9月6日、スタジオジブリは都内で宮崎駿監督の引退会見を行った。会見には宮崎駿監督のほか、鈴木敏夫プロデューサー、星野康二社長が出席し、約1時間半にわたって記者からの質問に応じた。当日は国内外から約600名の記者、70台のテレビカメラが集まるなど、注目度の高さを伺わせる会見となった。
今回の会見は、9月1日(現地時間)にヴェネチア国際映画祭で発表された宮崎監督引退の発表を受けて開催されたもの。『風立ちぬ』を最後に長編アニメーション制作から引退するという突然の発表に、日本はもちろん世界中から驚きの声が上がっていた。
宮崎監督はなぜ引退を決意したのか。引退後はどのような活動をしていくのか。当日語られた内容を、ここに全文書き起こすことにする。
宮崎監督:公式引退の辞ということで、公式とまでしなくていいと思ったんですが、メモを皆さんにお渡ししているので、質問をいただければ何でも答えるという形でごあいさつにしたいと思うのですが、一言。僕は何度も今まで辞めると言って騒ぎを起こしてきた人間なので、当然まただろうと思われているんですけど、今回は本気です。
――(笑)
鈴木プロデューサー:お集まりいただきましてありがとうございます。始まったものは必ず終わりがくるということだと思います。僕の立場で言うと、落ちぶれて引退をするというのはかっこ悪いと思っていまして、ちょうど『風立ちぬ』という映画を公開して、色々な方に支持されている時に決めた。そういうことで言うと良かったんじゃないかなと思っています。今後ジブリはどうなっていくんだろうと、当然、疑問を持たれると思います。11月23日公開の高畑勲監督の『かぐや姫の物語』。これは皆さんにご心配をかけましたけど、鋭意製作中。11月23日、必ず公開するということをお伝えしたいと思います。これはまだ企画その他は発表できないんですが、来年の夏を目指してもう一本映画を製作中であります。
――監督から子供たちへ伝えたいことはありますか?
宮崎監督:そんなにかっこいいことは言えません。何か機会があったら、私たちが作ってきた映画を見てくだされば何か伝わるかもしれません。それに留めさせてください。
――長編アニメーションの監督を辞めるということでいいのでしょうか? これからやっていきたいことを具体的に教えてください。
宮崎監督:我ながらよく(引退の辞を)書いたなと思ったのですが、「僕は自由です」と書いたので、やらない自由もあると。ただ車が運転できる限りは、毎日アトリエに行こうと。それでやりたくなったものや、やりたいものはやろうと思っています。まだ休息をとらなければならない時期なので、休んでいるうちに色々わかってくるだろうと思いますが、ここで約束するとたぶん破ることになると思うので、そういうことでご理解いただければ(笑)。……続きを読む