こうしたSIMロック解除とは別の論点として、取りまとめ案では各社横並びの料金プランの問題などもあげられているが、これが「SIMロック解除したから変化する」とは考えにくい。総務省も総論としては、「SIMロック解除を義務化したらみんながSIMロックを解除するし、料金が安くなる」とは考えていないはずだ。

SIMロック解除は、「端末の持ち主は誰か」という消費者保護の取り組みで、それに関わらず、適切な競争をキャリアもメーカーも行って業界を発展させればいい。SIMロックフリー化がビジネスチャンスになると考える企業があれば、それに向けてサービスを磨けばいい。

「SIMロック解除しても何も変わらない」もしくは「何かが変わる」という意見は性急に過ぎる。選択肢が増えることで、それを利用するユーザーがいて、何らかの動きは起きるかもしれないが、主流にはならない。いずれにしてもそれが正常な状態だ。 もちろん、SIMロック解除に向けた準備は必要だろうから、それによる動きはあるだろう。解決しなければならない課題も多い。SIMロック解除に比べれば、「技術基準適合証明(技適)のない端末でも一定の要件を満たせば誰でも国内で使える」などといった規制緩和の方がインパクトがあるだろうし、低価格スマートフォンが普及してMVNOが活性化し、それにともなってSIMロック解除が威力を発揮する、ということもあるかもしれない。

いずれにしても、SIMロック解除にともなう変化は、一部に限定されると予想するが、どこかが大きな取り組みを行えば、何か変化は起きるかもしれない。「少なくとも一定期間後にはSIMロック解除を行えるようにする」という方針は、キャリア側も十分に検討すべきだろう。