皆さんは、iOS5.0より搭載されている「ジオフェンシング」という機能をご存知だろうか。

ジオフェンシングとは、アプリケーションの地図上に仮想的な"フェンス"を配置しておき、現実の世界で対応端末がそのフェンス内に入った、もしくは出たときに、特定の処理を起動させる機能である。

使い方次第ではあるが、新たな種類のアプリケーションを生み出す可能性を秘めた機能と言える。例えば、ユーザが商業施設などの近くに来た際に、キャンペーン情報などを表示させて来店を促すなど、いわゆるO2O(online to offline)分野のアプリケーションも、同機能を使えば比較的容易に開発することが可能だ。

筆者が勤務するKLabでも昨秋、この機能を搭載した「SweetHome」というiPhoneアプリをリリースしている。このアプリは、勤務先や学校など、指定した場所から一定の範囲を出た際に、所定の宛先にメールを自動で送信するというものだ。帰宅中であることを家族に知らせるなどの用途に使っていただくことを目的としている。ユーザが何も操作しなくても自動的にメールが送信されるため、連絡忘れを防げることが特徴だ。

SweetHomeの画面

そんな潜在能力の高いジオフェンシングだが、現状では活用アプリが多いとは言えず、技術者にもそれほど知られてはいないようだ。実際、筆者がスマートフォン開発者向けの勉強会でジオフェンシングに発表した際、事前に知っていた人は1割程度だった。

そこで本稿では、iOSデバイスでのジオフェンスの実装方法について解説していこう。