Raspberry Piだけで使ってみる

一般的なPCと比べてRaspberry Piが得意としていること。その1つに消費電力が少ない点がある。microUSBケーブルから電源を供給するので、おおむね5Wも必要としない。USBの簡易的な電流・電圧計で測ってみたが、定常時で0.33Aだったから2W以下だ。1日中つけっぱなしにしていても電気代はあまりかからない。そこで動作チェックを兼ねて、Raspberry Piで気象情報を取得してみよう。

短期集中連載・超小型PC「Raspberry Pi」で夏休み自由課題

■第1回 Raspberry Piとは? 入手とセットアップ
■第2回 雨量や雷情報を3分おきに自動取得するプログラム
■第3回 気圧・温度センサーを動かして数値を記録
■第4回 高層ビルのエレベーターで気圧の変化を記録

Raspberry Piの本体(写真左)と、今回の連載で使う「気圧」センサーを組み合わせた状態(写真右)

Webサイトの気象情報サイトを利用する

東京電力が提供する雨量・雷の観測情報。東京電力の営業地域だけでなく、雷雲や雷の状態も3分ごとに取得できる

東京近郊で役に立つお天気情報サイトとして、東京電力が雨量・雷観測情報を公開している。このサイトの観測データをずっと記録しておくと、あとからまとめることができて面白い。

例えば、夕立が降った日の雷写真や、付近の雨・雲・雷の動きをまとめるだけでも、十分に自由課題の元ネタになるだろう。東京電力は3分ごとにデータを更新しているので、このタイミングで「2つ前の過去データ」をRaspberry Piから取得する。

まず、パソコンのWebブラウザで東京電力の「過去データ」を表示させたら、その画像を右クリックしてプロパティを見てみよう。一例として、東京の拡大で「8月3日の22時06分」のデータは、雨情報が「http://thunder.tepco.co.jp/wdata/1/89_032206.gif?1407073052774」、雷雲+雷情報が「http://thunder.tepco.co.jp/wdata/4/89_032206.gif?1407073152480」のように表示された。URLをよく見ると、「○○○○○_日時分.gif」という形になっていそうだ(地図のエリアで○○○○○が変わる)。

過去データの取得をしてから画像のプロパティを見るとこうなっている

画像のプロパティからURLを推定して、Webブラウザのアドレスバーに入力したところ。この画像だけを定期的に取得すれば、過去のデータをすべて得られるわけだ。ちなみに、東京電力の雨量・雷観測情報の場合、過去の一週間分を一気に取得できるので、1日1回の取得という手もある

ということで、この画像ファイルをRaspberry Piで自動取得したい。WindowsにもLinuxにもWebブラウザはあるが、コマンドラインからURL指定でファイルを取得するプログラムに「wget」というものがある。本連載で使うRaspberry PiのOS「Raspbian」には、標準でwgetが組み込まれているので、これを使う。

また、一日分のデータをまとめるために、ZIP形式で圧縮しておくとWindows PC側で処理しやすいだろう。標準のRaspbianにはZIPコマンドのモジュールが組み込まれていないので、「sudo apt-get install zip」コマンドを実行して、インストールする。なお、Raspberry Piでのコマンド入力は、本連載の第1回を参照のこと。

Raspbianに限らず、Linux系OSでは、圧縮形式のZIP形式は標準的でない。ただ、あとからWindows PCでデータをまとめる場合は、ZIPファイルのほうが取り回しやすい。RaspbianでZIP形式を扱えるようにするために、「sudo apt-get install zip」コマンドでZIPコマンドのモジュールを組み込む