August Updatesは何が違う?

簡単ながらもAugust Updatesに加わった変更点を確認するが、その前に適用方法を簡単に紹介する。August Updatesに割り当てられたナレッジベース番号は「KB2975719」。こちらをWindows Updates/Microsoft Update/WSUS(Windows Server Update Services)やMicrosoftダウンロードセンターから入手し、適用する仕組みだ。

Microsoftダウンロードセンターの説明によれば、August Updatesは2つの更新プログラムに分かれている。64ビット向けの「Windows8.1-KB2975719-x64.msu」「Windows8.1-KB2990532-x64.msu」は前者が169.3MB、後者が1.7MB。32ビット版の「Windows8.1-KB2975719-x86.msu」「Windows8.1-KB2990532-x86.msu」は前者が100.2MB、後者が1.1MBだ。

注意しなければならないのは、Windows Update経由で適用する場合、オプションに属している点だ。重要以外は自動的に選択(インストール)されないため、August Updateのインストールを望む場合、Windows Updateの手動操作が必要となる。

図04 「オプション」に振り分けられているAugust Updates

前もって通知されていたように、August Updateをインストールしても外観的に大きな変化は見られない。そもそも2014年4月のWindows 8.1 Updateを適用しても、バージョン番号(およびビルド番号)は変化せず、Service Packの形状ではないため、CSDVersionやServicePackMajorVersionといった情報も参考にできないのである。

図05 August Updates(KB2975719)インストール済みでもバージョン番号は変化しない

さて、August Updateは前述の公式ブログで3つの改善点が加わることが明らかにされていた。1つめの「高精度タッチパッドの改善」は、3つの新しいエンドユーザー向け設定を追加し、タッチパッドから手を離した状態でマウスが接続されている場合でも、タッチパッドによる右クリックやダブルタップ、ドラッグの操作を可能にするというもの。タッチパッドを備えるPCを筆者が所有していないが、August Updateをインストールした初代Surface Proの場合、「マウスのプロパティ」に新たな設定項目は確認できなかった。

図06 初代Surface ProにタッチカバーとUSBマウスを接続してみたが、設定項目は追加されなかった

2つめの「Miracast(ミラキャスト)レシーバー」は、IHV(独立系ハードウェアベンダー)のデバイスドライバーや、OEMのデバイスドライバー用にWi-FiダイレクトAPIを公開することで、32&64ビット版Windows 8.1をインストールしたPCが、Miracastレシーバーとして動作する。

そして3つめの「SharePoint Onlineサイトの連携改善」は、"常にサインインする"というチェックボックスを選択した際に、サインインプロンプトを最小化して素早くアクセス可能にするというもの。なお、Windows 8.1とは関係ないが、Windows Server 2012 R2向けには「パフォーマンスの信頼性と改善」が加わった。

以上2つの変更点はいずれもデバイスや環境が必要なため変化を確認できないが、ナレッジベースの解説によれば、さらにMP4形式ファイルからGPSデータを参照するためのランタイムとAPI追加や、ルーブル通貨の入力と表示のサポート。モダンUIのWindows Updateに、更新プログラムの最終チェック/インストール日時が加わった。ちなみに「保守と管理」の原文は「Update and Recovery」である。

図07 「PC設定」の「Windows Update」に更新プログラムの最終チェック/インストール日時が加わった

そして、Internet Explorer 11は古いActiveXコントロールを無効化する設定が加わっている。こちらは設定はダイアログなどに変化を加えるものではなく、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\ExtキーにDWORD値「VersionCheckEnabled」を作成して、ブロックの有無を制御する仕組みだ。たとえばブロックが有効な状態で古いActiveXコントロールの読み込みを試みると、通知バーによる警告が現れる。

ただし同機能は当初、8月12日から有効になる予定だったが、9月9日まで猶予を設けている。この点に関して日本マイクロソフトに取材したところ、米国本社内で猶予期間を設けた方が分かりやすい、という判断で変更したと回答した。

図08 IEによる古いActiveXコントロールを有効にするには、「VersionCheckEnabled」が必要。導入は9月9日に見送られたため、August Updateをインストールした時点でExtキーは存在しなかった

以上、August Updateは7つの改善が加わった小規模なアップデートである。今後もこのスタイルを続けるのか、Windows 9にService Packが提供されないのか不明だが、少なくとも今後は毎月Windows 8.1に何らかの更新が加わることになりそうだ。

阿久津良和(Cactus)