二代目のダンボーバッテリーはモバイル性と"らしさ"で出来ている

――続いて、今回発売された二代目のダンボーバッテリー「cheero Power Plus DANBOARD version -mini-」についてうかがいます。この製品は御社の既存のバッテリーのどれとも似ていないのですが、いちから型を作ったのでしょうか?

はい、二代目のダンボーバッテリーの型は新規で作りました。初代のダンボーバッテリーのベースとなったモデルを販売していた当時より、ユーザーから「重い」という意見が寄せられていましたので、製品の軽量化はもともと検討していました。そして、初代のダンボーバッテリーについて、Web上に「目が光ればもっとよかった」というレビューが多く上がっていたことから、「光る目を持つコンパクトなダンボーバッテリー」を作りたいという思いはありました。

二代目のダンボーバッテリー「cheero Power Plus DANBOARD version -mini-」

――先ほどおっしゃった通り、二代目のダンボーバッテリーにはインジケーターとしても機能する光る目が搭載されています。これは「よつばと!」作中にある表現を再現したものですが、ダンボーの目が光るようにするために、どのような工夫が必要だったのでしょうか?

目を光らせること自体は、LEDを設置するだけの話なので、そこまで大変ではありませんでした。ですが、この製品の設計にあたって意識したのは、キャラクター性を優先するあまり、本来のバッテリーの機能性を失わせてはいけないということです。

ダンボーには目がふたつ、三角の口がひとつあり、それが表面に乗ることは決まっていますので、それ以外に余計な部品はつけず、かつダンボーらしさを出すためにはどうしたらいいんだろうと試行錯誤しました。原作の描写にならって、頭の右側に出っ張ったスイッチをつける案も出ましたが、私たちが今回開発したのは持ち歩いて使うバッテリーなので、機能性を損なってはいけないと思い、最終的には口をスイッチにして、目を三段階に光らせることで、電池残量を知らせるインジケーターの機能を持たせる仕様に決定しました。

二代目のダンボーバッテリーは、口のスイッチを押すと電池残量に応じて3段階の色(黄・オレンジ・赤)で光る

――二代目のダンボーバッテリーに関して、そのほかの工夫した点を教えてください。

持ち歩く物であるモバイルバッテリーの性質上、ある程度、安全性を考慮して角の部分にアール(丸み)は付けないといけませんが、丸くしすぎると段ボールらしさがなくなってしまいますので、その調整は工夫しました。

ほかにも、口のところをスイッチにするにあたり押しやすい深さで掘り下げるなど工夫しましたが、一番苦労したのは目の光の色ですね。最初は直感的に電池残量が分かりやすいと思って信号機の色(青・黄・赤)にしたんですが、試作してみたところダンボーらしさが薄れてしまって……。その失敗を経て、やはりダンボーらしい色は黄色ベースなんだと気づきました。バッテリーの残量は3段階くらいで示さないと使いにくいので、最終的に黄・オレンジ・赤という3色を採用しました。

――バッテリーの電池残量が一番少なくなると目が点滅するのは可愛らしい演出ですが、この機能はどうして搭載したのでしょう?

多くのモバイルバッテリーには、直感的に残量がわかるように5段階くらいのインジケーターがついています。しかし、今回はダンボーらしさを大切にしたかったので、目の光だけで完結する現在の仕様に落ち着きました。

ダンボーというキャラクターの魅力

――そんなこだわりはユーザーに届いたようで、初代に続き、二代目のバッテリーもAmazonで入荷待ちとなっています。開発当初から、ダンボーバッテリーには大きな反響があるだろうと予想されていましたか?

いえ、初代を発売した当初は予想していなかったです。ダンボーのファンがいるということは分かっていましたし、ある程度までは売れるとは思っていましたが、ここまでの規模になるとは想定していませんでした。そして、フタをあけてみて驚いたのが、「「よつばと!」もダンボーも知らないけれど、このバッテリーはかわいい」という理由で買ってくれた方が多くいらっしゃったことです。

つくづき、ダンボーのデザインってすごいな、と思っているんです。顔は●ふたつと▲ひとつだけで構成されているのに、見る角度によって悲しげになったり、逆に嬉しそうに見えたりして、何ともいえない味わい深さがありますよね。それが老若男女問わず受け入れられた理由だと感じるところでもあります。もちろん、ダンボーは我々のキャラクターではないですが、このモバイルバッテリーの海外展開など、わたしたちのできる限りのことをして広げていきたいなと思っています。

同社のWebサイトなどで用いられている製品紹介の画像も、リボルテックのダンボーや小道具を駆使して、"らしさ"にあふれた世界観が作り込まれている

――ちなみに、すでに初代のダンボーバッテリーを買った人も、2代目の新製品を買っているのでしょうか?

はい、そういう方も多いと聞いています。コレクター的な動機で購入してくださる方もいらっしゃいますね。

ただ、別の見方をすると、初代と2代目とでは容量やサイズが違うので、使いわけをしていただくことができるとも思っています。例えば、スマートフォンを1台だけ使っている方であれば、二代目のダンボーバッテリーを普段使いに、旅行に行くときは初代のものを使っていただくなど、状況に応じて使い分けできるようなライフスタイルの提案を我々からしなくてはいけないなと思っています。

同社がダンボー「以外」のキャラ製品開発から得たものは?

製品開発に関わる人すべてがダンボーというキャラクターを愛し、しかもバッテリーとしての機能もおろそかにせず真正直な"ものづくり"を行ったことが、現在の売れ行きにつながっているのだと感服させられるエピソードばかりとなった。インタビューの後半では、cheeroの海外展開にかける思いや、ダンボー「以外」のキャラクターコラボ製品に挑戦した際に東氏が痛感した、「愛されるモノを作るために必要なこと」に迫っていく。こうご期待。