ブラザー工業およびブラザー販売は26日、インクジェットプリンタ/複合機「PRIVIO(プリビオ)」およびレーザープリンタ/複合機「JUSTIO(ジャスティオ)」の新製品5モデルを発表した。同日、都内では記者説明会が開催され、販売戦略や製品の詳細説明が行われた。

ブラザー販売は26日、A3プリント・A3スキャンが可能なインクジェットプリンタや、コンパクトで多機能なカラーレーザー複合機の新製品5モデルを発表

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よりユーザーフレンドリーな製品を

小規模オフィスに向けたプリンタ市場で、国内外を問わずシェア拡大を図ってきた同社。記者発表会の冒頭、同社代表取締役社長の片山俊介氏は、「ブラザーのブランド認知が広まってきている」と胸を張る。今回の5モデルは、従来モデルの特長を継承しつつ、使いやすさを進化させた製品となっている。片山氏は「これからも消費者のニーズに応えた、よりユーザーフレンドリーな商品を展開していきます」と話し、さらなるシェア拡大を目指していく考えを明らかにした。

登壇する片山氏(写真左)。ビジネス向け製品を強化し、年末商戦に向けて拡販していきたいと語った

ビジネスインクジェット複合機

続いて、同社取締役の三島勉氏が、新モデルの概要と販売戦略について説明した。スモールオフィス/ ホームオフィスといった従業員が10人以下の、いわゆるSOHO領域では非常に強い同社だが、事業所の人数が2~5人、6~9人と増えるに従って、シェアが下がっているのが現状だという(2009年同社調べ)。三島氏は「今後は従業員の多いハイエンドSOHOに向けて、ビジネス事業を最大化していきたい」とし、それにはラインナップの多様化とユーザーのニーズに応える製品の開発が欠かせないと語った。

登壇する三島氏(写真左)。事業人数別の月間平均印刷枚数とブラザーのシェア(写真右)

ビジネスインクジェット複合機における市場は、年々堅調に拡大中。2013年には、35万台規模に到達すると見られている。ブラザーはその市場拡大の先駆けとなる製品を2008年に発表しており、その後2011年には現行の後継機種「MFC-J6710CDW」をリリース。アンケート調査では84%のユーザーがMFC-J6710CDWに満足と答えており、手応えを感じているという。

ビジネスインクジェット複合機の市場推移(写真左)。84%のユーザーがMFC-J6710CDWに満足していると回答した(写真右)

今回発表されたMFC-J6970CDWは、現行機種に比べ印字速度を約2倍にし、体積を約15%減らし、大容量の黒インクを備え、カラータッチパネルを採用した製品。三島氏は「SOHO環境での使い勝手にも配慮した自信作になっています」とアピールした。

現行機種をさらに進化させた、MFC-J6970CDW。SOHO環境での使い勝手に配慮

会場には実機が展示された。写真はMFC-J6970CDW

同日発表のMFC-J4910CDWは、奥行き290mmとコンパクトな本体ながら、A3用紙のプリントに対応。これらを含めた5機種のラインナップで、2013年度はビジネスインクジェット複合機における市場のシェアで50%、15万台の販売台数を目指していく。

写真は奥行き290mmとコンパクトな本体のMFC-J4910CDW

5機種のラインナップで展開。2013年度はビジネスインクジェット複合機における市場のシェア50%を目標にしている

レーザープリンタ・複合機

レーザープリンタ・複合機の市場に目を転じると、ここ3年ほどは年間で15万台前後を推移している。ブラザーではこれまで、コンパクトと多機能を特長にしたJUSTIOシリーズをこの市場で展開してきた。今回、新たにA4カラー複合機のMFC-9340CDWと、A4モノクロ複合機のFAX-2840という2モデルを投入する。2013年度はA4レーザー複合機全体で6万5000台の販売台数、シェア40%を獲得していきたい考えだ。

レーザープリンタ・複合機の市場推移(写真左)。2013年度のブラザーはA4レーザー複合機全体で6万5000台の販売台数、シェア40%を目指す

写真はA4レーザー複合機のMFC-9340CDW(写真左)とFAX-2840(写真右)

マーケティング推進部長の大澤敏明氏からは、製品の詳細な説明があった。ビジネスインクジェットのMFC-J6970CDW/ MFC-J6570CDWでは、35mmの大型ヘッドにより従来比約2倍の高速プリントが可能に。スキャナ機能も強化され、MFC-J6970CDWではA3サイズまでの両面同時スキャンに対応した。

登壇する大澤氏(写真左)。新製品ではプリントやスキャンの高速化が図られ、より効率よく作業が行える

耐久枚数は10万枚と高耐久、またA4カラー文書1枚あたりのインクコストは6.6円と、ランニングコストの面でも優れているのが特長。大澤氏は「ビジネスシーンでも安心してお使いいただける」とした。

高耐久、低ランニングコストが追求されている

A4カラー複合機のMFC-9340CDWでは、毎分22枚の高速プリントを実現。自動両面プリントにより、用紙コストも節約できる。また両面同時スキャンにも対応した。3.7インチのカラー液晶タッチパネルを搭載しており、詳細な設定も滑らかに行えるという。

A4カラー複合機のMFC-9340CDWでは、毎分22枚の高速プリントを実現(写真左)。本体前面には3.7インチのカラー液晶タッチパネルを搭載している(写真右)

クラウド機能を用意

EvernoteやDropboxのようなクラウドを活用した各種Webサービスに、全モデルが対応している。これにより、スキャンした書類をクラウド上で同僚とシェアする、クラウド上の書類をプリントする、といった作業もPCを介さずに行える。このほか新製品では、ビジネスに便利な「お役立ちツール」が利用可能。「スキャン to Office文書」では、スキャンした文書を自動で読み取り、文字部分はOCRで読み取りテキストに、オブジェクト部分はJPEGデータとして保存できる。

クラウドを活用した各種Webサービスに全モデルが対応(写真左)。スキャン to Office文書では、文字部分とオブジェクト部分を分けてデータ化できる(写真右)

「簡単Eメール送信」は、スキャンしたデータを手軽にEメール送信できる機能。必要な要素だけ選択したいときは「手書きトリミングスキャン&コピー」機能を利用すれば、赤ペンで囲んだ部分だけをスキャン・コピーできる。これらの機能については、ユーザーの利用状況をふまえて適宜、アップデートしていく予定だという。

簡単Eメール送信(写真左)、手書きトリミングスキャン&コピーなどの便利な機能も用意されている(写真右)

このほか、スマートフォンと連携した「Brother iPrint&Scan」「AirPrint」「Google Cloud Print」に対応。セキュリティの厳しい環境下でも、Wi-Fiルータを介さずにスマートフォンから直接印刷できる「Wi-Fi Direct」、NFCを利用した「タッチ de プリント&スキャン」機能なども用意した。

スマートフォンとの連携機能も充実している

大澤氏は、最後に「ビジネス向けプリンタの需要が大きく伸びる年末商戦に向けて、態勢を整えて拡販を進めていきたい」と結んだ。