Creative Cloudの新しいデスクトップ製品となるリリース「2014」(以下、CC 2014と表記)が2014年6月にリリースされてから約3カ月。すでに活用しているユーザーもいると思いますが、ここでは、「まだこれから!」「移行検討中!」といったユーザーに向けて、Illustrator最新版における注目の新機能をまとめて紹介します。

CC 2014の新機能 ライブシェイプ

CC 2014の新機能の目玉となるのは、ライブシェイプです。

2014年1月のアップデート(17.1)により、Illustratorにはライブコーナー機能が追加されましたが、CC 2014では、長方形ツールで描画した長方形(または角丸長方形ツールで描画した角丸長方形)の、角の形状を簡単に変更できる、ライブシェイプ機能が追加されています。

長方形ツールで長方形(または角丸長方形ツールで角丸長方形)を描画すると、変形パネルが表示され、「長方形のプロパティ」に長方形のサイズ、角度、角丸の形状が表示されます(1)。

長方形の角の内側には、角丸を制御するためのコーナーウィジェットが表示されます(2)。また、4つの角と各辺の中央に表示されるハンドルは、形状が異なりますが、従来のバウンディングボックスのハンドルと同じです。

長方形を描画すると変形パネルが表示され、「長方形のプロパティ」に長方形のサイズ、角度、角丸の形状が表示される(1)。長方形の角の内側にコーナーウィジェットが表示される(2)

選択ツールでコーナーウィジェットをドラッグすると、角丸の大きさを変更できます。17.1で追加されたライブコーナーはダイレクト選択ツールで角丸を設定しましたが、CC 2014の長方形は選択ツールで角丸を設定できます。

なお、4つの角丸はすべて連動して変わります。1つの角の角丸だけを設定するには、ダイレクト選択ツールを使い、対象となる角のコーナーウィジェットをドラッグします。後述する「長方形のプロパティ」でも設定できます。

選択ツールでコーナーウィジェットをドラッグして角を丸められる

コーナーウィジェットをoptionキー(WindowsではAltキー)を押しながらクリックすると、角丸の形状を変更できます。クリックするたびに、角丸(外側)→角丸(内側)→面取りの順番で変わります。

コーナーウィジェットをoptionキー(WindowsではAltキー)を押しながらクリックすると、角丸の形状を変更できる

長方形の角丸の大きさや形状は、変形パネルの「長方形のプロパティ」でも設定できます。サイズは、4つの角それぞれ独立して設定でき、中央の「角丸の半径値をリンク」アイコンをクリックしてつなげた状態であれば、4つの角が連動します。

なお、4つの角がすべて同じ大きさになるのではなく、どこかの角に設定した増減値が他の角にも反映されます。例えば、ある角が4mm、他の角が8mmになっている場合、4mmを6mmに変更すると、他の角も2mm増加した10mmとなります。

角の形状は、「角丸の半径値をリンク」アイコンにかかわらず、4つの角それぞれ独立した設定となります。

長方形の角丸の大きさや形状は、変形パネルの「長方形のプロパティ」でも設定できる

ライブシェイプの変形

さて、この機能がなぜ「ライブシェイプ」という名称になっているのかというと、変形しても角丸の形状が歪(ゆが)まずに位置されるからです。従来のIllustratorの角丸長方形は、縦横比を保持せずに拡大・縮小すると、角丸の形状が歪んでしまいました(角丸を歪めずに変形させるには、長方形に対して「角を丸くする」効果を適用することで対応するケースが多かったでしょう)。ライブシェイプの長方形では、変形しても角丸の形状は歪まずにそのままです。

ライブシェイプの長方形の角丸は、変形しても歪まない

なお、変形パネル下部の「長方形の角を拡大・縮小」オプションをチェックして拡大・縮小すると、角丸のサイズも同時に拡大・縮小できます。

、変形パネル下部の「長方形の角を拡大・縮小」オプションをチェックして拡大・縮小すると、角丸のサイズも同時に拡大・縮小できる

従来のオブジェクトとの関係

ライブシェイプを選択して、[オブジェクト]メニューの[シェイプ]から[長方形を拡張]を選択すると、従来のオブジェクト(変形すると角丸が歪むオブジェクト)に戻せます。

また[オブジェクト]メニューの[シェイプ]から[長方形に変換]を選択すると、従来のオブジェクトをライブシェイプに変換できます。旧バージョンで作成した長方形や角丸長方形は、ライブシェイプの属性を持っておらず従来のオブジェクトとなるため、ライブシェイプとして扱うときに利用します。

ライブシェイプのデータを旧バージョンで保存しても、従来のオブジェクトに戻るだけで、そのまま旧バージョンで編集できるデータとなります。

コーナーウィジェットの表示・非表示

コーナーウィジェットが邪魔な場合は、[表示]メニューから[コーナーウィジェットを隠す]を選択して、非表示にすることもできます。

選択ツールによるドラッグ操作での編集はできなくなりますが、変形パネルの「長方形のプロパティ」は利用できます。