よく使うiPhoneの機能と言ったらなんだろう? さまざまな答えが考えられるが、間違いなく上位にランクインする機能の一つは『電話』のはず。しかし、筆者の場合、『電話』の使用頻度はさほど高くない。いつもいつも、大変お世話になってる某氏からかかってくる、折り返す以外には、むしろ殆ど使っていない。だったら、普段携行するのは、「電話」であるiPhoneじゃなくてもいいのではないだろうか?
という前フリから、今回はiPod touchの機能を見直し、その魅力を改めて探っていこうと思う。
iPod touchのスペックはiPhoneのそれと変わらない?
まず、現在販売されているiPod touchのスペックなどをチェック、液晶ディスプレイからいこう。搭載されているのは、4インチのRetinaディスプレイ(1,136×640ピクセル/326ppi)。これはiPhone 5s/5cと同じである。続いてiSightカメラ。こちらは5メガピクセルの解像度で、F値は2.4。iPhone 5s/5cの解像度が8メガピクセルということを考えると、やや見劣りするが(ちなみにF値はiPhone 5sが2.2で、iPhone 5cが2.4)、この数字はiPhone 4と同じだ。しかしながら、現行の第5世代iPod touchの登場が2012年ということを考えると、納得できないスペックではない。実際、撮った写真をブログやSNSに投稿する程度なら問題ないし、フォトブックを作るのにも最低解像度をクリアしてる。
カメラの機能を引き続き。フラッシュはLEDフラッシュで、iPhone 5cと同じ。顔検出機能やパノラマ機能、ハイブリッド赤外線フィルタも搭載し、Wi-Fi環境があればジオタグを添付することもできる。動画は1080pでの撮影が行える。iPhone 5sのバーストモードはないが、連写は可能。つまりiOS 7標準の『カメラ』から、iPhoneと遜色ない撮影機能が使えるというわけだ。もちろん、『FaceTime』を使ったビデオ通話も利用できる(Wi-Fi環境が必要)。
『カメラ』や『FaceTime』だけでなく、iOSアプリなら殆ど利用できる。ここでiPhone 5sとiPod touchのホーム画面に並ぶアプリを比較してみよう。iPod touchにないのは『電話』と『コンパス』のみだ。App Storeからダウンロードすれば、iPod touchで、『Twitter』や『Facebook』、『Instagram』などなど、皆がインストールしているアプリを同じように使用できるのだ。iLife(『iPhoto』『iMovie』『GarageBand』)、iWork(『Pages』『Keynote』『Numbers』)の使用ももちろん可能である。
また、iCloudを使えば、iTunes Store、App Store、iBooksで購入したすべてコンテンツが、「購入」ボタンをタップしたその瞬間から、iPhone/iPad、Mac/Windows PCなどユーザーが持っている全てのデバイスからアクセスできるようになる。『iTunes Match』に登録していれば、iTunes以外で購入した音楽もiCloudに保存してどこでも聴けるようになる(Wi-Fi環境が必要)。さらに、『AirDrop』を使えば近くにいる家族や友達に写真やビデオ、連絡先などを瞬時にシェアすることができる。このあたりの機能は他のiPodシリーズにはないもので、iPod touchが、単にオーディオを再生する機器でないことは明らかである。
ご存知でした? iPod touchならではの機構
デザイン面では、アルミニウムのボディを採用。MacBookシリーズで使用されているのと同じ種類のアルミニウムで、強度も高く耐久性も抜群。表面は塗装ではなく、金属自体に着色を施しており、これが高級感を醸し出すのに一役買っている。カラーはピンク/イエロー/シルバー/ブルー/スレート(ブラック)の5色に、Apple Store限定のレッドを加えた6色で、iPhone 5cとちょっと違う構成になっている。薄くて軽いだけでなく、見た目も華やかな装いになっているわけだ。
そして、iPod touchならではの『iPod touch loop』ボタン。従来のモデルには、ストラップを本体に装着できる構造物はなかったが、第5世代となる現行モデルで採用された。簡単にストラップを取り外しできるので、重宝する。これはiPhoneにはない機構だ。『iPod touch loop』は32GB/64GBモデルのみに付属。16GBモデルは別途購入となる(価格:950円)。
iPod touchのポジションを「再定義」する!
保有コストという面で見た場合、32GBモデルのiPhone 5sは77,800円で、32GBモデルのiPhone 5cは67,800円。これにそれぞれ通信費が加算される。対して32GBモデルのiPod touchは24,800円。故障した場合の修理代除き、何年使っても24,800円のままだ。Wi-Fi環境があれば前述の通り、『FaceTime』の利用ができるほか、『LINE』などの、所謂VoIPアプリを使えば通話もできる。どうしても「電話」を使いたいなら、『050 plus』などを使えばいい。Wi-Fi環境がないところでも使いたければ、モバイルルーターを使えばいい(筆者にはその必要性を感じないが)。
FaceTimeメッセージやVoIPアプリなどを使えば通話もできる。ただし、iPod touchとiPhoneのマイク/スピーカーの配置は異なるので、写真のような使い方は、やろうと思ったときにしかできない。マイクつきのApple EarPodsやヘッドセットの使用をおススメする |
ここまで見てきて、なんとなく分かっていただけたのではないかと思うが、iPod touchはiPodのシグネチャーラインにして、iPhoneのセカンドラインなのだ。セカンドラインと言うと、リーズナブルな価格帯を設定して、購買力のない層を囲い込む商材というイメージがあったが、近年、アパレルブランドのセカンドラインは、シグネチャーラインにないラインナップを投入して、別テイストのブランドとして提案されるケースが増えている。iPod touchはまさにその意味で、iPhoneのセカンドラインなのだと言えよう。ゲームを楽しんだり情報端末として持っていたいという人、携帯を持つには少し早いかも、という小中学生のお子様にピッタリなのだ。
iPod touchとiPhoneの比較 | |||
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機種 | iPod touch | iPhone 5s | iPhone 5c |
ディスプレイ | 4インチRetinaディスプレイ 1,136 x 640ピクセル解像度 326 ppi |
4インチRetinaディスプレイ 1,136 x 640ピクセル解像度 326 ppi |
4インチRetinaディスプレイ 1,136 x 640ピクセル解像度 326 ppi |
カメラ/写真 | 5メガピクセルiSightカメラ オートフォーカス タップしてフォーカス ハイブリッド赤外線フィルタ 5枚構成のレンズ F/2.4の開口部 顔検出 パノラマ HDR Wi-Fi経由で写真にジオタグを添付 LEDフラッシュ |
8メガピクセルiSightカメラ オートフォーカス タップしてフォーカス ハイブリッド赤外線フィルタ 5枚構成のレンズ F/2.2の開口部 顔検出 パノラマ HDR 写真にジオタグを添付 True Toneフラッシュ バーストモード |
8メガピクセルiSightカメラ オートフォーカス タップしてフォーカス ハイブリッド赤外線フィルタ 5枚構成のレンズ F/2.4の開口部 顔検出 パノラマ HDR 写真にジオタグを添付 LEDフラッシュ |
ビデオ | 1080p HDビデオ撮影/30 fps ビデオの手ぶれ補正 タップしてフォーカス Wi-Fi経由でビデオにジオタグを添付 顔検出 |
1080p HDビデオ撮影/30 fps ビデオの手ぶれ補正 タップしてフォーカス ビデオにジオタグを添付 顔検出 3倍ズーム スローモーションビデオ |
1080p HDビデオ撮影/30 fps ビデオの手ぶれ補正 タップしてフォーカス ビデオにジオタグを添付 顔検出 3倍ズーム |
メール | パソコンと共通アドレス/iMessage | パソコンと共通アドレス/携帯キャリアのアドレス/電話番号でのSNS/iMessage | パソコンと共通アドレス/携帯キャリアのアドレス/電話番号でのSNS/iMessage |
GPS | なし | あり | あり |
価格 | 16GB:20,800円 32GB:24,800円 64GB:29,800円 |
16GB:67,800円 32GB:77,800円 64GB:87,800円 |
16GB:57,800円 32GB:67,800円 |
サイズ | 58.6×123.4×6.1mm/88g | 58.6×123.8×7.6mm/112g | 59.2×124.4×8.97mm/132g |
カラー | ピンク/イエロー/シルバー/ブルー/スレート/レッド(Apple Store限定) | シルバー/スペースグレイ/ゴールド | ホワイト/ピンク/イエロー/ブルー/グリーン |
その他 | iPod touch loopボタン | Touch ID | - |
(何を言っているんだ、iPhone 5cはiPhone 5sのセカンドラインじゃないのか、と指摘する向きもあるかもしれないが、iPhone 5cはセカンドラインではなく、断じてファーストライン。機会があればこの件については改めて論じてみたい。)
(提供:iPad iPhone Wire) |