ソーシャルメディア上の友人などに、ちょっとしたプレゼントを贈りたいときに便利なサービスが"ソーシャルギフトサービス"だ。ドリンク1杯など少額のギフトから気軽に贈ることができ、高額なプレゼントで相手に気を遣わせてしまう心配がないほか、会う機会が少なかったり、住所を知らない友人にもSNSやメールでギフトを贈ることが可能だ。
海外ではすでに人気のソーシャルギフトサービスだが、国内でも大手コーヒーチェーンやコンビニがソーシャルギフトの取り扱いを始めるなど注目を集めている。本稿では、国内ソーシャルギフト市場の最新状況を見ていくとともに、各サービスの特長などを紹介していきたい。
"ソーシャルギフトサービス"は、どんなサービス?
"ソーシャルギフト"という言葉を聞いたことはあるが、実際に使ったことはないという人も多いかもしれない。そこで、まずはソーシャルギフトサービスの仕組みについて、簡単におさらいしておこう。なお、各社のサービスごとに若干仕様は異なるが、ここでは国内で先駆けてソーシャルギフトサービスを展開しているギフティの「giftee」を例に紹介しよう。
gifteeを使って、友人などにギフトを贈る手順は次の通りだ。まず同サービスのWebサイトにアクセスし、贈りたい商品を選択。次にギフトの贈り方として、Facebook、Twitter、LINE、メールのいずれかを選ぶ。ギフトにはメッセージカードを添えることができ、そのデザインやメッセージも選択できる。続いて、クレジットカードやauかんたん決済、じぶん銀行から決済方法を選んで、決済を完了させる。そうすると、ギフト用URLが発行される。
ギフトを贈られた相手は、SNSやメールで届いたギフト用URLにアクセスすると、メッセージカードを閲覧でき、さらに引き換え画面を表示することが可能だ。ギフトを受け取る際は、カフェなど対象となる店舗に行って、引き換え画面を見せることで、商品を受け取ることができる。
このように、SNSアカウントやメールアドレスを知っている相手に、直接会うことなく気軽にギフトを贈ることができ、相手も簡単にギフトを受け取れるのがソーシャルギフトサービスの特長だ。
国内ソーシャルギフト市場は前年比約2倍の45億円
国内におけるソーシャルギフト市場については、矢野経済研究所が5月2日に調査レポートを公表している。同調査によると、ソーシャルギフトの市場規模は、発行金額ベースで2012年度が22億円、2013年度は前年比204.5%の45億円となる見込みで、1年間で約2倍に成長している。
また同調査では、2020年度のソーシャルギフト市場は770億円まで成長すると予測している。ソーシャルギフト市場が成長している理由のひとつとして、ソーシャルギフトをキャンペーンに活用する法人利用が拡大したことを挙げている。昨今では、企業がFacebookページやTwitterアカウント、LINEアカウントなどを開設し、ファンを獲得するというマーケティング手法が定番化しているが、今後はソーシャルギフトの活用がマーケティング戦略の鍵となるかもしれない。
デジタルギフトや無料の"お試しギフト"も取り扱う「giftee」
国内では、gifteeのほかにも、スターバックスコーヒーやローソンが自社商品を取り扱うソーシャルギフトサービスを開始するなど、ソーシャルギフト市場への参入が相次いでいる。また海外からも日本市場参入の動きがあり、韓国の大手キャリア、SK Telecomから分社化されたSK planetでは、日本法人のSK planet Japanを設立し、日本市場向けのソーシャルギフトサービスとして、「cotoco」を2014年8月より提供開始している。さらに、同じく韓国の大手キャリアであるKT Corporationの子会社、kt mhowsは、バリューコマースとの業務提携を2014年4月に発表し、今後、日本市場向けのソーシャルギフトサービスを展開する予定だとしている。
本稿で紹介しているgifteeは、これらのサービスを迎え撃つかたちとなる。同サービスでは、様々な商品を揃えているのが特長で、スターバックスコーヒーのギフトやファミリーマートの買い物券など、実店舗で受け取れるギフトのほかにも、デジタルフォトブックや電子雑誌など、自宅に居ながら受け取れるデジタルギフトも用意。さらに、ハイヤー配車サービス「Uber」のトライアル乗車券、セレクト・アウトレット型ECサイト「LUXA」のギフト券などを無料で贈れる"お試しギフト"を利用することも可能。またgifteeで贈れるギフトは、1,000円以下の商品も多く、ちょっとしたプレゼントを贈るのに最適なサービスとなっている。
なお、ローソンが展開するソーシャルギフトサービス「ローソンe-Gift」は、ギフティが開発し、SaaSとして提供するギフト販売システム「e-Gift System」を利用したものだ。また、雑貨店の「Afternoon Tea LIVING」でも同システムを導入し、ソーシャルギフトを活用した無料キャンペーンを展開している。同システムを利用すれば、ソーシャルギフトサービスへの参入が容易になるため、導入企業によるソーシャルギフトの活用にも注目が集まりそうだ。
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SNSやメールで、ドリンク1杯などのギフトを気軽に贈れるソーシャルギフトサービスが盛り上がりを見せている。友人同士でギフトを贈り合うのはもちろん、企業がキャンペーンに活用することもでき、今後も利用が広がりそうだ。
なかでも、国内のソーシャルギフトサービスの先駆けであるgifteeは様々なギフトを取り揃え、少額からでも気軽に利用できる。ソーシャルギフトを試してみたいという人は、チェックしておくとよいだろう。