プログラミング教育に超小型PC「Raspberry Pi」を

小学校から「コンピューターのプログラミング学習を」という話が出ているようだ(公立小学校で全生徒に利用させているところも)。学校で広く教えるようになるかどうか、そして各家庭の教育方針はともかく、子供に対して自宅でプログラミングに興味を持たせるというのは、親としてアリではないだろうか。

第一歩はコンピューターに親しませること。家族共用のPCではなく、自分用PCを持たせることがキッカケになるはずだが、少々費用がかかる。プログラミングとなるキーボードがほぼ必須で、タブレットという訳にもいかない。

そして、実験・教育用のPCとして近年盛り上がっているのが、Raspberry Piという超小型PCだ。約4,000円と安価で資料も多く、子供に買い与えるには良い機材と思うが、単に渡すだけではまず使えない。初期設定を一緒にやってあげつつ、何らかの課題を与えることが必要だ。ここでは「夏休みの自由課題」をテーマに、Raspberry Piを使った「パソコンではやりにくいこと(3種類)」を紹介したい。だいたい小学校高学年からを想定している。

短期集中連載・超小型PC「Raspberry Pi」で夏休み自由課題

■第1回 Raspberry Piとは? 入手とセットアップ
■第2回 雨量や雷情報を3分おきに自動取得するプログラム
■第3回 気圧・温度センサーを動かして数値を記録
■第4回 高層ビルのエレベーターで気圧の変化を記録

Raspberry Piの本体(写真左)と、今回の連載で使う「気圧」センサーを組み合わせた状態(写真右)

買っただけでは何もできない「Raspberry Pi」

Raspberry Piは少々とっつきにくい。買ってくると基板が入っているだけで、電源をつないでも動かないのだ。親の後押しはまず、Raspberry Piを動くようにすることである。今回からの連載で、最低限必要なものを以下に挙げた。ルータと有線LANネットワーク、インターネット接続の環境があり、Windows PCを持っていれば、初期費用は6,000円程度で済むだろう。

■ Raspberry Pi
現在、Raspberry Piは4種類あるが、Type Bを買うのがベターだ。ほかには、Type AとType B+、それにモジュールタイプがある。安価なType Aはネットワークコネクタがないので応用に問題があり、最新のType B+はメリットも多いがケース類が出回っていない。購入元は、amazonRSコンポーネンツがおすすめだ。急ぐ場合は他の必要なものとまとめて、amazonのお急ぎ便を使って買えばよいだろう。また、秋葉原なら、千石電商の本店2Fで販売している。次回以降もいろいろなパーツを使っていくので、すべて一読いただいてから秋葉原でまとめて買うのもおすすめだ。

amazon.co.jpでの購入はamazonプライムロゴのあるものを
夏休みの課題ということで、安いこと以上に頼んだらすぐ届くのが重要だ。amazon.co.jpの場合、amazonが販売するもの以外にマーケットプレイスという第三者が掲載しているものがある。中には「海外から発送」で届くまでに1カ月かかるケースもあるので、多少は高くても発送迅速でないと困る。amazon.co.jpで購入する場合は、amazonの倉庫に在庫があって、お急ぎ便が使えるものを選びたい。

ヒートシンクが付いていたり、追加のコンデンサが付いていたりする「Raspberry Pi Type B」

■ Raspberry Piケース
Raspberry Piは基板むきだしなので、何らかのケースが欲しい。ケース単独で購入すると送料がかさむので、この際ケースセットを購入するとよいだろう。amazon.co.jpではケースセットも売っている。Raspberry Pi Type B+は登場したばかりなので、ケースがあまりない。

つい最近届いたケースに入れてみた。eBayで$2.99と安いのはいいが、この手の注文は5回に3回は、届くのに1カ月くらいかかるので注意

■ SDHCメモリーカード(4GB以上)
Raspberry Piにはストレージが付いていないので、これがないと起動すらしない。新しく購入するなら8GBか16GBあたりがコストパフォーマンス的におすすめだ。MicroSDHCカードが余っている場合は、MicroSDをSDカードに変換するアダプタがあればよい。

■ microUSBの電源(1A以上)
スマートフォンのUSB電源アダプタとUSBケーブルがあればいいので、すでに家にあるという人も多いはずだ。Raspberry Piを使い続ける場合は、専用にするUSB電源アダプタを別途買ったほうがよいと思う。スペックでは5V/1.2Aとなっている。

■ 母艦となるWindows PC
家族共用のWindows PCがあれば、そのまま利用すればよい。Windows PCはSDHCカードを読み書きができることが前提だが、できない機種はほとんどないだろう。必要なら、USB接続のSDメモリーカードリーダー/ライターを購入しよう(最近だと100円ショップでも売っている)。なお、Raspberry Piを単独で使う場合は、HDMI入力を備えたディスプレイ(テレビでも可)と、USBキーボード/マウスを用意する。今回の企画では、Windows PCからRaspberry Piへ接続して操作する。

■ 有線LAN環境
Raspberry Piには有線ネットワークが必要だ。多くの家庭では有線LANポート付きの無線LANルータを設置しているだろうから、無線LANルータの有線LANポートにRaspberry Piを接続すればよい。

■ Raspbian(Linux系OS)
Raspberry Piで動作するOSはいくつもあるが、基本となるのはLinuxのDebianというディストリビューションを元にしたRaspbianだ。これはダウンロードする。

Raspberry PiのOSイメージ配布ページ。色々とあるが、標準的なのはRaspbianと呼ばれるDebianベースのものだ。今回はこれをダウンロードする。記事作成時で6月20日のリリース版が最新だったが、仮に変更があっても最新版を使うのがよい

■ Win32 Disk Imager(ソフトウェア)
Raspberry Piの基本OSはイメージファイルとして配布されており、これを書き込むためにはプログラムが必要だ。Windows PCでは「Win32 Disk Imager」が適当だろう。ダウンロードで入手。

■ Tera Term(ソフトウェア)
Windows PCとRaspberry Piは、SSHという方法で接続する。Windows PCならTera Termが適当だろう。ダウンロードで入手。