マンガ部門
マンガ部門に関して、優秀賞、新人賞ともに日本の作家が大半を占めた。優秀賞は落語を題材とした「昭和元禄落語心中」(雲田はるこ)、アニメ化も果たした「それでも町は廻っている」(石黒正数)、山本周五郎の時代小説「ちいさこべ」を現代を舞台に翻案する「ちいさこべえ」(望月ミネタロウ/原作:山本周五郎)、多彩な物語と絵柄でみせるショートショート・コミック「ひきだしにテラリウム」(九井諒子)となった。
新人賞には、「アリスと蔵六」(今井哲也)、「塩素の味」(バスティアン・ヴィヴェス/訳:原 正人)、「夏休みの町」(町田洋)が選出された。審査委員会推薦作品には、「脳内ポイズンベリー」(水城せとな)、カレー沢薫「アンモラル・カスタマイズZ」、「惡の華」(押見修造)など、コアな支持を集める物からアニメ化を果たした物まで幅広く挙げられている。
また、マンガ部門の展示では、各作家毎に仕事場の写真や図が展示されていたので、ここで一挙に紹介したい。
アニメーション部門
アニメーション部門の優秀賞は、テレビアニメーション「有頂天家族」(吉原正行)、 短編アニメーション「ゴールデンタイム」(稲葉卓也)、劇場アニメーション『サカサマのパテマ』(吉浦康裕)、『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』(庵野秀明)といった、商業作品や比較的規模の大きい短編アニメが受賞した。「新人賞」は、3000枚もの手描き原稿によるアニメーション「Airy Me」(久野遥子)など、アート性の強い短編アニメーション作品が占める結果となった。
エンターテインメント部門
エンターテインメント部門の優秀賞は、ミュージックビデオ「トラヴィス「ムーヴィング」」、ジオラマ/ガジェット「プラモデルによる空想具現化」などさまざまなジャンルの作品が選ばれた。新人賞はジャーナリスト・津田大介立ち上げの国民投票サイト「ゼゼヒヒ」などが受賞した。
新人賞の投票サイト「ゼゼヒヒ」は、会場にて実際にサイトにアクセスできるよう端末が置かれている |
審査委員会推薦作品の「lapillus bug」は、超音波で動く黒い粒がコバエのように見えるというガジェット |
アート部門
アート部門は、優秀賞および新人賞の多くが海外からの出展作品が占めた。その中で、優秀賞を受賞した「 を超える為の余白」(三原聡一郎)の作品は、常に変化するこの現代の状況を「泡」の生成によって具現化したもので、その装置が特設スペースに設置されている。審査委員会推薦作品には国内の作品が多く選出されており、会場内に設置された「時折織成 -落下する記録-」は、稼働時の音響とテープの動きにより変化する模様が、多くの注目を集めていた。
功労賞
功労賞には、「サザエさん」、「ドラえもん」など長寿テレビアニメおよび劇場アニメーションにて音響効果を手がけてきた柏原満、コミティア実行委員会代表の中村公彦などといった面々が選出され、会場にもその功績を示すブースが設置された。
なお、ここで紹介したのはメイン会場の様子。そのほかのサテライト会場でも展示および作家のトークショーなどが実施されるので、文化庁メディア芸術祭のWebサイトにて情報を確認してみてほしい。