ファイルメーカーは27日、東京コンベンションホールで「FileMaker カンファレンス 2013」をスタートした。期間は29日までの3日間、データベースソフト「FileMaker Pro」やiOSアプリ「FileMaker Go」の最新情報を提供するほか、開発エキスパートによる講演やソリューション紹介がセッション形式で実施される。
カンファレンス冒頭のオープニングセッションでは、ファイルメーカー社社長のBill Epling氏が登壇、FileMaker関連プロダクトの現況を説明した。今年は開発者向けのセミナーを積極的に開催、Webセミナーを含めると参加者の総数は5,400人を超えるという。
続いて登壇したユーザエクスペリエンス プロダクト・マネジメント担当マネージャのHeather Winkle氏は、デザインが製品におよぼす影響について解説した。Phillips社が開発した開放的なMRI検査機や、新幹線のデザインが高速性など鉄道技術の進化につながっていることを例に挙げ、同じことがソフトウェアにもいえると説明。同社が掲げる「User-Centerd Design」のコンセプトは、ユーザを観察しフィードバックを続けることにより、UIを含むデザインの改良につながると述べた。
会場では、FileMaker関連プロダクトの受託開発やコンサルテーションを提供する企業の集まりである「FileMaker Business Alliance(FBA)」メンバーがブースを設け、製品やサービスの紹介を行っていた。iOSアプリ「FileMaker Go」が2012年に無償化されて以降、特にiPadを組み合わせたソリューションが急増しており、その導入事例を興味深そうに聞く来場者が多く見られた。そのうちのいくつかを紹介してみよう。
FileMakerを活用したマッピングシステム
FileMakerを利用したシステムソリューション事業を展開する株式会社イエスウィキャンが展示していた「Yes! マッピングシステム」は、iOSデバイスで撮影した写真を使い各種の情報を管理/資料化するシステムだ。写真のジオタグを取得しデータベースに反映できるので、自動販売機のメンテナンスや選挙活動のポスター管理を大幅に簡略化できるという。
導入事例としては、マラソン大会におけるトリアージ(患者の状態に応じて対応を振り分けるしくみ)の支援があり、すでに富士山マラソンなど5件の実績があるという。iOSデバイスをFileMaker Proのクライアントしてだけでなく、カメラ/位置情報取得というPCにはない機能をうまく活用した事例といえるだろう。
バーコードで受付管理をスピーディーに
iOSの「URLスキーム」という機構を利用すれば、あるアプリから別のアプリに処理を引き渡すことが可能だが、FileMaker Goでもそれを活用したソリューションが続々登場している。株式会社国際協力データサービスが提供する「Ready Go」は、他社製のバーコード読み取りアプリ(CNS Barcode for iOS)でバーコードを読み取ると処理をReady Goに引き継ぎ、FileMakerのデータベースに反映する。このしくみを利用すれば、イベントの受付管理や集団行動で点呼を行うとき、住所氏名の確認に要する時間を大幅に短縮できるというわけだ。
医療の現場にもFileMaker Go
株式会社オネストが提供する「CANVAS clinic」は、医療機関向けサポートシステム。100床規模までをターゲットに、電子カルテやベッドの空き情報管理、スタッフの勤怠管理などオーダーメイドの機能を提供する。診療情報の検索、治療データの入力もFileMaker Goから行えるので、回診時にはiPad1台を持つだけ、というシステムを構築できる。医事会計や処方など他の部門システムとの連携も可能ということで、FileMaker Goを軸としたトータルな診療支援システムとして活用できそうだ。