Hao123」というナビゲーションサイト、読者の皆さまはご存知だろうか? 中国国内でシェア1位、全世界の検索エンジン市場で第2位のシェアを誇る検索エンジンを提供する中国百度(バイドゥ)が手がけている。

インターネット初・中級者向けに「動画」や「ゲーム」、「旅行」といった、生活シーンに合わせたカテゴライズで"選りすぐり"のWebサイトのみをピックアップ。シンプルな画面構成で、目的のWebサイトへダイレクトにアクセスしたいといったユーザーニーズを満たす目的のナビゲーションサイトが、先に述べた「Hao123」である。

コチラが日本版「Hao123」の基本画面。どことなく、かつてのディレクトリ型検索エンジンを彷彿させる構成となっている

しかし、検索エンジンで調べてみると、「Hao123」に関連する検索キーワードには「Hao123 削除」や「Hao123 アンインストールできない」……といったサジェスト候補が表示される。検索結果の上位には、"ブラウザのスタートページが知らない間に変更される"というものもあり、「これって本当に大丈夫!?」と心の中でつぶやいてしまいそうな評価もちらほら。そこで今回、思い切って提供元のバイドゥに噂の真相を聞いてきた。

東京・六本木にあるバイドゥ株式会社。「Hao123」担当の夏超氏が出迎えてくれた

ネットの風評について、ズバッと訊いた!

今回、話を聞いたのは、バイドゥで事業企画本部事業企画部リーダーを務める夏超氏(以下、夏氏)。「ざっくばらんに何でも聞いてください」とにこやかに言う夏氏は、フランクで気さくな人柄なだけに心苦しい……が、聞かねばならぬ! と意を決し、インターネットでまことしやかに囁かれているコトについて「ホントのトコロはどうなんですか?」と尋ねてみた。

バイドゥ株式会社事業企画本部事業企画部リーダーの夏超氏

「他のソフトウェアをダウンロードした時に、『Hao123も同時にインストールしませんか?』といった形でご案内しているのですが、その時の案内が少し見づらかったりして、予期しない形でHao123と出会った方もおられるかと思います。今後は少しでも皆様の驚きを取り除けるよう、ユーザーからの声を汲み取りながら工夫していきたいと思います」。

ユーザーからの声はプロダクトの源と語りながら、「その成果というワケではありませんが、ユーザーから寄せられた『アンインストールできない!』という声に応えるべく、アンインストールの詳細な方法を提供する準備を進め、近く公開します。また、他のプロダクトをPCに導入する際にインストールされるケースでは、『Hao123とはこんなサービスですが利用してみませんか?』と、インストールされることがひと目でわかるように、オファーウォールを表示するようにしています」とのこと。

「インターネットでは、セキュリティ意識の高さから、一度声高に叫ばれた事象がいつまでも尾を引くが、Hao123は自信を持って提供できるもの」と夏氏は語る。今後ユーザビリティの改善は期待するとして、ひとまず「危険はなさそうだ」という印象だ。

"その国の文化を知る" - 「Hao123」の意外な面白さ

ホッと胸を撫で下ろしたところで、「Hao123」はどのようなサービスなのか、どんなメリットがあるのかを夏氏に聞いてみた。

「Hao123を表現するとしたら、"あらゆるユーザーが安心して利用できる便利なナビゲーションサイト"ですね。トップページをご覧いただくとお分かりのように、過剰な広告は省き、YouTubeやFacebookなど"鉄板"のWebサイトへカンタンにアクセスできるようにしています」。確かに、非常にシンプルで筆者にとっては昔懐かしい感覚すら覚える。

各国でユーザーから支持を得るコンテンツが網羅されているのが「Hao123」と夏氏

また、「Hao123」は提供しているロケーションに応じて、掲載されるコンテンツが最適化されているという。これ自体は珍しい話ではないのだが、例えば日本版「Hao123」であれば夏氏のような、現地に造詣の深いスタッフが「このWebサービスはキラーコンテンツだ!」とアンテナにビビビッときたものを、本社に「ぜひ掲載すべき」と進言しブラッシュアップしている点がユニークだと感じた。

「プログラムによる自動ピックアップではなく、"ヒト"がちゃんとそこに介在しているからこそ、ユーザーにとって本当に求めているコンテンツへ導くことができる」のだそうだ。

「例えば、イスラム教圏で礼拝は非常に重要なもの。だから、エジプト版ではお祈りの時間を表示しています。他にも、ブラジル版では陽気なお国柄のせいか、色使いが他とは異なったり、タイ版では美女の写真ではなく美男子の写真が人気だったりとさまざま。『Hao123』を見れば各国の文化を窺い知ることができるのです」という言葉も、それぞれの国に現地の文化や流行を敏感にキャッチするスタッフがいるからこそなのだろうか。

知名度が低くても「役に立ったと思う人が絶対にいる」と判断したら、本社に掛け合って、場合によってはなんと30分足らずというスピードで決断が下され掲載される場合もあるという。この、大企業らしからぬフットワークの軽さも「Hao123」が広がった原動力のひとつなのかも知れない。

こちらはエジプト版での「Hao123」。文字の特性からレイアウトは右から左。画面左中段には、次のお祈りは何時かが記されている(写真右)

左上の国旗を見ても判るように、こちらはタイ版。写真のコンテンツは各国に共通して人気があるそうだが、美男子モノが人気とタイはちょっと特色があるという

写真左は米国版で写真右がブラジル版。同じグリーンを基調としながらもお国柄で注目されるデザインは異なるのだそう。しかもブラジルでは、複数のWebブラウザを同時に起動し、目的によって使い分けるのだとか

「Hao123」は、検索エンジンで目的の情報へとアプローチすることが苦手な人や、「今上映している映画を知りたい」「美味しいお米を安く買いたい」といった目的がハッキリしている人に適するという。有名無名を問わず、ユーザーのニーズを満たす情報へと的確にナビゲートしてくれるのは、パソコン初心者にとって心強い存在となるだろう。

しかも、前述したアンインストールへの対応など、ユーザーの声を汲み取り、今後より一層の改良・改善が講じられるとのこと。各国でどんなコンテンツが人気なのか、その国固有の文化を垣間見られるというユニークさも合わせて、「Hao123」でインターネットライフにスパイスを加えるのも面白いかもしれない。