説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「Bluetoothで動画を見ることはできますか?」という質問に答えます。

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Bluetoothでは、扱うデータの種類や用途に応じて通信手続きの規格を多数定めています。その規格は「プロファイル」と呼ばれ、ファイル転送(FTP)やキーボード/マウス(HID)、ハンズフリーデバイス(HFP)、高品位オーディオ(A2DP)など多数存在します。Bluetoothデバイスはそれぞれのプロファイルに従うことで、ハード/ソフトの違いにかかわらず通信できるのです。

現在利用されているBluetoothにはいくつかのバージョンがあり、Phone 4S以降のiOSデバイスは、「Bluetooth 4.0+HS」に対応しています。このバージョンは最大24MB/秒の高速通信を可能にする「Bluetooth 3.0+HS」を包含するため、動画ストリーミング用プロファイル「VDP」(Video Distribution Profile)を利用する条件を備えているといえます。

しかし、iPhoneはBluetoothに対応しているとはいえ、あらゆるプロファイルをサポートしているわけではありません。現在販売されているiPhoneはVDPをサポートしないため、Bluetoothを利用して動画を送信することはできません。

もっとも、いますぐiPhoneでVDPがサポートされるとしても、動画をBluetooth経由で視聴するスタイルは当面普及しないでしょう。Appleが「AirPlay」という動画ストリーミングに対応した独自規格を推進しており、対応機器(Apple TV)が手ごろな価格で入手できる事情もあります。VDPをサポートしたテレビがほとんど見当たらないことからしても、この流れはしばらく変わりそうにありません。

iPhoneで撮影したムービーをワイヤレスでストリーミング再生する場合、AirPlayを使うことが一般的です(写真はイメージです)