今回の授業はその集大成として、各チームがドキュメンタリービデオを仕上げ、世界的に貴重なスマトラトラ「ケアヒ」を日本の動物園に送り出してくれたホノルル動物園の皆さんに、インターネットを介してご覧いただくというもの。同時に、小学校低学年向けに「絶滅危惧種を救え!スクラッチ・プログラミング教室」、高学年向けに「地球の未来を考えよう!スクイーク・プログラミング教室」も行われた。

先進のITツール、Chromebookもなんのその!

授業は3つのグループで行われた。まず、小学校低学年の「絶滅危惧種を救え!スクラッチ・プログラミング教室」では、パズルのピースをつなぎ合わせるようにして直感的にプログラミングできる「スクラッチ」を用いて、絶滅危惧種の動物図鑑の制作に取り組んだ。たどたどしい指先ながらも、しっかりとChromebookやマウスを操作する子どもたちの姿。好奇心の強さや、スポンジのように知識を吸収していく様子に驚かされた。

カリキュラムで使用された「スクラッチ」。高学年が使用する「スクイーク」をベースに、MITメディアラボで開発されたプログラミング環境だ

1人に1台割り当てられたHP Chromebook。最新のIT機器に幼い頃から触れるという機会は、21世紀を生きる子どもたちに必要な経験となる

サポート役のボランティアスタッフからアドバイスを受けながら、真剣な面持ちでChromebookと格闘する姿が印象的だった

絶滅危惧種について、参加する児童が事前に調べてまとめた資料の絵を図鑑に。集中力の高さが伝わってくる

こちらの1コマは、「スクラッチ」で作成したレースゲームに興じているシーン。この日一番(?)の笑顔が輝いていた

高学年はアラン・ケイ博士が開発した「スクイーク」を使う

絶滅危惧種の保護活動とワークショップを指導して下さった、WWFジャパンの佐久間さん

高学年向けの「地球の未来を考えよう!スクイーク・プログラミング教室」では、「パーソナルコンピュータの父」とも称されるアラン・ケイ博士が開発した「スクイーク」を活用し、アニメーションで未来を描くという授業が行われた。

冒頭、WWFジャパンスタッフにより、絶滅危惧種を巡る環境やその保護に対する取り組みについての話があった。「理解できなくても、『あ、そういえば聞いたことがあるぞ』と記憶に残ってもらえれば」(WWFジャパンスタッフ)。

ワークショップは、絶滅危惧種スマトラトラの生息地であるスマトラ島の森について、スマトラ島で農業をする人やスマトラ島の経済大臣など、6つの視点で考察してみるという内容だ。皆、それぞれの役になりきって意見を述べ、日本人が弱いとされているディベートに親しむいい経験になったのではないだろうか。

ワークショップでは、スマトラ島の森に関わる関係者の立場になって現状を考察したり、スマトラトラと人類が共存したりする未来を模索していた

子どもならではの柔軟さで、スッとその役になりきって思いを巡らせることができる児童。会場に詰め掛けた親御さんも、その姿に目を見張っていたことだろう

写真左のPCに映し出されている「スクイーク」にて、最終的なアウトプットを作成。制作過程も和気あいあいと笑顔があふれていた