スマートフォンで気軽に家計簿がつけられるアプリである「Zaim」、写真に対して一言ボケることで笑いを提供する「bokete」。どちらも多くの人々に利用される有名なサービスだ。
2013年4月23日に開催された第2回のTechCompassでは、両サービスの作者である閑歳孝子(@kansai_takako)氏と和田裕介(@yusukebe)氏をプレゼンターとして招き、人気のあるWebサービスはどのように作られるのかというテーマでディスカッションしていただいた。
Tech Compassはマイナビが主催し、エンジニアのスキルアップと人的交流の支援を目的としたイベントだ。前回のレポートと同じように、まずはそれぞれのプレゼンターに事前に用意していただいたスライドに基づいてプレゼンをしていただいた。
一番大切なのは執着心
Zaimの開発者、閑歳孝子氏(@kansai_takako) |
閑歳氏は、家計簿アプリZaimの開発と運営をしている。小学校の頃からネットワークに強い興味を抱き、まだインターネットが普及していなかった頃からパソコンに電話線を繋いでチャットをしたりしていたという。
大学在学中には、当時としてはまだ珍しかったSNSを開発して学内で有名になるものの、実力のあるエンジニア達に囲まれる環境で自身の才能のなさを痛感し、その後しばらくはネットの世界を離れ記者として働いていた。
それでも物を作りたいという思いを捨てきれず、再びWEBの世界に飛び込む。そこで出会ったエンジニア達に教わりながら様々なWEBサービスを開発し、最終的にZaimを作るに至った。
Zaimを作るにあたっては、「適切な大きさの問題を見つけて、それに取り組むことが幸せにつながる」(閑歳氏)と糸井重里さんのブログエントリの影響を受けたことを明かした。また、「テーマを見つけた時に、どれだけ執着していられるか」(閑歳氏)がサービスを産むために大切だと語る。閑歳氏は今でもユーザから寄せられる1万件以上の要望に目を通し、求められれば必ず返信もしているそうだ。
物を作りながら、"作り方"を作る
boketeの開発者、和田裕介氏(@yusukebe) |
和田氏は株式会社オモロキに在籍し、boketeのバックエンドの開発とインフラの運用を一人で対応している。boketeに関しては「WEB上でのお笑いというジャンルを切り開くことができた」(和田氏)と自己評価も非常に高い。
和田氏がWEBサービスを考案する時には、5W1Hのうち5Wを考えることに重きを置くと言う。5Wがしっかりしてしまえば、HOW(どう作るか)は自ずと決まってしまうからだ。
まずサービスの哲学を考え(WHY)、ユースケースで内容を整理し(WHAT)、すぐにプロトタイプを作り(WHEN)、そして実現するための最強のチームを作る(WHO)。特にWHATがサービスを作る場合のキモであり、この段階でリスクを検証したりデザインを考えたりする。
リスクには、技術リスクとスキルリスクが存在するが、両者はあくまで別もので混同してはいけない。違いについて和田氏は、「技術リスクは現在の技術ではできないことで、時間が解決してくれる。スキルリスクは我々の力ではできないというものだ」と説明した。
設計については、仮説を検証するつもりで、自分の考えた物が世の中に受け入れられるものか、確かめるというスタンスでいるのが良いとした。