東京都港区のTwitterオフィスにて今年4月、エンジニア(プログラマー)/デザイナー向け勉強会「デザイニアン」が開催された。

デザイニアンは、エンジニア/デザイナー間の溝を埋めるべく、ツクロアの秋葉秀樹氏とオープンウェブ・テクノロジーの白石俊平氏によって企画された勉強会。エンジニアはデザイナーの、デザイナーはエンジニアの、作業や考えを理解し、業務連携を高めることを主な目的としている。

本稿では、同勉強会の様子を簡単にご紹介しよう。

デザイナーもコーティング知識が必要な時代

ツクロア 秋葉秀樹氏

勉強会は、約40人の参加者におけるエンジニアとデザイナーの比率を調査することから始まった。聴講者に挙手を求めたところ、エンジニアとデザイナーの割合は概ね半数ずつ。偶然ではあるが、勉強会の目的にふさわしい人数構成となった。

参加者の状況を把握した後、秋葉氏はさっそくデザイナーの一般的な意見を代弁。「エンジニアさんのディスプレイには拒否反応を示したくなるものがたくさんある」と切り出し、「ターミナルやIDEを見ると"ウェッ"と吐きたくなるし、ソースコードをGitで共有されると"FTPで送ってよ"という気持ちになる」と説明した。

その一方で秋葉氏は、「動きのあるものや、レスポンシブアプリケーションが当たり前になっている。こうした現状を振り返ると、デザイナーもコーディング知識が必要」と冷静に分析。「昔のように静的なWebページであれば、たとえDTPの知識しかなかったとしても、ある程度のデザインが可能だった。しかし、現在は技術知識を備え、動きを理解しないと支障が出る」と語り、白石氏を相手に現在のアプリケーション開発における必要最低限の知識を探りはじめた。

レアケースの素材がない!!

「(エンジニアという立場から)デザイナーとの連携で困ったことはないか」という秋葉氏の問いかけに対して、白石氏が最初に挙げたのが「エラーなどのレアケースの考慮」だ。

オープンウェブ・テクノロジー 白石俊平氏

「例えば、デザイナーさんがボタン画像を作ってくれるときによくあるのが、ON用とOFF用を用意してくれたものの、Disable(押せない)状態のボタンがないというケース。デザイナーは1シーンを切り取り、それを非常に奇麗に作り込んでくれるが、Webアプリケーションを設計するときには全体をストーリーで考えるような視点も必要になるので、慣れないと大変なのかもしれない」(白石氏)

こうしたエピソードに対して、秋葉氏も「まったく同じ体験を逆の立場からしたことがある」と説明。「ボタンを奇麗に作り込んだが、足りないパーツがあったようで、最終的にHTMLのボタンタグでコーディングされてしまった」と体験談を語り、「そのボタンも、せめてCSSを使ってデザインしてくれていたらよかったが、単純なボタンにされたのは悲しかった」と続けた。

白石氏からも「ボタンのコード化は私もやってしまうことがある。できれば、デザイナーさんに対応するボタンを作ってもらいたいが、その手間がどれくらいなのかわからないし、それで作業が何日も中断してしまうと効率が悪い。であれば、自分で作ったほうがお互いのためかなと考える」との想いが語られた。

また、エラー画面に話が及ぶと、会場のデザイナーから「Webサーバからのエラーメッセージをそのまま表示させているアプリケーションが多いが、個人的にはこの部分もデザインして世界観を演出したい」との意見が出された。これに対して白石氏は「もちろん、エンジニア側も、ほとんどの人がそうしたいと思っている。ただし、優先順位としては正常処理を実装するほうが間違いなく高い。できることならエラー画面もデザインしたいが、対応するにはお金と時間の余裕が必要」と心情を吐露した。

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