毎日新聞社および日本パソコン能力検定委員会は12月9日、「第12回毎日パソコン入力コンクール全国大会」を開催した。このコンクールは、国のIT新改革戦略の実現、IT教育の普及・促進を目的として、PC入力の正確さに加えて、速度を競うコンクール。コンクール当日はこれまでに行われた大会の成績上位者が全国から集まり、PCを利用した入力の腕を競った。

12回目を迎えた今回の開催では、それぞれ37,000人ずつが参加した「6月大会」と「秋季大会」の成績上位者146名が一堂に会して競技を行った。

本番開始を前に緊張の面持ちで開始の合図を待つ参加者たち

競技は複数の部門に分かれて行われる。キーボードの3段目、あるいは2~4段目に絞ったホームポジション、ローマ字、英文、和文、そして半角数字と演算子のみの数字・記号などの入力といった、普段「タイピング」といわれて想像しやすいものから、英単語や漢字、計算、フラッシュ暗算といった基礎学力を問うものもタイピングをからめて実施されている。

当日のスケジュール

当日用意された競技用の環境は、PCがDELL Precision T1600、OSはWindows 7 Enterprise 64bit、IMEはMicrosoft IME 10.1.7601.0。キーボードは東プレの「Realforce 108UH」と、PFU「Happy Hacking Keyboard Professional JP」から、参加者が選択できる方式だ。かつてはキーボードのみ持ち込み可能となっていたが、「公平性を保つため」として、現在の選択方式へ変更となっている。

競技用PC

競技は専用のソフトウェアで行う

キーボードは東プレの「Realforce 108UH」と、PFU「Happy Hacking Keyboard Professional JP」から選択可能。見たところでは「Realforce」を使っている参加者が多かった

また、IMEの学習機能、予測変換機能の使用や、事前の単語登録、コピー&ペーストなどは禁止となっており、あくまでタイピングの基礎的な能力の育成を目指している様子がうかがえる。

競技では、まず用意されているキーボードに不備はないかなどを確認する3分間の練習時間が設けられる。練習が開始されると静かな会場の中に「カタカタ」という打鍵音が響き渡る。しかし、その打鍵音がとにかく早い。常にキーボードの打鍵音がある編集部でもこんなに早い打鍵音は聞いたことがない。

本番前に3分間の練習時間

どの参加者も恐ろしいスピードで文字を打ち込んでいく。そしてとても正確だ

練習の邪魔をするわけにはいかないので、遠目から入力されている様子をみると、普通の文章を入力する参加者もいれば、人差し指や薬指、小指で打つキーを重点的に確認するなど、思い思いに指ならしをしていた。

競技本番は選手と係員以外は入室禁止。もちろん記者も室外に退場して、待合室に用意されたプロジェクタに映し出された選手の様子を見ていたが、記号なども含めて手元にキーボードに目線を落とすことなく完璧にタッチタイプをものにしている選手がほとんど。速さや正確さ含めて「これが日本の小・中・高校生の頂点か……」と驚いてしまった。

待合室では競技の様子が映されている

わが子の勇姿を記録しようとする父兄の皆さん

競技は午前中に終了し、午後からは各部門の表彰式が行われた。

受賞者には賞状やトロフィーに加えて、協賛企業からの賞品も贈呈される

各部門の特別賞受賞者とコンクールの年間成績などから選出される団体賞(学校賞)の結果は以下の通り。

*第12回全国大会 主な個人賞の受賞者(敬称略)
部門 表彰内容 受賞者
第II類 計算 文部科学大臣賞 赤堀愛果
(岐阜県 聖徳学園大学附属中学校1年)
フラッシュ暗算 文部科学大臣賞 宮本理香子
(東京都 中野区立第八中学校2年)
第II類 英単語 小・中学生 総務大臣賞 岡野友美
(東京都 国立お茶の水女子大学附属中学校3年)
第II類 英単語 高校生 総務大臣賞 奈佐航己
(岡山県 岡山高等学校3年)
第II類 漢字 小学生 総務大臣賞 蜂巣由佳
(東京都 淑徳小学校6年)
第II類 漢字 中・高校生 総務大臣賞 石井愛里
(茨城県 茨城県立並木中等教育学校2年)
第1部 ホームポジジョン 基礎 毎パソ特別大賞 海老澤未夏
(茨城県 日立市立日高小学校6年)
第1部 ホームポジジョン 応用 文部科学大臣賞 岩間来夢
(茨城県 高萩市立松岡小学校6年)
第2部 ローマ字 文部科学大臣賞 沼田瞳
(茨城県 日立市立十王中学校2年)
第5部 和文A 小学生低・中学年 文部科学大臣賞 柿谷太郎
(大阪府 泉佐野市立第三小学校3年)
第5部 和文A 小学生高学年 文部科学大臣賞 土屋果穂
(愛知県 南山大学附属小学校6年)
第3部 英文A 文部科学大臣賞 日下僚太
(茨城県 茨城県立日立第一高等学校附属中学校1年)
第5部 和文A 中学校 文部科学大臣賞 友安美琴
(岐阜県 関市立桜ヶ丘中学校3年)
第5部 和文A 中学校 内閣総理大臣賞 川畑拓也
(愛知県 名古屋市立大高中学校3年)
第5部 和文B 高校生 文部科学大臣賞 高橋幸大
(兵庫県 神戸市立神港高等学校3年)
第5部 和文B 高校生 内閣総理大臣賞 熊谷捷
(大分県 大分県立情報科学高等学校3年)
第4部 英文B 文部科学大臣賞 小林颯
(東京都 聖徳学園中学・高等学校2年)
第7部 数学・記号 小・中学校 経済産業大臣賞 清水晴彦
(茨城県 高萩市秋山小学校6年)
第7部 数学・記号 高校生 経済産業大臣賞 鄭在弘
(茨城県 茨城朝鮮初中高級学校1年)
第12回主な団体賞の受賞校
表彰内容 受賞校
最優秀学校賞 長崎県 佐世保市立日野中学校
優秀高等学校賞 大阪府 大阪府立住吉高校
優秀中学校賞 長崎県 佐世保市立日野中学校
優秀小学校賞 東京都 淑徳小学校
特別優秀学校賞 兵庫県 神戸学院大学附属高等学校
特別優秀学校賞 茨城県 茨城県立並木中等教育学校
特別優秀学校賞 茨城県 学校法人リリー文化学園リリーベール小学校

毎日新聞社 デジタルメディア局 岩沢武夫局長

表彰式では、大会副委員長を務める毎日新聞社 デジタルメディア局 岩沢武夫局長が、主催者を代表して「ここにいらっしゃっている方は、全国75,000人弱の中から選ばれた方々で、ここにいるだけで輝かしい成績といっていい」と参加者をたたえ、「最近では音声入力やタブレットでの入力など、さまざまな方法がでてきているが、長い文章を書くにはパソコンのキーボードが早くて正確。これからもキーボードでの入力技術は重要になってくる。ここまで技術を磨かれた皆さんにはぜひこれからもがんばってもらいたい」とエールを贈った。

同コンクールは毎年開催されている。全国大会への出場権やランキングに登録されるには年齢制限があるが、競技部門への参加自体には年齢制限がない。タイピングに自身ありという人はぜひ参加してみてはどうだろうか。毎日パソコン入力コンクールWebサイトでは、各部門の練習用ソフトを公開している。本稿を読んで興味を持たれた方は是非一度挑戦して頂きたい。