Webブラウザーを起動する際、最初に表示するWebサイト、もしくはWebブラウズの「入り口」となるサイトを「ポータルサイト」と呼ぶ。Internet Explorerのデフォルトでは、ポータルサイトとしてMicrosoftが運営する「MSN」を指定している。Windows 95のリリースと共にパソコン通信サービスとして始まったMSNだが、その後はISPサービスや検索サイトと紆余曲折を経て、現在の形に落ち着いた。

だが、先日のレポート記事でも述べたように、Microsoft新CEO(最高経営責任者)のSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏が掲げた「モバイルファースト、クラウドファースト」戦略に基づいて、多くの戦略見直しが行われている。今回その1つとなる、MSNおよびオンライン広告事業の新しい取り組みに関して記者発表が開かれたため、MSNのリニューアルに絞ったレポートをお送りする。

世界55カ国で大規模なリニューアル

最初に登壇した日本マイクロソフト執行役 アドバタイジング&オンライン統括本部長 姜希仙(カン ヒーサン)氏は、改めて「モバイルファースト、クラウドファースト」とMSNリニューアルの関係について説明した。ディスプレイに映し出されたMicrosoft創業者のBill Gates(ビル・ゲイツ)氏、共同創業者であるPaul Allen(ポール・アレン)氏の写真を指し、「Microsoftはデスクトップ&ホームにコンピューターを普及させるという姿勢のもと、生産性を向上させる製品をリリースした。このスタンスは現在も変わっていない」と語る。

日本マイクロソフト 執行役 アドバタイジング&オンライン統括本部長 姜希仙氏(写真左)。在りし日のBill Gates氏とPaul Allen氏(写真右)

だが、Microsoftや我々ユーザーを取り巻く環境は当時と比べて様変わりし、デバイスの多様化と共に、Wi-Fiなどによるネットワーク接続環境は大幅に強化された。姜氏は「ユーザーは常にコンテンツを読める環境を求めている」と現状を見ている。そしてユーザーニーズに応えるための「技術とプラットフォームを実現することが重要だ」とし、Microsoftの役割も変化。Nadella氏の掲げる「モバイルファースト、クラウドファースト」に対応したMSNを提供する理由と語った。

MSNリニューアルに関する具体的な説明は、日本マイクロソフト I&CE(Information&Content Experiencees Group)統括本部 部長の鈴木公子氏が担当した。MSNはWindows 95と同じ時期からサービスをローンチしているので、同年から数えると来年(2015年)はちょうど20周年を迎える。55カ国で4億2,500万人(日本国内は2,500万人)を超えるユニークユーザーが利用するポータルサイトだが、Microsoftおよび日本マイクロソフトの戦略、「モバイルファースト、クラウドファースト」に基づいたリニューアルを全世界で行うことを明らかにした。

日本マイクロソフト I&CE統括本部 部長 鈴木公子氏(写真左)。新しいMSNのロゴ(写真右)。世界55カ国でリニューアルを行う