Googleは4月17日、同社のシンガポールオフィスにてアジア太平洋地域を対象としたメディア向けイベント「Helping Small Business Think Big」を開催した。イベントには13カ国、73人の記者/編集者が来場。ユーザー企業約20社による実事例を交えながら、AdWords、AdSenseといったGoogleのAdテクノロジーがアジア太平洋地域の中小企業にどう貢献できるのかが紹介された。

以下、午前中に行われたセッションの内容を中心に、簡単にイベントの様子をご紹介しよう。

リスクの低い広告で中小企業も拡販を

Google Asia Pacific, PresidentのKarim Temsamani氏

「TVや新聞、雑誌を中心とした旧来の広告は非常に高額で、中小企業が出稿するとなると博打に近いリスクを抱えることになる。しかも、効果の分析が難しく、出稿後は顧客の来店や問い合わせをただ待つことしか手だてがない」

イベント最初のセッションに登壇したGoogle Asia Pacific, PresidentのKarim Temsamani氏は、講演の冒頭、このように話を切り出した。

Temsamani氏は、オンライン広告の大きなメリットとして「スモールスタートが可能」という点を強調する。ターゲットを絞るなど、予算に応じてコスト調整が可能なうえ、どれくらいの効果があったのかも分析できる。反響を見ながら広告文やクリエティブを改善することも簡単。2次施策、3次施策に関しても、売り上げにつながることが確認できた分野に打てばよい。無駄な投資が少なく、中小企業でも失敗に怯えることなく出稿できる。

「産業革命により大量生産が可能になった結果、ビジネスの規模が大きくなればなるほど製品のアベレージコストは下がる傾向にあり、大手企業はそこで生み出した利益を使って大規模に宣伝することができる。しかし、世界の企業の80%は中小企業。彼らの予算に見合った広告手段も当然ながら求められる。そうしたニーズに応えられるのがインターネット広告。ビジネスの”方程式"を変えた革新的なテクノロジーと言える」(Temsamani氏)

マレーシアでカスタムメイドと言えば、スーツよりも”箱”

では、オンライン広告を利用することで中小企業はどのような恩恵に与れるのか。Temsamani氏はマレーシアのBOXMANを例に挙げながら、この点にも言及した。

BOXMANは、梱包などに利用する"箱"を販売している。大きさやパッケージデザインなどをカスタマイズできる点が他社との差別化ポイントだ。

同社は当初、営業社員を雇用して販売活動を行っていた。しかし、人件費が大きな負担となっていたことから、すべての販売活動をインターネット上で行うように方針を転換した。この際、AdWordsを使って誘導を図った結果、コストを下げて売上げを上げることに成功した。現在は、同社Webサイトを訪れるユーザーの70%がAdWordsからの流入であり、その60%が購買に至っていおり、「AdWordsが優秀な営業部員と認識されている」(Temsamani氏)という。

さらにTemsamani氏は、マレーシア国内におけるカスタムメイドのスーツ市場を引き合いに出し、市場規模としては、カスタムメイドスーツよりもカスタムメイドBox(箱)の方が大きいことを紹介。「インターネット技術により、市場で本当に求められているものが何なのかを顕在化できた優れた例」と述べ、中小企業でも市場を変えられる可能性を秘めていることを強調して降壇した。