米Microsoftが、Windows OSの一部無償化を発表した。これまでの同社の戦略を大きく転換する方針だ。スマートフォン・タブレット市場のシェア拡大を目指すとともに、同社のビジネスモデルの変化を示している。

今回発表されたのは、「9インチ未満の画面サイズのスマートフォン・タブレットに搭載するWindows」を無償化するというもの。これまでのコンシューマ向けWindowsのビジネスモデルは、OEM/ODMがPCにインストールするOSとしてライセンス料を徴収する形だったが、このライセンス料を無償化した。

OEM/ODMがPCにインストールするOSとしてライセンス料を徴収するが、これが無償化される

自由にOSを無償でダウンロードできる、といった意味でのフリー化ではなく、あくまでメーカー向けの話だ。しかも、画面サイズを9インチ未満に限定しているので、通常使われている10インチ以上のPCは範囲外で、従来どおりのライセンス料を徴収する。

9インチ未満のタブレットが増えてきているとは言え、Windowsのシェアは高くはない。そのため、今回の発表による「売上減」はそれほど大きくはないだろう。それよりも、無償化によるシェア拡大を目指したと言える。

またWindows 8.1の最新アップデートでは、要求メモリ・ストレージが緩和された。OSの無償化とあわせると、低価格タブレットの実現性が高まったということになる。スマートフォン・タブレットで新興国市場を狙う、という戦略は各社共通している。例えば100ドルクラスのスマートフォンで、OSのライセンス料金が十数ドル必要、といった状況では、メーカーもWindowsを選択することはないだろう。OSの無償化とスペック要件の緩和で、低価格スマートフォン・タブレットの開発を促し、シェアの底上げを図るのが狙いだ。