ビジネスの戦略資産となるデータを、どこの企業も大量に保有している。これを活用しないまま放置しているのは、あまりにも”もったいない”と訴えるのが、ビッグデータ・インテグレーションの分野をリードするTalendのマーケティングディレクター、寺澤慎祐氏である。
2014年4月24日(木)、ベルサール新宿グランド(東京都新宿区)で開催されるマイナビニュース主催セミナー「勝つためのビッグデータ~経営の武器となる現実的なデータ活用とは~」において、Talendは「ビッグデータ統合でデータに価値を!~データエンリッチメントツールのご紹介」と題する講演を通じて、データの情報化、さらにはインテリジェンス化を導いていくための具体策を示す。

ビッグデータ・インテグレーションの課題をオープン戦略で解決

Talend株式会社 マーケティングディレクター寺澤 慎祐 氏

ビッグデータ活用への関心が高まり、多種多様なデータソースから集めたデータを分析することで、マーケティングやビジネスプロセスの改革に役立てていこうという取り組みが加速している。
しかし、もともと個別の業務処理のために最適化して設計され、サイロ化されたシステム環境で運用されてきたデータを一カ所に集めることには技術的な困難が伴う。ましてや、異なるデータソースに散在して蓄積されている顧客属性や行動履歴を組み合わせ、高精度のセグメンテーションやキャンペーンを展開するといった複合的な分析を行うとなれば、データそのものに立ち返ったクレンジングや整合性の確保、加工が必要となる。

こうしたビッグデータ・インテグレーションに向けた革新的なソリューションで注目されているのがTalendだ。
フランス生まれのソフトウェア・ベンチャーであるTalendが、世界のトップランナーに急浮上する原動力となったのは、徹底したオープン戦略にある。寺澤氏はこのように語る。 「構造化、準構造化、非構造化などさまざまなタイプを持ち、粒度もまったく異なるデータを1つのツールで統合するのは、単独ベンダーの取り組みでは不可能です。業界全体の共有資産となるOSS(オープンソース・ソフトウェア)ならば、それを実現できます」

事実、Talendは2007年以降、売上ベースで毎年平均128%の成長を続けており、オープンソースソフトウェアをベースにした企業の中では、現在世界第2位の売上を誇る。同社が開発したOSS版「Talend Open Studio」のダウンロード数は2,000万本を突破し、そのうちの100万人がユーザーとなり、4,000社が商用版の購入に至っているのだ。さらに注目すべきがコミュニティメンバーで、4万5,000人(2014年4月現在)を突破している。
「このメンバー数は、世界第4位にランクされています。こうしたコミュニティによる貢献こそがTalendの最大の強みとなっており、高品質のソフトウェアを生み出すとともに、短期間のリードタイムで多種多様なシステムやデータソースとのインターフェースを拡張・強化することができるのです」と寺澤氏は語る。

集めたデータ量に比例してインテリジェンスは大きくなる

「データはそのままでは単なる数字や記号に過ぎず、意味のある”情報”に変えていかなければなりません。さらに、その情報をマーケティングやキャンペーン、ビジネスプロセス改革などの新たなアクションやルール、システムを導いていく”インテリジェンス”に変えることができて、初めて売上アップや収益アップ、あるいはコスト削減といった成果を生み出すことができるのです」と、寺澤氏は強調する。
すなわち、ビッグデータ・インテグレーションとは「多種多様なデータの収集から意思決定の支援、さらにその先で可能となる将来予測までのプロセスを、オートメーション化する技術」と定義することができる。

一方で寺澤氏は、「得られるインテリジェンスの大きさは、集めたデータの量や統合技術に比例します」とも示唆する。
例えば、ネット通販のアクセス履歴やトランザクションデータのみを収集している限りは、その範囲内でしか顧客の関心事やニーズを分析することができない。そこにリアル店舗におけるトランザクションデータも取り込み、同じ顧客を軸に統合することで、オンライン(インターネット)上で行ったアプローチが、オフライン(リアル店舗)での購買行動にどんな影響を及ぼしているのかといった、まったく異なる観点からの分析(情報への変換)が可能となる。さらに、その結果を受けたメールマーケティングやオンラインキャンペーンを、リアル店舗での来店促進や購買促進のためにも活用(インテリジェンスへの変換)するといった、新たな展開がどんどん広がっていく。

「戦略資産となるデータを、実際にはどんな企業も大量に保有しています。また、ソーシャルメディアやモバイルアプリをはじめ、どこからでも得ることができます。それにもかかわらず、データのありかがわからない、ありかは知っているがため方がわからない、ためたけれどどのように統合すれば効果的な分析ができるのかがわからないといった壁に直面し、立ち止まっているのが実態です。せっかく有益なデータが目の前にあるのに活用しないのは極めてもったいない話です。Talendはそんな壁を打ち砕いていくためのテクノロジーやソリューションを用意しています」と語る寺澤氏は、今回のセミナーを通じて、データ資産をビジネス価値に変えていく道しるべを解き明かしていく考えだ。