FreeDOSベースのGUIディストリビューション「XFDOS」
コンピューターにおいて同時に複数の処理を実行するシステムを「マルチタスク」と呼ぶ。複数のデバイスを制御し、ユーザーニーズに合わせてマルチタスクを実装してきたOS(オペレーティングシステム)だが、そもそも人間はマルチタスクで処理を行えるものだろうか。一時期はテレビを観ながら読書するなど、「ながら見」という言葉が生まれたものの、一つのタスクに集中した方が効率的であることは読者もご承知のとおりである。
インターネット接続環境や数々のアプリケーションが執筆作業の妨害になり、「ポメラ」のように文章作成に特化したデバイスや、わざわざ喫茶店に出向いて文章を書く著者も少なくない。もちろん情報収集や資料整理といったアクションは、マルチタスク機能を備えるOS、もしくはコンピューターの方が便利ながらも、"作業に集中する"という一点においては、非マルチタスク環境の方が良かったのではないだろうか。
そんなことを考えさせられたのが、「The FreeDOS」のプロジェクトである「XFDOS」だ。そもそもFreeDOSは、PC/AT互換機向けにサポート終了となったDOS環境を復活させるために作られたOSである。詳しくは筆者が以前寄稿した記事をご覧頂きたい(図01)。
そのFreeDOSプロジェクトチームでは、数多くのプロジェクトが進行中。GPLv3ベースのTCP実装「mTCP」やMASM互換アセンブラの「JWasm」などの開発が進められているが、Georg Potthast(ゲオルク・ポットハースト)氏が中心となって開発している「XFDOS」は、FreeDOSをベースにしたグラフィカルなディストリビューションだ(図02)。
そもそもXFDOSは、小型デバイス向けのウィンドウシステムとしてオープンソースベースで開発された「Nano-X Window System」のポート(移植)版である。ドメイン名からもわかるように当初は「Microwindows」という名称だったが、MicrosoftのWindowsと商標競合するため改名し、現在に至っている(図03)。
2012年から開発が始まり、昨日バージョン2.0が公開されたものの、Potthast氏が述べているように、XFDOSはFreeDOSの公式なディストリビューションではない。だが、Windows OS風のルック&フィールを備えながら、ファイルマネージャーやWebブラウザーをあらかじめ備え、Linuxディストリビューションと同じように導入直後から使用可能になる。