情報には価値がある。人がそれを入手することをきっかけに、消費が発生する可能性が高いからだ。

また、「自分がそれを知っている」ということそのものが価値になる場合もある。そのため、一歩手前の"人が知りたがっているもの"にも情報としての価値が生まれる。多くの人がこの後何を求めて行動するのか、予測する手立てになるからだ。これはいわば、マーケットの空気を読むことに他ならない。

本稿では、あるカテゴリに関する複数の検索ワードや、その検索ワードに関する関連検索ワードの月間検索量ランキングを調べ、その結果を元にマーケットの空気を斜め読みしていく。なお、ランキングはGoogle Japanから提供された日本国内における2014年9月の一ヶ月間のものだ。

今回は、検索件数全てを対象としたランキングのほか、スマートフォンに関する検索ワードランキングを調べた。

もちろん、iPhoneが話題をさらった9月

現地時間2014年9月8日、米国カリフォルニア州クパチーノにてアップルのスペシャルイベントが開催され、スマートフォンの新機種「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」が発表された。イベントそのものは同時に発表されたApple Watchが目玉に据えられていたが、発売が来年ということもあり、メディアの関心はiPhoneのほうへ向いていった。

当然ながら、スマートフォン関連で最も検索されたのはiPhone 6だ。しかし、新製品2機種がワンツーフィニッシュとはならず、6が1位で6 Plusが3位という結果に。実際、街中でも6を見かけることが増えてきたが、6 Plusは意外に少ないのが体感的な印象だ。

Googleの検索機能を利用した2014年9月のキーワードボリュームランキング

間に割って入った「Xperia Z3」は、9月5日から10日までドイツで開催されたIFA 2014(国際コンシューマ・エレクトロニクスショー)で発表されたソニーモバイルの新機種。高感度カメラやハイレゾ音源対応といったハイスペックが特徴のモデルで、日本国内では10月下旬から順次各キャリアで発売開始が発表されている。

関連検索ワードランキングを見ると、iPhone 6/6 Plusではいずれも「ケース」がトップで、購入確定または購入済みの人が具体的に商品を探している様子がうかがえる。「カバー」「バンパー」なども同様だ。

一方でXperia Z3は9月時点でまだ国内での発売日は発表されておらず、「au」「docomo」というキャリア名や、「価格」「予約」「発売日」といったワードから、購入するための手段を探している様子、あるいは比較検討している様子と言える。

また、iPhoneでも6 Plusの方は「レビュー」「サイズ」や「違い」「どっち」といったワードから、大きさの感覚を具体的に調べたかったり、6/6 Plusのどちらを選ぶかを迷っている人が多かったのではないかと考えられる。

Googleの検索機能を利用した2014年9月の携帯機種キーワードランキング

Y!mobileとMVNO、スマホ市場の変化がが滲むランキング

このほか、ランキング上位は9月に発表された各社秋冬モデルの端末名が目立つが、「DIGNO」「Nexus 5」「STREAM S」は、8月よりイー・アクセスとウィルコムのブランドを統合してサービスが開始されたY!mobileが提供する端末だ。テレビCM投入や、PHSからの無料乗り換えキャンペーン実施などで注目されたものと思われる。10月に入ってからは他社からの乗り換えで端末を最高4万円で下取りするキャンペーンも開始するといったプロモーションも行っている。

また、「Ascend」や「LG G2」はMVNO向けのSIMフリー端末。9月は「BIGLOBE LTE・3G」が吉田栄作を起用したテレビCMや交通広告で積極的な露出を行っていたようだ。この他にもMVNOにはOCN、So-net、niftyといったプロバイダ系が多数参入しており、量販店でSIMカードを購入しオンラインで開通手続きをするだけという手軽なプリペイドタイプも販売されている。

携帯電話大手3キャリアのスマートフォン向け料金プランは、これまでフィーチャーフォンよりも割高な設定が当たり前だったが、すでにそういうワケにはいかない状況であることが検索動向からも読み取ることができる。

新製品やSIMフリー端末以外では、夏モデルの「らくらくスマートフォン」「isai」「URBANO」「AQUOS CRYSTAL 」がランクイン。また、6月発売の「AQUOS PAD」や昨年2月発売の「スマートフォン for ジュニア」は、一部の不具合修正などでアップデート情報があったことから検索量が増加したと考えられる。

全体としてランキングの内容は然るべき結果と言えるが、関連するランキングを一覧し比較したり、ニュースと照らし合わせることで、ただ順位付けだけではない関係性が読み取れるところが面白さと言える。検索ワードの検索量推移は、Googleトレンドでも調べることができる。