CEATEC JAPAN 2014では、ウェアラブルデバイスが多く展示されていた。その中でもメガネ型デバイスに関しては、技術デモから製品まで幅広い。それらをまとめて紹介しよう。
展示のメガネ型デバイスで唯一発売中なのが、エプソンのスマートグラス「MOVERIO」だ。同社のスマートグラス製品はすでに第2世代となっており、エプソンブースではMOVERIOが大々的に扱われていた。
MOVERIOはAndroid端末の表示装置として提供されているので、アプリによってさまざまな使い方を提供できる。ブースでは表示装置としてだけでなく、ステージスクリーンの一部を見ると画像が浮き上がる仮想現実の仕掛けも用意されていた。MOVERIOは一般的なメガネの上からかけることや(メガネ オン メガネ)、度付レンズの利用も想定されているので、普段からメガネを使っている人でもまずまず扱いやすい。
6月から発売された第2世代MOVERIO、「CEATEC AWARD 2014」でライフスタイル・イノベーション部門のグランプリを受賞した |
オープンブースで展示されていたこともあり、かなりの人気で体験デモは長蛇の列であった |
東芝は製品化を前提とした「東芝グラス」をデモ。こちらはコンセプトデモの段階だが、山本光学「SWANS」ブランドとの共同開発によって、3種類のサンプルが展示されていた。
サンプルは右側のフレームにプロジェクションユニットが搭載されており、これをレンズのハーフミラーに投影する仕組みとなっている。左右にユニットを搭載すれば、立体映像にも対応可能だという。ただし、ミラー投影の関係で現在はメガネに度付レンズを入れることができない「伊達メガネ」形状となる。
東芝の社長直轄プロジェクト「新規事業開発部」主導で開発が進む東芝グラス。プロトタイプながら、SWANSとの協業で機能的なデザインだ |
メガネのガラス面に投影するので、今のところ度ナシの伊達メガネ専用。写真は角度の関係で青い筋が見えるが、実際に装着すると分からない |
ミツミは同社が製造するMEMSミラーを使い、ベンチャー企業のQDレーザーと開発した網膜走査型ディスプレイを展示していた。ミツミのMEMSミラーは小型のレーザープロジェクター用で発売されており、720p相当の映像を投影できる。
レーザー光は外部から供給するものの、MEMSミラーをメガネ内に組み込んだものを、実際に利用できるかたちでデモしていた。他社の機器とは異なり、画像を直接網膜に投影するため、視力に関係なくクリアに投影できるというメリットがある。
ミツミのレーザーアイウェア。網膜に直接照射するので、装着者の視力に関係ないのが魅力。当然ながら安全性は確保されている。現在は大きな箱と接続するかたちだが、ポータブル化も可能だという |
こちらが心臓部のミツミ製MEMSミラー。角度を信号で変化させる超小型のミラーが入っており、レーザービームを順次走査投影する仕組みだ |
と、ここまでは映像を投影する機能が付いているデバイスだが、入力デバイスとしてALPSが参考展示していたものを紹介しておきたい。
1つはJINSと提携して作成したJINS MEME(ジンズ・ミーム)で、眼電位センシングセンサー、6軸センサー(3軸の加速度・ジャイロセンサー)が取り付けられている。まばたきや眼の動き、動作を把握し、BluetoothでスマートフォンやPCに転送。本人が気付かない疲れや、動作をはじめとした活動量を計測できる。
JINS MEME。メガネ屋さんが作っているのでデザイン性が高い。本体はテンプルの根元に入っており、パッと見た目にはセンサー入りとは分からない |
テンプル部の裏と鼻パッド部に電極が付いており、そこから眼電位を取得。このあたりは産学共同開発らしい作りだ |
もう1つがALPSのセンサー類を活用した、「マルチセンサーネットワークモジュール」の技術デモだ。小型基板に6軸センサー(3軸の加速度・ジャイロセンサー)、光、温湿度、気圧センサーとBluetooth Smartのモジュールを組み合わせ、メガネに付けることでライフログ計測を行う。
残念ながら市販化の計画はないようだが、センサーモジュールが販売されれば、日ごろ使っているメガネに取り付けることも可能だろう。