Q:では次にその話に行きましょう。で、Relationshipが変わったにも関わらず、World WideにおけるJapanの売り上げ比率はずっと10%のままですね? 確か昔、50%と言えば20%位になるかなとか言ってましたよね(笑)

Rogan:はい、それは仰る通り。時間軸をもう少し右に見ると(笑)。私がXilinxに入った当時、Xilinx JapanのWorld Wideにおける比率は7%だったんですよ。それを10%までもってきまして、ある四半期は12%まで行っているんですね。ただ、もちろん50%の話はまだ続いている訳ですが、正直言うと50%まで行くためには、ルネサスのASICとか、富士通のASICとか、東芝のASICはもう余り話題に無いですが、そうしたASIC(のマーケット)をもっと喰わなきゃいけないなと思っています。

Q:ただその、ルネサスもASICを余り作らなくなりましたよね。富士通も作らなくなりましたし。

Rogan:そうなんですね。で、ルネサスのビジネスモデルを見ると、産業革新機構からの資本が注入されているんですが、あれは基本的に車載メーカーが投資しているわけで。

Q:というよりも、あそこはトヨタ向けのASICを作ってるっていうのがメインなので、そこは多分Xilinxも含めてどんな会社も入れない。

Rogan:入れないです。

Q:あれはトヨタが方針を変えない限り変わらない。で、問題はそれ以外のお客様を見た時で。そうしたお客様はもうルネサスでASICを作ってないですよね。富士通も、古いProcessはともかく、Cutting Edgeに関しては彼らもFab Liteにしていますし。

Rogan:そう。ですから、結論から言うと、この2年間を日本のFPGAのターム見ると、ちょっとターム自身が落ちてるわけですよ。ところが、Xilinxの売り上げ自体は伸びている訳です。伸びているというのは、シェアが拡大してるという事になります。ですから次のステップとして、10%から15%、20%、50%までもって行くために、ASICの部分を取らなきゃいけないんですよ。

ではどういう所が大きいなのか。1つはやっぱり車載。たとえばトヨタだとメインの所、あるいはエンジンコントロールとかトランスミッションコントロールとかは難しいと思うんですが、それ以外のナビとかそういう所で色々出来るんじゃないか、と。後、今は色々な車載カメラが搭載されていて、今後も増えていく。そういう部分でまだ入るような余地はあるかなと考えています。

Q:今、すべての半導体メーカーが皆さんそこを目指してますよね。

Rogan:仰る通りです。そこで、自動車メーカーやカーナビメーカーに対しての1つの差別化として、高機能の製品ですので、Time to Marketというか、FPGAはぎりぎり最後まで機能を追加することが可能である、という点をメリットとして提供できるのではないかと思っている訳です。

Q:以前、代理店の方とお話してて、例えばZynqでミッションクリティカルな部分以外のECU何十個分かをZynq1個でまかなえますよ、なんてパフォーマンスを見せられたらインパクトありますよね、なんて話は出たんですが。

Rogan:実は今、我々としても、そういう所を目指しているんです。

Q:それは実際、Zynqとかでやろうと思ったら可能なレベルの話になってくるわけですよね?

Rogan:欧州では結構進んでいるんですよ。日本では今まさに、お客さんにそれを判ってもらおうと努力してるところです。もともとこの製品の定義は欧州で決めましたので。

そんなわけで最初は車載向けに開発したんですが、ほかにも相当な数が出る部分としてはWirelessでしょうか。基地局はもう結構がんばってるんですが。ですから、我々、日本ではでやはり車載に関しては頑張らないといけないな、と思っているんですよね。それがNo.1。

次にNo.2ですが、例えば10%が20%になったとして、そこから50%に持って行くためにはどうすればいいのか、というとやはり産業向けだと思うんですね。色々な用途、例えばFactory NetworkとかMachine Visionとか、今は沢山の違う基準があるんですけれど、ここで1つのHardware Platformを作って、これが複数の基準に準拠できれば、Time to MarketとかCost削減とか、そうした事をコントロール出来るんじゃないかなぁ、と思っているんですね。やはり産業用は(市場規模が)結構大きいと感じています。

Q:ただ産業用といっても、たとえばVending Machineのようにそれほど安全基準がきつくない、比較的簡単にインプリできるものもあるんですが、本当に儲かっている所っていうのは、例えば列車の制御とか、結局これもやはり車と一緒で、安全基準とか色々、別種の問題がいっぱい出てきますよね。で、最終的にもし本当にそういう所まで狙うとすると、今度は日本でそういう製品が要るのかなっていう感じがするのですが。

Rogan:例えば20年前位に日本のお客さんは何が強かったかというと、(IBMのメインフレームなどの)互換機的なマーケットでした。その後は民生向けが結構強くなりましたが、為替の衝撃などもあって、そこからは韓国とか、場合によっては中国が上位になってきた。「じゃあ、日本の次の覇はなんなのか」と。皆さんがおっしゃってるのは、社会インフラだと。エネルギー管理とか、そういう感じの奴です。

Q:Smart EnergyとかSmart Gridとか

Rogan:あるいは人を移動させるための高速道路とか電車とか、そういった話題が今現在、結構挙がってるわけです。もちろん基準がまだ新しいですから、どの位出るのかとかといった事はまだ見えてないわけですが、それでもそうした中で最初からFPGAも検討して頂けるかなとは思っています。ただ、どこに当てれば10%が20%とか50%になるのか? というとそれはまだ…

Q:判らない(笑)

Rogan:判らないけれど、一応頑張りますと。

Q:一応全部にbetすると。

Rogan:毎回社長(Moshe Gavrielov氏:本社CEO)が日本に来る時には、「俺は50%だって言った事を忘れないでくれ」、と(笑)。