2013年10月31日と11月1日の2日間にわたり、「産総研(産業技術総合研究所)オープンラボ」が、今年もつくばセンターで開催された。産総研の研究内容をその成果物やパネル、または研究室の見学を通して紹介するイベントである。ロボット系をピックアップして各種研究内容を紹介する。

連結して移動できるパーソナルモビリティ

まずは、2013年に開発されたロボット系から。最初は、知能システム研究部門 フィールドロボティクス研究グループの加藤晋氏、的場伸晃氏、西本一喜氏らが開発した「連結型モビリティ」だ(画像1~4)。現在のところ、製品名のようなものはない(開発コードネームなども公開されていない)。パーソナルモビリティはメーカーや大学、研究機関などで開発・研究されているが、産総研も立ち乗り型や車いす型など、複数を開発している。今回の連結型モビリティは、同じ目的地に移動したい人が複数いる場合、そのパーソナルモビリティを連結して列車のような形で効率的に移動するというものだ。

画像1(左):連結型モビリティを前方から。 画像2(右):後方から

画像3(左):連結部。 画像4(右):連結して、荷物を載せて移動している様子や、人が載った状態で移動している様子

単体での自由な移動性を持ちながら、機械的な連結により、先頭車両の操縦で複数台をスムーズに移動させられるのが特徴だ。具体的には、4WSキャスター式トレーラを利用したハード連結、電源を共有できるようにして個々の容量の影響を受けないようにしたこと、連結部センサと先頭の速度制御を組み合わせた簡易制御で個々の駆動機能を活用可能なことなどで工夫がなされている。ちなみに3点目に関して捕捉すると、要は搭乗者の体重が異なっても、それをきちんと連結器の部分で検知できる仕組みになっていて、それぞれの条件に合わせてモータの出力を調整して速度を揃えるというものである。

デモンストレーションの映像では、先頭車を含む3台による連結が幅2.2mの廊下を移動する様子が見られ、そこできちんとつながった3台が旋回する様子も見られるようになっている(画像5・動画1)。

画像5。幅2.2mの廊下で3台が旋回できる様子
動画1。実際に人が搭乗して廊下を走っている様子