わずか3年で月間12億PVにまで成長した「NAVERまとめ」。本企画では、NHN JAPANウェブサービス本部サービス企画1室室長の島村武志氏の話を基に、その裏で行われた施策や、運営側の考えをレポートしている。
前回は立上げ時の考えとインセンティブプログラムの話を中心に紹介したが、今回は改善に向けた取り組みや、その指針について取り上げていこう。
<前編はこちら>
まとめ作成者を増やすために
――まとめ作成者を増やすためにどのようなことをしましたか。
NHN JAPANウェブサービス本部サービス企画1室室長の島村武志氏 |
島村 : とにかく理由、動機づけを提供することを意識していました。
前回説明したインセンティブプログラムによる報酬も動機の1つではありますが、動き出すきっかけは人によって違います。例えば、「インセンティブプログラムがあるから」ではなく、「人に注目されるコンテンツを作りたい」と考えている人もいる。それぞれの意向をフォローできる環境を作るという意識で改善を進めてきました。
いずれにしても、大切なのは、ユーザーが動き出したいと考えたときに、すぐに始められる環境を整えておくことだと思います。各個人が自分の得意な分野で情報をまとめるサービスが「NAVERまとめ」ですが、同じことはブログサービスを使ってできないこともありません。しかし、それをきれいに作るには多少のHTMLを組む必要がありますし、収益を得るには、アフィリエイトサービスの登録なども必要になります。専門知識を持っていなければ、勉強から始めなければならないでしょう。そういった面倒な作業の一切をサービス側で受け持つので、ユーザーには"まとめ作業"だけに集中してほしい。そういう環境を提供しているのが「NAVERまとめ」なんです。
ただ、ここで気を付けなければいけないのは、"すぐに始められる"ことだけに捉われてはいけないということです。ただただハードルを下げて、「すぐに飛べますよ」としても、その場所が魅力的でなければ、ユーザーから「ハードルを飛ぶ理由がない」と言われてしまいます。ハードルが低い、易しいというのは良い面ももちろんありますが、易しくするだけ正義ではないんです。
――「NAVERまとめ」で禁止していることはありますか。
島村 : まず、アダルト関連は禁止しています。そして「人を不幸にすること」、「ほかのコンテンツホルダーを不幸にすること」は禁止です。すべてを転載することも禁止ですし、ユーザーを騙す記事を「釣り記事」というんですが、釣り記事も禁止です。
とにかく、ユーザーやコンテンツホルダーががっかりするようなものを出さない。これは徹底しています。
それでも不正を働くユーザーは存在します。それを極力減らすために、不正をしても無意味な世界をつくりたいと思っています。「NAVERまとめ」では、真面目にやる人、誠意を持って行動する人を支援したい。そういった人たちに、ここは自分が活躍できる場だと思ってもらいたい。
そのためにも、試行錯誤しながら不正行為を自動検知する取り組みも行っています。不正の方法も多様化しているので、日々戦いです(笑)。