スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「指紋認証」についてです。

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スマートフォンは"個人情報の塊"であるだけに、パスコードなどを使い保護することが一般的です。スリープ状態から復帰するとき、アプリのダウンロードなどシステム上重要な処理を行うときには、パスコードの入力を促すダイアログが現れ、認証されないかぎり処理を続行することができません。

そのパスコードに代わりうる認証技術が「指紋認証」です。指を置く部分の下に設置されたセンサーが指紋を認識し、あらかじめ登録されたパターンと一致するかどうか検証します。その結果同一人の指紋と判定されれば、パスコードが承認された場合と同様の効果が得られます。

2013年12月現在、指紋認証機能を搭載したスマートフォンはAndroid端末では「富士通 ARROWSシリーズ」など、iOS端末では「iPhone 5s」があります。採用時期はAndroid端末のほうが早く、フィーチャーフォン時代から蓄積されたノウハウと、「おサイフケータイ」に対応しているぶん期待値が高いこと(電子マネーを指紋で保護することの安心感と操作性のよさ)もあり、知名度につながっているといえるでしょう。

指紋認証センサーを提供する企業としては、アメリカのAuthenTec社、スウェーデンのFingerprint Cards社などがあります。セキュリティに影響するためか、どの端末がどのような指紋認証技術を採用しているかは明らかにされませんが、AuthenTec社は2012年Appleに買収されていますから、iPhone 5sの指紋センサーには同社の技術が採用されていると考えられます。

センサーの解像度などスペックの詳細は不明なものの、端末ごとに操作性や応用範囲は異なります。たとえば、 「ARROWS NX F-01F」は本体背面に専用センサーが用意され、アプリごとに指紋認証によるロックをかけることができます。iPhone 5sは、本体前面下部のホームボタンが指紋認証センサーを兼ねており、ロック解除とアプリ購入のときのみ指紋認証機能を利用できます。

写真で解説

Android端末の指紋認証機能は、認証精度などハードウェア性能もさることながら、アプリごとにロックできるなど活用範囲の広さが特徴です(写真はNTT docomo「ARROWS NX F-01F」)

iPhone初の指紋認証対応端末「iPhone 5S」は、ホームボタン下部に指紋センサーが搭載されています