ここ数年、空前の唐揚げブームが渦巻いている。その中でもひときわ注目を集めているのが、北海道は釧路で生まれた「ザンギ」なる唐揚げ。しかしこのザンギは普通のの唐揚げと何が違うのか? 現地で調査を敢行してみた!

「ザンギ」とはどんな一品なのか!?

唐揚げ・ザンギ・竜田揚げの違いって?

まず、ザンギと唐揚げの違いについて、日本唐揚協会のサイトを参照したところ、基本的には、北海道では唐揚げ(海鮮の唐揚げ含む)をザンギと呼ぶようだ。また、唐揚げとザンギを比較した際、ザンギの方が味付けが濃いのも特徴だという。

加えて地元・釧路では、「鶏はもちろん、地元の旨い食材を油でじゅわっと揚げたもの」を「くしろザンギ」と定義している。この「くしろザンギ推進協議会公認店」は、現在26店舗ある。

ちなみに、「じゃあ竜田揚げと唐揚げの違いは?」との疑問を持つ人もいるだろうが、竜田揚げは醤油とみりん、もしくは酒を使ってタレを作るのが条件なのだとか。これで定義は分かった。では早速、本題に移ろう。

できれば骨付きをむさぼってほしい!

最初に訪れたのは、ザンギの元祖店と言われている「鳥松」だ。主人の高倉悟さんいわく、「ザンギって名前は中国語からきてるんだよ」とのこと。中国語で鶏の唐揚げを炸鶏(ザーチー)というが、高倉さんは「その真ん中に運が付くために「ン」を入れたんだよね」と、ネーミングの秘話を語ってくれた。

ザンギの誕生は今から35年前。「先代がブロイラーの1羽買いを始めたんだ。1羽を解体して唐揚げにしたのがザンギの始まり」(高倉さん)。というと、KFCみたいにいろんな部位が入ってるのか? そう、その通りである。ムネやモモなど、1羽から約30個のザンギがとれるとか。ちなみに、1羽丸ごとだから「骨付きが当たり前なんだよ」と高倉さん。

ここからの話は骨付きに関する思わぬ方向へ。「魚だってそうだろう? 骨に近い部分がおいしいだろう。でも今はどうして骨が付いてるのって言われちゃうんだよね」と「骨付きLOVE」を語る高倉さんは、骨なしが流通している現状に歯がゆそさを感じているよう。今では(仕方なく)店でも骨なしを出しているそうだが、「そんなことするの日本だけだよ。親が甘いんだよ」となかなかに手厳しい。

ともかくまずは食べてみよう。「ハイヨ」と出てきたザンギは生姜醤油テイストで、実にあっさりした味わいだ。これに特製ソースを付けていただく。カリカリ、アツアツ、そのおいしいこと! 思わずうなる。ビールには最高のコンビといっていい。個人的には骨付きをガリガリとむさぼるように食べるのが最強だ。ちなみに、このお店のザンギは1人前6個くらいで骨付き550円、骨なし650円である。

「鳥松」のザンギ。骨なしで650円だ

●information
鳥松
北海道釧路市栄町3-1

あっさりだからひとりで2人前食べる人も

興奮冷めやらぬうちにもう1軒。次なる店は「鶏善(とりよし)」だ。ここも生姜風味のあっさりテイストである。店主によれば、「ニンニクは入ってないよ」とのこと。メニューは3つしかなく、ザンギ(1人前7個入り)の骨付きと骨なし(各700円)、モモ唐揚げ(500円)だ。

鳥肉は生ブロイラーにこだわっているだけあり、ひと口食べると超ジューシー。揚げたてアツアツが最高だけれど何個でも食べられる。「ひとりで2人前食べる人もいるよ。夜中に食べても、翌日、胃もたれすることがない、おいしく食べられる味を目指してるからね」と店主はにんまり。

「鶏善」の「骨なし」は700円

●information
鶏善(とりよし)
北海道釧路市栄町2-15 サンプラザビル1F

濃厚ニンニクとあっさり生姜をハーフ&ハーフ

さて、3軒目にチョイスしたのは、釧路駅前にある「居酒屋大ちゃん」だ。ここのザンギは評判になり、隣に「大ちゃん本舗」という専門店を作ったほど。「ザンギの秘けつ? それはやっぱり揚げ方でしょ」と主人の羽柴文雄さん。

「温度と揚げ時間、長年の経験とカンがものを言うんだよ」。そう豪語するだけあり、確かにビールが異常に進むうまさだ。ここで食べられるのは濃厚なニンニク風味の「釧路ザンギオリジナル」、あっさり生姜風味の「釧路ザンギソース付き」の2種類。1人前は600円である。「どちらか迷う人にはハーフ&ハーフをオススメしているよ」とのこと。確かに、1オーダーで2度おいしい。これはクセになりそうだ!

「居酒屋大ちゃん」の「釧路ザンギオリジナル」は600円

●information
居酒屋大ちゃん
北海道釧路市若松町1-31

ちょっと風変わりな名前だが、チキン好きにはたまらない北海道のご当地グルメ「ザンギ」。旅行やビジネスで北海道を旅する際には、ぜひ挑戦してみてほしい一品である。

※記事中の情報は2014年2月取材時のもの。商品価格などは時期によって変動する