調べ  ※拡大画像はこちら

上り速度(平均)実行速度比較結果、クロス・マーケティング調べ  ※拡大画像はこちら

この調査では、WiMAXが全国的にまんべんなく最速値をマークしている。最大の要因は「WiMAX 2+」でのエリア拡大だろう。筆者は認識が古いまま止まっていたようで、昔のサービスインの頃の記憶で、「WiMAXは速いがエリアが狭い」と思い込んでいたのだが、最新の調査を見ると、この1年で急激にエリアを拡大した結果、そのようなイメージはほぼ払拭するべきものだったようだ。実測値ではWiMAXが最速といっていいだろう。